かわいいは無限大! 大手証券会社から“かわいい”で起業 文具雑貨の海外EC事業を行う20代起業家

スタハ卒業生インタビュー
伊藤彰康さん写真

Startup Hub Tokyo(スタハ)を利用して起業した先輩起業家に、起業までの軌跡をインタビューするシリーズ。
今回は、rainbowholic株式会社 代表取締役 伊藤彰康氏にお話を伺いました。

伊藤さんは、大手証券会社勤務後、日本のかわいい文具・雑貨の海外EC事業を行う会社を2019年5月設立。海外と日本の架け橋になる仕事がしたいと学生時代から起業することを想定。スタハのコンシェルジュ起業相談を活用するなど順調に準備を重ね、スタハ初回利用から3カ月後に起業しました。 大手企業勤務から異業種での起業に周囲から反対を受けつつも、会社員とは違う生きがい、やりがい、手応えを感じていると言います。

起業家プロフィール

rainbowholic株式会社 代表取締役 伊藤彰康氏

海外と日本をつなぐ架け橋となるような仕事をしたいと、新卒で大手証券会社入社。英語の勉強を深める中で日本のかわいいカルチャーを海外に発信するフィリピン出身のライフスタイルブロガー兼コンテンツクリエイターのカイラさんと出会い意気投合。2019年3月に会社を退職し、日本のかわいい文房具・雑貨を海外でEC販売する事業で同5月に起業。2019年度東京都創業助成事業採択。Instagramフォロワー数4万人、YouTubeチャンネル登録者数85,000人、クラウドファンディング月額課金者300人超。文房具や雑貨を単なる消費財ではなくファンマーケティングの視点で世界に発信・販売している。

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日本のかわいい文具で起業するきっかけ

—海外と日本をつなぐ仕事で起業する原点は?

伊藤さん:「学生時代から将来的に英語を使った仕事をしたかったこともあり、英語のディベートをずっとやっていて、海外へ行くたびに、日本のかわいいものが外国人に独自の人気があると感じていました。海外で長く働く叔父が身近にいたせいか、海外と日本をつなぐ仕事をしたいという夢があり、起業することは想定していました」

—ビジネスパートナー・カイラさんとの出会い

伊藤さん:「新卒で証券会社に入社し3年後、日本のかわいいものを海外に販売するビジネスを始めていたカイラさん(フィリピン出身)と、英語の勉強を深める中で出会いました。カイラさんの出身大学に、私が大学時代に英語のディベート大会で訪れたことがある等、互いの共通項を話すうち、彼女の日本のかわいいものに対する情熱やストーリーに強く共感しました。もともと自分がやりたかったことと一致していたのもあり、一緒に事業をやってみたいと思ったんです」

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rainbowholic株式会社 代表取締役伊藤彰康さん(左)と、同社マーケティング最高責任者兼クリエイターのカイラさん

—起業を決意したスイッチ クラファンも後押し

伊藤さん:「カイラさんに出会った当時、彼女はすでにクリエイターとして活躍していて、フォロワーやファンがたくさんいました。この状態を軌道に乗せ、ECサイト、SNS、コミュニティの運営をしながらブランディングを強化し、海外で日本の“かわいい”ものが欲しい人と、日本の“かわいい”商品を海外に販売したい人をつなげるのではないかと考え、起業を決意しました。

そう思ったのは、起業前に商品を販売する中で、お客さんの反響が予想以上に大きく、クラウドファンディングの支援者もかなり増えたことも大きかったです。クラウドファンディングは、クリエイターを毎月定額で支援できる「Patreon」というプラットフォームを使っていました。当初支援者が数人だったのが、現在300人ほどに増え、それを見て、いけるんじゃないかと思いました。 売れる実績も付いてきて、SNSの反響からも手応えを感じ、本格的に事業を始めようと決意しました。決意してから会社設立までは、自然な流れでしたね」

“かわいい”で起業するまでの壁

—起業に不安はありましたか?

伊藤さん:「自分はあまりなかったですが、親から猛反対を受けました。『安定した会社に入ったのになぜ辞めるのか?』『“かわいいもの”で事業をするイメージが分からない。それをSNSで海外に売るってどういうこと?』と。世代のギャップもあると思いますが、お客さんが目の前に見えない商売なので、親からは『それで本当に食べていけるのか?』と言われました。今社会は変わりつつあるし、安定している仕事もいずれどうなるかわからない。ならば自分の人生だからやりたいことをやりたいと話して、納得してもらいました

—起業までの間で大変だったことは?

伊藤さん:「人を雇うことですね。いろいろな手続きが必要で、カイラさんは外国人ですし、気を付けないといけないポイントがいくつかありました」

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スタハ活用法 コンシェルジュ相談でアイデアの壁打ち

—スタハ利用のきっかけ

伊藤さん:「ほかの機関にも相談していましたが、融資メインの話になりがちで、SNSや“かわいい”の説明をしてもなかなか響かず、「本当にそれ大丈夫なの?」と言われることが多々ありました。そんな中、『起業相談 東京』で検索してスタハを知りました」

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—2019年5月に会社設立。スタハのメンバー登録が2019年2月。登録後3ヶ月の早さで起業されていますね?

伊藤さん:「スタハに登録したのは、退職前の有休消化中で、東京都の創業助成金の申請期限まであと1ヵ月しかない時でした。スタハに通い詰めてアイデアの壁打ち、書類作成を進めました。起業までの間では、この時が一番大変でした」

—スタハのコンシェルジュ起業相談を8回ほど受けています。どうでしたか?

伊藤さん:「いろんなコンシェルジュに相談できて、みなさん親身になって話を聞いてくださり、ためになりました。コンシェルジュはみなさん経営経験者で、さまざまな分野で活躍されているので、アイデアの壁打ちがしやすく、特に自分のアイデアをまとめるのに役立ちました

日本の文房具の魅力を世界に

—ビジネスにおける“かわいい”のポテンシャル

伊藤さん:「国内にいると気づかないですが、日本はかわいいもので溢れています。例えば、工事現場のカラーコーンがキャラクター仕様になっていたり、マンホールの蓋に細かいデザインが施されていたり、各企業にかわいいマスコットキャラクターがいたりします。日本人には“普通”でも、海外の人から見ると価値があります。かわいいが持つポジティブな力を日本から発信していきたいです。 今は文房具・雑貨がメインですが、日本独自の“かわいい”分野には、成長の余地を感じています。かわいいの可能性は無限大ですね。アニメやコスプレ文化のように広がったらいいなと思っています。

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手帳をマスキングテープやシールでかわいくデコって毎日を記録する「かわいいジャーナリング」にはファンのコミュニティもできている

—日本の文房具の魅力は?

伊藤さん:かわいさと機能性を兼ね備え、かつ細部までつくりこまれているのは、他国の文房具にない魅力です。rainbowholicではカイラさんが、手帳をマスキングテープやシールでかわいくデコレーションして日々を記録したり、夢や目標を文字やイラストで可視化してモチベーションを上げる、「かわいいジャーナリング」を発信し、このコミュニティを海外でも広めようとしています。 rainbowholicオリジナルのマスキングテープを企画・販売していますが、外国人には日本のラーメン柄も人気で、かわいさの基準は海外と日本で微妙に違うのも面白いです。 日本のかわいい文房具・雑貨は、機能に加え、持っているだけでシアワセになる力もあります。かわいいものが目の前にあると、会話やコミュニケーションが一気に広がりますね」

起業後に見える風景

—起業1年以内の今、大変なことは?

伊藤さん:「ECかつ海外販売事業をやろうとしている中、日本の文房具業界は予想以上にドメスティックな領域で、仕入れ先を探すことに苦労しました。海外販売や実店舗のないネット販売は依然ハードルが高く、卸してもらえない国内文具メーカーもあります。 とにかく交渉には時間がかかりますね。断られても何度か電話をし、手紙を書いたり、訪問してご説明し、取引可能になったケースもあります。業界の体制もいずれ変えていきたいと思っています」

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—起業してよかったこと

伊藤さん:「楽しい、の一言です。時間の融通が利きますし、自分のやりたいことができているという実感があるので、プレッシャーはありますが、会社員時代とは全然違いますね」

—起業の前後で人生のステージは違って見えますか?

伊藤さん:「全然違います(笑)。お客さんに直接喜んでもらえるのが大きいですね。SNSでシェアされたり、YouTubeもコメントが残るので、そういった目に見える反響がうれしいです

—社名の由来とミッション

伊藤さん:「社名のrainbowholicは、虹の架け橋になるの意味で、カイラさんがもともと考えていたものです。私たちは、『境界を打ち破り、共有し、誰でもかわいい文化にアクセスできるように』をミッションにしています。今は文房具中心ですが、かわいいものであれば、それ以外の領域でも考えています」

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—今後の展望は?

伊藤さん:「オリジナル商品の開発・販売に向けて、企業やクリエイターとのコラボすることに一番注力しています。 文房具自体の需要は減っていますが、私たちは、消費される商品ではなく、集めたくなるもの、持っていること自体がうれしいものを提案しています。持っていること、体験を共有することを重視。文具カフェもつくりたいと考えています」

—起業してわかる、起業に必要な要素は?

伊藤さん:「起業は誰でもできます。必要なのは、アイデアと情熱。そして社会から求められるサービスかどうかが重要だと思います。本当に自分たちの提供するサービスがお客様の喜びになるのか、真剣に考えてみるといいと思います」