インキュベーション施設を使う-起業ノカタチ-

インキュベーション施設を使う-起業ノカタチ-

インキュベーション施設を使う-起業ノカタチ-"


インキュベーション施設を使う-起業ノカタチ-"

創業者と、インキュベーション施設のマネージャー(以下IM)のお話を通じ、「インキュベーション施設を拠点にビジネスをすると、どんなことが起きるのか」を具体的に探るインタビュー。
今回は、株式会社ダズ・インターナショナル 代表取締役 林カズキさんと、同社が入居される東京都認定インキュベーション施設『コワーキングスペースDIGIMA BASE』のコミュニティマネージャー小林 元さんにお話を伺います。


DIGIMA BASEを利用する 先輩起業家 林カズキさんのストーリー

DIGIMA BASEは海外ビジネスに特化したコミュニティスペース。市ヶ谷駅から歩いて2分に位置する100坪の広々としたスペースで、海外ビジネスに必要な「学び」「出会い」「仕事場」を提供しています。
林さんは、2019年8月にDIGIMA BASEへ入居。創業者歴は長く、個人事業主になったのは18歳の頃からだそう。その後、ニューヨークへの留学を経て25歳でニューヨークにて法人を立ち上げて以来、さまざまな会社の創業、経営を経験されてきました。


林カズキさん

林 カズキ さん
株式会社ダズ・インターナショナル 代表取締役

1980年生まれ。音楽・エンターテインメント業界にどっぷりな十代を経て、経験値を広げるためニューヨークへ。現地ユダヤ人とのビジネスに没頭して起業。様々な分野でのプロジェクトマネージメント案件に従事する。
同時に、広告の企画制作・Webソリューション・コンサルティング事業にも従事。アメリカを中心に、タイ・ベトナムなど東南アジアへのビジネス展開を開始した。 現在は「Globalな視野でLocalに攻める “GLocal “」をテーマに、アメリカ・東南アジア各国の特派員・パートナー企業と連携して日本企業の海外進出をサポート。2020年、ASEANエリアでの進出に特化した「ASEANビジネス研究所」を設立。同年、海外での販路開拓を目的とした「DOES FACTORY」を始動。


小林元さん

小林 元 さん
コワーキングスペースDIGIMA BASE コミュニティマネージャー

1983年生まれ。2006年、文星美術大学・文化服装学院での学生生活を終えて起業。仲間とともに「自分たちの作ったもので食っていける世界を作りたい」とデザイン事務所的な事業を始めるも、わずか1年で廃業。「一番好きなもので失敗したから、今度は二番目に好きなことを仕事にしよう」と考え、地元福島の飲食企業に就職。8年半、店長として飲食店に勤務する。その後、2017年にKFSに転職し東京へ。2018年6月、DIGIMA BASEコミュニティマネージャーに就任。過去の経験を伝えながら、コミュマネ・インキュマネとして活動中。



TALK1 創業者としての原点、DIGIMA BASEとの出会い


TALK2 コワーキングスペースは、みんなの「得意」を使える場所援


TALK3 誰よりも新しい道に踏み込んでいる創業者は、もっと人を頼っていい!


TALK4 インキュベーション施設からはじまる、予想外の未来



創業者としての原点、DIGIMA BASEとの出会い

――まず、ダズ・インターナショナルの事業内容について教えてください。


林さん:主な事業内容は、世界をマーケットと捉えるお客さまの海外進出をサポートすることと、そのサポートに必要不可欠なウェブソリューションです。まず海外進出サポートですが、海外事業の成功を目指し、コンサルタントとして目標を見える化。ロードマップを描きます。細かいところだと「ご家族が海外でどんな暮らしをしたいか」までヒアリングして実現するので、ダズに任せてもらえたら、海外でのビジネスから生活までまるごとサポートできます。
ウェブソリューションは、WEBマーケティング・製作を行う仕事です。見込み客を集め、行動してもらうためのオンライン施策をご提案し、実際に形にします。



――もともと、創業についてはお考えでしたか?


林さん:父が会社経営者だったこともあり、頭にありました。今でも「誰かの困りごと解決はビジネスになる」と思っているのですが、それを実感したのは中学生の頃。どこまで言っていいのかな(笑)。ある男友達が「あの可愛い子と付き合いたいけど、俺じゃ無理だよな」とぼやいていて……これは困りごとですよね。そこで、どうしたらその子と付き合えるかを考え、作戦を実行するための実費をもらい、あとは成果報酬みたいなことをしていました。まわりに裕福な家庭の子が多かったので結構稼げて(笑)。


――(笑)。それが創業者としての原点だったんですね。
   では、DIGIMA BASEを知ったきっかけはなんでしたか?



林さん:2019年の夏前に、DIGIMA BASEからメールが来たんです。もともと海外進出サポートをする中で、DIGIMA BASEの母体である海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima~出島~」は知っていましたが、コワーキングスペースについては初耳。


小林さん:オープン当初、DIGIMA BASEは集客に苦労しました。当時は今以上に「海外」にこだわっていたので、海外ビジネス系の事業者さんをピックアップして、メールで勧誘していた時期がありました。今、入居されているのは、海外ビジネスに取り組まれる方4割、創業者3割、その他3割くらいです。



林さん:当時、スタッフも4名ほどだったのでオフィスは解約し、居心地のいいルノアールでミーティングを繰り返していました。ある日ふと、「あれ、俺、ルノアールで毎月いくら使ってるんだろう」と我に返ったときに刺さっちゃったんです、そのメールが(笑)。月のお茶代以下でコワーキングスペースに入居できるなら、一度話を訊いてみようと。


――お話を訊かれて、入居の決め手はどんなところにありましたか?



林さん多くの方と出会えると思ったことが一番ですね。セミナーも開催されていて、黙っていても海外ビジネスに関心のある方が集まることは魅力的です。DIGIMA BASEを利用するメンバーさんとのご縁を通じて、さらにビジネスチャンスが広がるはずだと思いました。


小林さん:ネットワークづくりはIMとして意識してきましたね。最終的には、メンバーさんのビジネスが成長しないと意味がないと思っているので、仕事になりそうな案件があったら、その場にいるメンバーさんに相談していました。


――メンバーさんの仕事内容や人となりを知らないと、お仕事の依頼はなかなかできませんよね。



林さん:小林さんは傾聴力がすごいんですよ。仕事の話題だけでは足りないと思えば、趣味のことまで必死で訊き出す。声かけも積極的で行動力もあって。困惑するメンバーさんもいたと思うけど(笑)。




小林さん:(笑)。そうだと思います。この仕事をする前は、店長として飲食店で働いていました。アルバイトで「仕事が最優先」という人はほぼいないので、仕事場で見せる姿からはほとんど何もわからない。何か問題が起きても糸口すらつかめないのは辛かったので、あの手この手で話を訊くようにしてきました。
その試行錯誤を今も続けているのかもしれません。DIGIMA BASE入居の面談でも、いろいろなことを伺います。その方にとって、新しい出会いだったり仕事だったり、会費以上のプラスをお渡しするためにも知っておきたいことがあるので。

コワーキングスペースは、みんなの「得意」を使える場所

――林さんがコワーキングスペースで感じた、具体的なメリットはありますか?


林さん:今、売上の7割はDIGIMA BASE関連になっています。コロナ禍で、自分が一番得意とする営業ができなくなったとき、小林さんも含めコワーキングスペースで顔を合わせてきた方々からお仕事をいただけたんです。「こんなことできますか?」というオーダーをひとつひとつ、形にすることで、また実績をつくって。




――実際に売上が上がるというのは、すごいメリットですね。


林さん:そうですね。ただ、創業者がコワーキングスペースを拠点にする最大の魅力は、自分や、自分のアイデアを客観的に見てくれる人がいることだと思います。社長のイエスマンしかいない組織は、ただこなせる業務量が人数分増えただけで、そこには社長の考え方しか存在しない。変化の度合いやスピードが桁違いの今、それほど怖いことはないんです。そんなとき、認定インキュベーション施設であるDIGIMA BASEのIMさんやスタッフさんからアドバイスや感想をもらえると、入居して本当によかったと思います。




小林さん:わたしたちも言い方は変ですが、メンバーさんのことを100%お客さんとは思っていません。利用者として大切にしたいが50%、残り50%は仲間のような親友のような立ち位置だと認識してますね。大切な利用者さんだからよりよい状態になってほしい。親友だから、ズバッと言うときは言える。


林さん:あと、DIGIMA BASEならではのメリットとしては、海外進出に関するデータを活用できることと、海外ビジネスの専門家にすぐ相談できる環境が整っていることですね。


小林さん:DIGIMA BASEは、日本企業の海外進出を支援する株式会社Resorzと税務・創業・経営を支援するKFSグループの2社で運営されています。Resorzは全国から海外ビジネスに関するご相談を受けているので、最新の海外進出に関するデータが蓄積されていますし、KFSは経営に関するお金周りのプロ。海外ビジネス案件や海外を見据えた創業なら、2社にご相談いただけるとスムーズです。


林さん:結果的にクライアントにとって、困りごとが誰によって解決されたかは関係ない。だからDIGIMA BASEの専門家陣は、自社の頼れる顧問のように考えています。


誰よりも新しい道に踏み込んでいる創業者は、もっと人を頼っていい!

小林さん:これから創業をする方・創業して間もない方に伝えたいのは「ビジネスの世界では赤ちゃんなんだから、創業者こそ人に頼っていい!」ということです。私もかつて創業経験がありますが、何をどうしたらいいか、誰に何を聞いていいかもわからず、すぐに廃業しました。
創業者は、誰よりも新しいことをしようとしている。だから、人に頼って当たり前。
今はIMとして「小林さんは、頼ってもいい人なんだ」と感じてもらえるようにしたい。NOは極力言わないですね。


林さん:頼るといえば、私も若い頃、先輩を捕まえて一晩中質問攻めにしていたことを思い出します。たくさん教わったから、今の若い人にも伝えられるものが自分の中にある。価値ある情報や経験を、自分ひとりで生み出すのは相当難しいですよ。




小林さん:そうですね。伸びていると感じる人や会社は「協力してほしい」と周囲に頼れている場合が多い。頼れるということは、自分たちが困っていること、足りないことがよくわかっているということでもあります。


林さん:小林さんは以前、あるメンバーさんの会社で「スタッフとの関係で悩んでいる」と訊き、すぐにそのスタッフさんと飲みに行ってました。そこまでするのかと感心しましたね(笑)。
最近、70半ばの親父に「この歳になると、誰からも思い出されない、使ってもらえない。今のうちからたくさん人を使え、それ以上に使われろ」って言われたんです。真理だろうと思います。
頼って、頼られて、関わり合いが増えるほど、人が喜んでくれる仕事ができるようになると思います。


インキュベーション施設からはじまる、予想外の未来

――コロナ禍に、お二人でいろいろなことを話したそうですね。


林さん:DIGIMA BASEに全然人がいない時期ですね。この先について深く話す機会が増えて、小林さんとダズ・ファクトリーという新サービスを一緒に始めることにしたんです。海外で販売・プロモーションするためのインフルエンサー起用から、販売促進企画・戦略を共に考えるサービスです。


小林さん:インフルエンサーとしてこのプロジェクトで活動するのは、タレントや俳優志望の若者やモデルたち。彼らは、コロナ禍で夢に挑戦することすらままならない状況になってしまいました。夢を追う人が「心からやりたいこと」を続ける第一歩を提供することが、ダズ・ファクトリーのひとつのミッション。彼らが<インフルエンサー=影響力のある人物>として実績を重ねるステージを用意し、エンタメ業界での夢実現をサポートします。私は今、インフルエンサーたちのマネジメントを担当させてもらってます。


――まさかの、IMさんの二足のわらじ!



小林さん:昔、「アイドルプロデュースをしたい!」という夢があったのですが、この歳になって実現するとは(笑)。この仕事は私が好きでやってるんで、タダで手伝わせてもらっています。私は、「海外ビジネスに強い!」と謳っているインキュベーション施設にいるのに、実は海外に行ったこともないんです……。それが、DIGIMA BASEのIMとして自信が持ち切れない原因でもあったので、ダズ・ファクトリーを通じて海外ビジネスに触れる機会をいただけて感謝しています。メンバーさん同士の恊働はありますが、私を使って、相乗効果を出そうとしてくれるメンバーさんがいるならIMでも一緒に仕事ができるんだと、自分でも驚いています。


――では、お二人の見つめる未来について教えてください。




林さん:今、ビジネスを立ち上げるなら、海外市場抜きに考えることが不自然という時代になりました。私たちは、海外進出に向けたビジネスプランから現地での暮らしまで丸ごとサポートし、「転ばぬ先の杖」をご用意します。ちゃんと転ぶことも大事なのですが、ちょっとした言葉の壁や習慣の違いで大けがをしてビジネスチャンスを逃したりしないように、これからも支えたいと思っています。タイやシンガポールで働きながら暮らすことが、東京から大阪に移るくらい身近なものになれば、わたしたちのビジネスは必要ありません。その先はまた別のことをしていると思います。


小林さん:IMとしては、自分のビジネスを急成長させられるスターメンバーを輩出したいですね。そのためにも、私の課題は退会率を下げること。長期的にお付き合いすることで、メンバーさんに提供できるものも、より深く多くなるはずだと思っています。コロナ禍で状況は激変しましたが、オフラインだからこそ提供できるものについて深く考えていきたいです。





――最後に、創業者の方へ伝えたいことはありますか?


林さん:創業以来、怖いという気持ちは今でもなくなりません。全部が自分の責任ですし、時代の変化は激しくて先行きはとても読めない。でも、永遠に安心できる職場はないと多くの人が気付いた今から、さらに面白い時代が来るはずです。不透明な時代にあって「だから不安」ではなく、「だから楽しい、それが人生だ」と言える人間でありたいと思いますね。


小林さん:「何かはまだ分からないけど、チャレンジしたい」と思った方は、ぜひコンタクトをとってほしいです。「何か」が決まっていなくても、じっくりお話を伺って、DIGIMA BASEとしてできることを考えます。
また、先行き不透明な時代だからこそ、インキュベーション施設での起業はいいんじゃないかと思います。DIGIMA BASEでも、月ごとに利用人数を増減される会社が増え、組織の在り方が柔軟になってきているのがよくわかります。スペース内に頼れる人がいて、時代の変化に対応しやすいインキュベーション施設での起業、私はおすすめしたいです。





株式会社ダズ・インターナショナル 新宿区市ヶ谷八幡町2-1 DS市ヶ谷ビル3階




DIGIMA BASE 新宿区市ヶ谷八幡町2-1 DS市ヶ谷ビル3階





 
岡島 梓

ライター 岡島 梓

150名を超える経営層・事業家へのインタビューを行い、ビジネス系メディアでの執筆多数。記事の作成、キャッチコピーの開発を通じ、取材対象 者の思いや魅力を伝わりやすく再構築している。
早稲田大学第一文学部卒業後、2007年東京地下鉄株式会社へ入社。人事業務に従事し、退職後にライターとして活動。2020年、インタビュアーとグラフィッカーがお客さまの思考の言語化をサポートする「ビジュアルインタビュー」をスタート。



※ 本レポートは、対談実施当時の情報を、レポートとして掲載したものです。実際に施設のご利用をされる場合は、各施設にお問い合わせください。

※認定インキュベーション施設は、優れた創業支援を行う計画を定めた施設を、東京都が認定した施設です。東京都中小企業振興公社は、認定インキュベーション施設のうち要件を満たす施設に対し、施設を整備する際の補助金などを交付し、事業の充実を支援しています。