スタハマガジン|TOKYO創業ステーション 丸の内 Startup Hub Tokyo

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飲食店を開業するために、考えておくべきことは?

コンシェルジュ通信では、スタハで実施しているコンシェルジュ起業相談の事例をもとに、少し発展的なトピックスをご紹介します。

 
今回の担当は、鈴木博之コンシェルジュです。

コンシェルジュ 鈴木 博之

商社勤務を経て28歳で独立。26年間の会社経営で、イタリア食材輸入販売、飲食フランチャイズも含め16店のチェーン店化、損害保険代理店業務などを手がけた。その後コンサルティング会社に転じフランチャイズ本部構築支援、大手外食チェーンの組織改革に携わる。50歳を超えてからは、ミドル~シニアのセカンドキャリア支援に幅を広げ、株式会社パソナ パソナキャリアでは、6年間で300名を起業に繋げている。その後パソナのグループ会社として、社内ベンチャーで起業し、役員として、起業セミナーの動画配信やWebマーケティングのサービスを立ち上げ運営に携わった。現在は再び独立して、セカンドキャリア支援、飲食店開業・経営及びフランチャイズの本部構築支援を中心としたコンサルティング会社を経営している。

飲食店を開業したいのですが、周囲からは「甘い世界じゃないよ」と言われます。どんなことを認識しておけば良いでしょうか?

自身が16店舗の飲食店を開業・経営した経験や、コンサルタントとして60店舗以上の飲食店の開業に携わった経験を踏まえて、リアルな現状をお伝えします。

【1】飲食店の難しさ

外食産業市場の規模は伸びていますが、少子高齢化の影響も有り、長期的に見ると国内では縮小傾向にあります。競争は激化、新規参入も相次ぎ、各社生き残りをかけた戦略を展開しています。

営業年数別の閉店割合(2019年 居抜き情報.comデータより)
統計対象エリアは首都圏、東海、関西エリアのデータから抽出

 1年未満: 16.4%
 1~ 2年: 33.3%
 3~ 5年: 20.7%
 6~10年: 16.2%  
 11年以上: 13.5%

統計によれば、新規開業店の2年以内の閉店率は約50%。さらに、飲食店未経験者による店舗に絞ると3年以内の閉店率は90%とも言われます。

修業を積んだプロのいる世界に飛び込んで戦うことを考えると、料理のレベルはもちろん、明確な店のコンセプトと店舗運営能力が問われます。

【2】考えておくべきこと

長時間労働で人手不足の業界であること。
それをどう解消するか?Uber Eatsや、作業ロボットの利用、店内でスマホからオーダー・決済できるサービスも出てきました。DXをどう使うかも、これからは重要なことかもしれません。


“美味しい”ことはマストですが、それが全てではありません。
現在は、SNSマーケティングの導入が欠かせません。Facebook、InstagramやTwitterでの情報発信、BASEやLINEでの商品販売、などSNSの知見が必要な時代になりました。

【3】よくある失敗例

・事業計画に無理がある
・高い物件に店を構えるための過多な借入
・技術が未熟なまま見切り発車的に開業
・メニューの方向性と、出店立地が合っていない など

例えば、イタリアンの店を小田急線沿いに出店したAさん(男性)。料理の腕前を過信して、プロの元で修行をせず開店。立地、メニュー、接客など多くのアドバイスをさしあげましたが、自己判断による少ないメニューでスタートし、接客もあまり愛想がなかったようで、客足も伸びず1年半後には蓄えも無くなり閉店。

失敗例の多くは、人のアドバイスやお客様の声に耳を傾けない、自己中心的な進め方にあります。

【4】成功している店舗のポイント

・強引さや無理のない開業……堅実な事業計画、資金計画に加え、料理学校や飲食店で修行した上でチャレンジ

・客観的な顧客目線……料理、価格、サービスが顧客目線でプランされている。ニーズを捉えて、素材の産地に徹底的にこだわったり、店を変化させ続けたりしている等。

・SNSでの情報発信、BASEやLINEなどでの商品販売

例えば、代々木八幡駅近くに出店した創作和食のNさん。料理は素人でしたが会社勤務時代から腕を磨き、退職後プロの店で半年以上修行。お客様目線での店づくり、しっかりした事業計画、資金計画を持って開店しました。

福井の食材や日本酒を提供するお店で、ミシュランのビブグルマンに8年連続で選ばれています。SNSを駆使して、コロナ禍でも2店舗目を出店されました。

外食業界にも、店舗を持たない「ゴーストレストラン」や、「キッチンカー」など様々な新しい波が来ています。過去の常識に囚われずに発想することで、今までにない形態の出店も可能です。

「商品」と「人」と「店」の魅力があり、お客様が幸せを感じられるような価値を提供できれば、繁盛は間違いありません。愛される繁盛店を目指して開業される皆様を応援します。

 

コンシェルジュ 鈴木 博之

 


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