創業助成事業 利用者インタビュー
株式会社MUSE 笠置泰孝さま
株式会社MUSE

小売業の人手不足と売り場活性化を実現。
マルチユース ストアロボット「Armo」で
新たな店舗体験を提供する。
COMPANY INFORMATION
株式会社MUSE
東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル5F xBridge-Kyobashi内
「ロボットで世界の人々に、インスピレーションを」をミッションとし、2022年4月に設立。従来のロボット導入の主目的である省人化や人件費削減だけではなく、よりロボットに求められる+αを追求して、様々な付加価値を与えられるような製品開発を目指している。
代表取締役CEO 笠置 泰孝(かさぎ やすたか)
一橋大学商学部卒業後、新日本有限責任監査法人、ゴールドマン・サックス証券で勤務。その後ZMPにて物流ロボットCarriRoシリーズの立ち上げから量産拡販まで7年間従事。国内で延べ300社以上の倉庫又は工場への導入実績を残す。2022年4月にMUSEを創業。
-起業のきっかけ-
誰も着手しなかった小売業界の難題を、ロボティクスの力で解決したい

大学時代に愛知万博のロボットパビリオンで、人間のような頭脳や感情を持つかのように動くロボットを見て、動きが直線的・反復的という従来の機械全般へのイメージが覆り、ロボットが浸透することで社会や生活が大きく変わるだろうと衝撃を受けました。そこから、「ロボティクスの力で社会課題を解決したい」という想いを抱くようになりました。
前職では、工場や倉庫内で働く物流ロボットの立ち上げから量産拡販に携わっていました。その中で、小売業のお客様から「店舗でロボットを活用し、品出し等の業務を効率化したい」というご相談が数多く寄せられていました。
小売業界は、人手不足解消や業務効率化が喫緊の課題。品出しなど、「直接的には付加価値を生まない作業」の負担をロボットの導入で減らし、従業員の方が注力すべき業務に集中できるようにしたいという想いはありましたが、工場や倉庫と小売店舗では、まるで環境が違います。ロボットの動きに合わせてレイアウトやオペレーションが組みやすい前者に比べ、スーパー等の小売店舗はお客様優先の施設であり、ロボットとお客様が共存することによる安全性の問題など、乗り越えるべき課題が多く、相談を頂いてもお断りしていました。
しかし、それから6年ほどの月日が経っても、小売業でのロボット活用はほとんど進んでいませんでした。それだけ難しい課題だということですが、「だからこそ、腰を据えて取り組む価値があるのでは」と考えるようになりました。相談者の切実な表情が心に残っていたことも、創業の後押しになったと思います。
-事業化に向けて-
データで満ちた店舗を行き交う働き者! マルチユース ストアロボット「Armo(アルモ)」

現在は、ロボットとデータ活用を組み合わせ、小売店舗の人手不足解決と、売り場活性化を実現するプラットフォームを開発しています。品出しから、売り場画像などの店内データの収集まで多様な業務を行えるストアロボット「Armo」による店舗運営サポート、そして「Armo」が収集した売り場画像を「Eureka Platform」というクラウドサービス上で蓄積、データベース化し、小売企業とメーカーをつなぐプラットフォームサービスを展開する計画です。「Armo」と「Eureka Platform」を導入いただくと、店舗経営者にはコスト削減を、従業員には労働負担の軽減を、買い物客にはより良い店舗体験を提供できます。
「Armo」の最大の特徴は、品出し・在庫管理・接客など現場仕事を担いながら、店内データ活用を同時に実現できることです。また、「データ収集よりも、まず品出しをサポートしてほしい」といった個々の顧客のニーズに合わせて機能を取捨選択できてスモールスタートしやすい点、簡単な操作で導入できる利便性が、顧客から高い評価をいただいています。
創業助成事業の存在は、創業直前にTOKYO創業ステーションの「プランコンサルティング」を受けた際に知りました。初期の事業運営には、資金面の安定が不可欠です。本事業の助成金は、エンジニアの人件費、PR動画の制作費として活用しました。この時制作した動画は今も活用しており、海外のお客様からも「クールだ」と評判です。
ディープテック系ベンチャーの場合、VCの出資が運用資金の核にはなりますが、投資タイミングが想定より遅れることも多々あります。本事業のような助成の活用は、計画通り事業を進める力になります。創業者の方にはぜひおすすめしたいです。
また、助成金そのものもありがたかったですが、助成事業の交付実績が金融機関やVCへの信用力を高め、次の資金調達にもつながりました。
-これからのビジョンは?-
データ活用を見据えたマルチユースロボットを極め、国内外の小売業の力になりたい

「Armo」は店舗作業を行いながら、リアルタイムの画像データを集められることが大きな特徴です。小売店舗の売り場画像を収集することで、将来的には地域特性に合わせた仕入れや、最適な棚割りなどをAIで導き出すことが可能だと考えています。「Armo」を低コストで安定的に質の高い売り場のデータを集められるNo.1ロボットにすることが、今後のミッションです。
また、短期的には国内での導入店舗数を増やすこと、長期的には海外市場に進出し、グローバル企業となることを目指しています。小売業の抱える課題は国内外で変わらず、重労働の自動化・省力化が求められています。長年、少人数での重労働を強いられている現場の力にもなれる「Armo」は、ロボットビジネスの中でも十分戦えると思っています。
創業を目指す方へ~応援メッセージ~
私は、大学時代にロボットの世界に出会ってから約10年間、その世界に踏み出したくても踏み出せず、悶々とする日々を過ごしていました。もし、今そのように一人で迷われている方がいたら、まずは最初から大きなリスクを取らず、副業や、スタートアップ支援プログラムへの応募といったアクションを起こすことを勧めたいです。
同じ志を持つ仲間を集めたり、支援制度を活用することで、課題は必ず乗り越えられます!