創業助成事業 利用者インタビュー
株式会社recri 栗林嶺さま

株式会社recri

株式会社recri 栗林嶺


鑑賞者・興行主の課題を解消し、空席を埋め尽くす。
チケットのサブスクサービス「recri」で
エンタメ業界と鑑賞者の人生を変える力に。

COMPANY INFORMATION

株式会社recri
東京都港区元麻布三丁目10番4号Re-Flat 503
2020年創業、ユーザーの好みや予定に合わせて、舞台のチケットが毎月届くサブスクサービス「recri」の運営を行う。「心を動かすエンタメとの出会いで、人生を面白く」をビジョンに、「感性溢れる、刺激的な世の中を」をミッションに掲げている。



代表取締役 栗林 嶺(くりばやし りょう)
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、株式会社電通に入社。クリエイターとして幅広いコミュニケーション設計やクリエイティブ制作を手掛ける。2020年4月から安倍・菅・岸田の3代に渡り、首相官邸のクリエーティブディレクターを務め、政府や総理の表現を統括。日米首脳会談やG7サミットなどの外交の場にも同席した。その後recriを設立し、代表取締役に就任。



-起業のきっかけ-
エンタメ業界の力になりたい。ビジョンを共有する仲間と創業の道へ


株式会社recri 栗林嶺


前職でクリエイターとして働く中で、役者やアーティスト、興行主(製作サイド)との関わりが強まり、エンターテイメント業界の課題を痛感したことが創業のきっかけです。興行主は、集客に苦戦して空席に苦しんでいるし、業界には制作側がつくりたいものをつくる(プロダクトアウト)というベースが根強く残り、新たなファン層の獲得に繋がりにくいという課題を抱えています。

一方、鑑賞者側も、芸術鑑賞に敷居の高さを感じて踏み出せなかったり、選択肢が豊富すぎて自分で体験する作品を選べなかったりする。さらに、チケット代は安いとは言えず、購入システムはアナログで面倒(コンビニ発券等)といった課題も同時に抱えています。


現在、日本のエンターテインメント市場は約1兆円規模とされていますが、同時に約3,000億円分の空席が存在しています。空席の原因である、業界と鑑賞者の双方の課題を解消したいという気持ちが強まり、大学時代からの同級生2名を巻き込んで創業に至りました。

創業メンバーは、それぞれ異なるスキルを持ちながら、過去に音楽やダンスに没頭し、業界の課題感を肌で感じてきた仲間です。エンタメ業界で苦しいながらも夢を追っている人、夢半ばで諦めてしまった人など、「助けたい人」が一致している仲間と創業できたことは、事業を進める上で大きな力になっています。


-事業化に向けて-
鑑賞初心者と興行主の橋渡し。チケットのサブスク「recri」で空席を埋める


商品 チケット


現在は、チケットのサブスク「recri」というサービスを展開しています。「recri」は、ユーザーの好みや予定に合わせ、舞台鑑賞のチケットを毎月届けるサブスクリプションサービスで、新たな顧客との出会いを求める興行主と、これから芸術に触れたいと思っている鑑賞初心者をつなぎ、前述した両者の課題を解消します。大手興行主(エンターテイメント企業・テレビ局・新聞社・劇場・美術館・劇団など)の90%以上と提携済みで、ユーザー数も累計5,000名(2025年2月現在)と急速に拡大中です。

「recri」を使う鑑賞初心者は、定額でお得にチケットを入手でき、チケットが送られてくるので発券の手間もない。マッチングシステムと知識豊富な専門家の目利きで、厳選された作品だけが提案されるので、選ぶ難しさも解消されます。そして「『recri』ならでは」と評価いただいているのは、作品を楽しむための「解説レター」のお届けです。足を運んでいただくからには良い体験にしていただきたいという想いで実施しています。

興行主の間には、「集客に困ったら『recri』に相談」という認識が広がってきました。「集客が低調でも売値を下げられない」という悩みもサブスクサービスに組み込むことで解決できますし、鑑賞初心者に作品の魅力を丁寧に伝え、個々に合わせた提案をすることで、実際に空席が埋まっている点を評価いただいています。


創業助成事業でいただいた助成金は、SNS広告の検証等に活用し、初期ユーザー獲得につなげることができました。また、賃借料についても助成を受けました。オフィスの賃料を意識せず、事業に打ち込めたのはありがたかったです。


申請書類の作成や面接審査は事業について言語化する機会となり、対外的な説明や発信をする土台になりました。スタートアップであっても財務の健全性が求められる時代、資金の余力は重要です。創業助成事業は業種に関わらずチャレンジできるので、ぜひ活用してほしいです。


-これからのビジョンは?-
鑑賞者のデータを集め、制作のあり方を見つめ直すきっかけをつくりたい


株式会社recri 栗林嶺


まだまだ、空席は埋められていませんし、芸術のハードルは高いです。今後は更なるユーザー拡大と、ユニットエコノミクス(1顧客あたりの採算性)の確立に向けて、サービスのアップデートとマーケティングに注力していきます。

また、「recri」のユーザー(鑑賞者)のフィードバックデータを活用し、「当たる作品」づくりをサポートできるのではと考えています。作品が求められなければ、そもそも制作を続けられない。今後、エンターテイメント業界でも、ユーザーの声を反映させた「マーケットインの作品」を提供する力になれたらという想いがあります。



創業を目指す方へ~応援メッセージ~

昨今の日本では、創業者をサポートする環境が整備され、低リスクで大きな挑戦に踏み出せます。迷っているなら、創業をおすすめしたいです。家族や友人、事業も含めて自分を応援してくれる人がそばにいてくれたら、きっと事業を続けられます。