スタハマガジン|TOKYO創業ステーション 丸の内 Startup Hub Tokyo

イベントレポートや先輩起業家のインタビュー、コンシェルジュに聞く起業相談でよくある相談事例など、 Startup Hub Tokyoのおすすめ情報が満載のWEBマガジンです。ぜひチェックしてください。

スタハマガジン
スタハマガジン

カテゴリー

激動の世の中を勝ちぬく新しい店舗ビジネスとは!?

イベントレポート 店舗ビジネス

 

激動の世の中を勝ちぬく新しい店舗ビジネスとは!?

今回のイベントレポートは、6/15に開催した店舗ビジネスを始める前に押さえるポイントと準備することについてお届けします。

新型コロナウィルスの影響により、世の中が非常事態のいま。どんな店舗経営を目指し、どのような準備をしていけばいいのか? 飲食・小売業界の相談を得意分野とした鈴木コンシェルジュ、商圏分析を専門とした田中氏から教えていただきました。

左:田中 武士氏 ソフィアインデックス商圏分析事務所 代表、右:鈴木 博之氏 Startup Hub Tokyo 起業コンシェルジュ

 

(右)鈴木 博之氏 Startup Hub Tokyo 起業コンシェルジュ

大学卒業後、中堅の貿易商社に入社し、貿易取引のバックオフィス業務に従事。28歳で独立し、イタリア食材輸入販売を行う会社を設立した。事業を拡大しながら飲食店経営にも乗り出し、最盛期にはフランチャイズも含めレストラン16店舗経営、年商8億円超にまで成長する。しかし景気動向及び健康上の理由から、2007年に事業から撤退。その後は、コンサルティング会社に転じフランチャイズ本部構築支援、大手外食チェーンの組織改革や業績改善で成果を上げた。50歳を超えてからはミドル~シニア向けのセカンドキャリア支援に幅を広げ、㈱パソナキャリアで6年間で300名弱を起業に導く。またパソナグループの社内ベンチャー(起業セミナーの動画配信やWebマーケティング会社)の設立に役員として参画し、サービス立上げを主導した。現在は再び独立して、セカンドキャリア支援、飲食業及びフランチャイズの本部構築支援を中心としたコンサルティング会社を経営している。

(左)田中 武士氏 ソフィアインデックス商圏分析事務所 代表

JASDAQ上場の大手広告代理店にて、広告営業を経てエリアマーケティングを担当。大手チェーン店の新規出店に伴う商圏分析、広告・集客戦略立案、広告費・媒体の最適化、会員分析を主な業務とする。コンペ案件・大型案件ではプレゼンテーションも担い、その受注率は90%を超える。勤続11年を過ぎた2016年2月、「ソフィアインデックス商圏分析事務所」を創業。

緊急事態宣言が解除されたものの、外食や旅行に娯楽などの外出を控える人はまだまだ多い現状です。この状況は2021年の夏くらいまで続くと予想されている鈴木氏。そのなかでどのように店舗ビジネスを仕掛けていくかをお話しいただきました! 

鈴木氏 「2008年にリーマンショックがあり、2011年に東日本大震災がありました。この時期、店舗の実態はどのようになっていたのか?まずは新型コロナウィルスとの違いを見ていきましょう」

鈴木氏 「リーマンショック時のGDP成長率は、2008年がマイナス0.1%、2009年がマイナス5.5%と2年連続でマイナス成長となりました。しかし、実際は半年くらいで回復。これを考慮すると、外食や物販店舗には、新型コロナウィルスほどの影響はなかったといえます。それでは、東日本大震災のときはどうでしょうか? このときはかなり自粛モードが高まり、飲食店はとりわけ影響を被りましたが、それは関東や東北地方などの“部分的なエリア”に限られていました。また、繁華街や高層ビル上階の飲食店舗は軒並み閉店したことにより、通常時では借りることのできない好立地の物件が増え、賃貸条件の交渉がし易くなった一面もあります。そして渦中の新型コロナウィルスは、前期比年率マイナス30%台が予測され、影響は全国・世界レベル。緊急事態宣言による外出自粛で来店者は大幅に減少。これらを踏まえますと、新型コロナウィルスとの差異は“面的な広がり”と“時間軸の長さ”だと思います。」

コロナ禍のなか伸びている業種にヒントあり!

鈴木氏 「そうは言っても、3月、4月に伸びている業種もあります。ここにヒントが潜んでいます。外出を避けたいという特殊な事情が反映され、宅配サービスやネット販売の利用が売上の減少を防ぐひとつの方法であることが分かります。さらにデジタル決済など利用勝手の良いサービスを導入していることも、今後のポイントになります。」

新型コロナウィルス対応のサービスとは何か?

鈴木氏 「withコロナ、afterコロナのなか、店舗は“ソフト面”と“ハード面”の対応に分けて考えていきます。ソフト面には、衛生面・ソーシャルディスタンスを守る店づくり・飛沫感染防止・換気などありますが、一番重要なのは“サービスチャンネル”を変えていくことだと思います。店舗の席数を減らさなければいけないとき、オンライン販売やテイクアウト、宅配などのサービスを導入して売上減少をカバーしていく必要があります。そして“店舗のデジタル化”も勉強していかなければいけない。デジタル決済や、オーダーエントリーシステムなどのデジタルトランスフォーメーション(DX)を導入することで、人との接触機会が減り、その結果、人件費の削減にも繋がると思います。」

店舗のレイアウトを変更するといった“ハード面”の対応は?

鈴木氏 「店の作り方は、コロナの終息状況により変わってきます。オンラインで物を売ったり、デジタル化したりする場合はパソコンを置く必要があるため、そういったデジタルスペースの確保も必要。」

アフターコロナの世界

鈴木氏 「いつまで新型コロナウィルスの危機は続くのか? ワクチンは早くて年内に製造開始、影響は2021年夏まで続くと仮定した場合、時間軸のフェーズは3つになります。」

フェーズ1.いつ終息するか分からない現在
フェーズ2.終息が見え始めた頃
フェーズ3.完全終息。ニューノーマル(新常態)

鈴木氏 「我々は、時間軸の“フェーズ3”を予測しながら行動していかなくてはいけません。生活スタイルの変化も含めて、店舗ビジネスのあるべき姿を考えていく必要があります。」

以上が、鈴木氏のお話しでした。 続いては、商圏分析を専門としてご活躍されている田中氏にお話しをうかがいました。

コロナ禍……後悔しない物件探しとは?

田中氏は“一般的な物件探しの例”を紹介し、次にこの物件探しにおいて忘れがちな3つのことを教えてくれました。

1.焦らない
2.人に頼り過ぎない
3.ネガティブ情報にも目を向ける

田中氏 「後悔しないポイントとしては、不動産屋さんの営業トークを信用しすぎないこと。『人通りが多いから集客できますよ!他の人もこの物件に目をつけているのでお早めに!』などのセールストークに乗り、即決しないことです。次に居ぬき物件。ここは誰かが商売をやめた跡地であると考えてください。ポジティブに考えれば設備費が浮く。ネガティブに考えれば同業者が商売をやめている。何か要因があって廃業したのかもしれないと即決を留まってほしいです。そして契約する前に必ず現地で人の動きを見ること、地域を見ること。それも通勤時間帯、お昼の時間帯、夕方の時間帯など、時間帯に分けて見てほしい。事前に周辺を地図で調べておき、現地で確認することが重要です。さらに欲をいえば、商圏分析ができていれば尚良しです。」

それではさっそく商圏分析を学びましょう!

そもそも、なぜ商圏分析が必要なのか?

田中氏 「例えば、商圏分析に目を向けず若者ターゲットの商売を始めたとき。若者はいるのに店に来ない……となり、地域を俯瞰して見ると若者がいるエリアとお店には大きな河川が通っていた。はたまた、広告をまいたエリアにはシニア層が多く、ターゲット層と違っていたなど、極端な例ですが、こういったことが起こりえます。多分こうだろうという“勘”で経営するのは危険。しっかりと地域のことを知り、自分の腑に落としてから商売を始めることが重要です。」

田中氏には、悩みを持つ経営者からよく聞く言葉があるそうです。それは「客が減った!」というもの。

田中氏 「開店当初から比べるとお客さんが減った!常連客が高齢化し、来店頻度が下がった!新規客がこない!などの声をよく聞きますが、こういったお店も商圏分析をしてみると、商圏内に人はいるんです。」

田中氏 「お客さんが減る要因を考えてみると、地域に入ってくる方、去る方という社会増減。新しく生まれる、亡くなるといった自然増減。また周囲に魅力的な競合店ができたなど。すなわち、自店を知っている人が去り、知らない人が入ってくるといった「認知が地域の代謝に追いつかないお店」は、どんどんお客さんが減っていきます。」

商圏の広さを測ってみよう!

“来客の8割が居住している地域を商圏と言いましょう” これは、日本のチェーンストア理論の第一人者、渥美俊一さんの商圏の定義です。 商圏の定義というのは、実は定着したものがないそう。田中氏の言う商圏は、渥美さんの定義としているものになるそうです。 さて、商圏の定義を確認しました。次は正しい商圏を設定する方法です。

田中氏 「正しい商圏を設定する方法は、実際の来店客を数える以外にありません。すなわち、開店しないと分からないというもの。そのため、開業前はある程度の“当たり”をつけないといけない。」

その当たりをつける方法として、田中氏は便利なツールを紹介してくれました。
jSTAT MAP(総務省統計局提供GIS)
このツールでドライブタイム圏*を設定してみましょう。 *ドライブタイム圏とは、ある交通手段を使った際に行ける範囲のこと。

田中氏 「このツールを使い、物件の見返しをしてほしいです。近くに駐輪場はあるのか、あれば移動範囲は自転車圏も対象内。駐車場も同様ですが、小規模で新規開店する場合は、自動車圏内は考慮せず、徒歩圏内の設定をしましょう。基本的にお客さんの分布というのは足元が濃くなり、遠くなるほど薄くなるもの。徒歩圏にフォーカスした方が良いです。jSTAT MAPにはレポート機能もあるので、ぜひ活用してください。」

商圏の情報を集める!

インタネーットで収集できる情報もあれば、足を運ばないと分からない情報もあります。商圏内の集めるべき情報は下記3つ。

★人の情報:通行人・利用者の“質”を調べ、自店と比較する。
★店の情報:自店に近い順にできるだけ多くの競合店に足を運び調査する。
★土地の情報:地理的特徴を調べる。

商圏の情報を集めたら、今度は読み解いていきましょう。 jSTAT MAPのレポートを活用し、ターゲットはどれだけいるか、世帯構成と来店客層の差はどうなのか。また、これまで調べて来た情報で自店と競合店の比較もしていきます。

田中氏 「こうした商圏分析の結果を経営に活かすことで、“売りたいものを売る店”でなはく、“地域から求められる店”になっていきます。」

以上、「店舗ビジネスを始める前に押さえるポイントと準備すること」のイベントレポートでした。

\イベントをチェックしたい方はこちら/

startup-station.jp