わたしの創業ものがたり
株式会社メディカルコンチェルト 編

株式会社メディカルコンチェルト

既存の医療でフォローしきれない、病気を未然に防ぐ
保健室の様な存在を目指して、従業員と産業医を
オンラインでつなぐマッチングサービス。

COMPANY INFORMATION

株式会社メディカルコンチェルト
産業医と企業の双方に登録してもらい、従業員の健康相談を産業医がオンラインで受けるマッチングサービスを事業化。2019年6月26日設立。
https://medical-concerto.com



CEO / DOCTOR 宍戸 菜穂美
千葉県出身。北九州の産業医科大学卒業。産業医・医師免許取得後、大学勤務と並行して東京大学大学院へ進学。皮膚科専門医。2019年に株式会社メディカルコンチェルトを設立。2児の母。現在も産業医として活躍。



-起業のきっかけ-
産業医である自分にしかできないことがあるはず


株式会社メディカルコンチェルト

株式会社メディカルコンチェルトのCEOである宍戸さんだが、現在も産業医として最前線に立ち続けている。


社員への面接指導やストレスチェック、就業判定、健康意識向上の促進などを受け持つのが産業医です。従業員が1000人以上の企業には専属産業医の常駐が、 50人以上の従業員を雇っている企業にも設置義務が課せられ、それ以下の企業でも嘱託での設置が増えています。ただし、企業に選任されている産業医でも、自身のクリニックを持っている場合が多く、さらに複数の企業を請け負っており多忙を極めているのが実情です。つまり、依頼を受けてすぐに対応するのは現実的に難しい状況なのです。

 

私も、産業医の資格を持ちながら、皮膚科医として大学病院での外来診察に追われていました。診察する中で、「足が黒くなった」という患者様を受診した結果、糖尿病壊疽で足切断となるケースを多く見てきました。定期的に会社での健診を受けながら、どうしてここまで糖尿病の治療が遅れてしまったのだろう。


私は、産業医が多忙な故に、従業員の健康意識に深くかかわり切れていないからと考えました。産業医だからこそ、もっと従業員の身近なところで寄り添うことができるはず。そんな思いが日々強くなっていったのです。


そのような経緯から、産業医を必要とする企業と新たな活躍の場を求める医師の双方に登録していただき、オンラインで産業医と従業員をつなぐマッチングサービスを立ち上げることを決意しました。


-事業化にむけて-
公的な創業支援施策を活用してビジネスをブラッシュアップ


株式会社メディカルコンチェルト

もっと「身近に」「気軽に」使えるサービスにしていくため、日々サービスをアップデートしている。従業員-人事-産業医というフローを従業員-産業医とつながるホットラインのようなサービス提供を目指している。


起業準備をしている時にTOKYO創業ステーションの存在を知り、事業計画書の作成や資金調達について相談に行きました。偏りのない視点からの意見がもらえ、また凹んだ時には励ましてくれたおかげで、悩みが解消され、着実に起業へ向けて進むことができました。他にもStartup Hub Tokyoの交流イベントに参加し、個人的な相談や進捗具合を腹を割って話せる仲間と出会い、ネットでは無い様な生の声を共有する事が出来、今でも励ましあっています。


その後TOKYO創業ステーションからの紹介を受け、東京都の実施する青山スタートアップアクセラレーションセンター(ASAC)のプログラムに参加。毎月ピッチを実施するなど、5ヵ月間は猛烈な熱量で、私のようなゆるい起業家には汗だくの日々。何度もくじけそうになりましたが、必死に通って、事業プランをブラッシュアップし、進むべき道がはっきりしていきました。


今まで無いサービスの形なので、相手の心に自分の思いを届ける事は必要不可欠。ピッチは学会発表とは全く違い、多くを学ばせていただきました。営業の練習にもなり、また、聞いてくださった方からのお問合せにも繋がっています。


-これからのビジョンは?-
産業医をもっと身近な存在に


株式会社メディカルコンチェルト

メディカルコンチェルトのHPはコラム、Q&A、ストレスチェックなどで構成され宍戸さんの細やかな気遣いが表れている。


「産業医」というと堅いイメージがあるのか、身構えてしまう方が多く、創業当初はユーザーの獲得に苦労しました。そんな産業医のイメージを払拭して、従業員が安心して相談できるようにするにはどうすればよいのか。そこで、『メディカルコンチェルト』は産業医のプロフィールを公開することにしています。


『メディカルコンチェルト』が提供するサービスをシンプルに表現すると、企業の中に保健室を作るようなイメージです。「産業医=保健室の先生」という感覚で利用してもらい、健診でわからなかったことを聞きに来るくらい身近な存在になって、そこから未来の病気を予防できるようすること。それが目標になります。実際に、産業医相談を利用したことがきっかけで「長年糖尿病を放置していた従業員が受診し、治療に前向きになった」と報告を受けたときには、自分のやりたかったことのひとつが叶ったようで、そんな時は感無量になります。


最近、学生時代に教授が言っていたこんな言葉を思い出します。「産業医は病気を防ぐことはできても、治すわけではないから、ありがとうとは言われない医師」。でも、私は気軽に相談してもらえて、未来の病気を予防できる「感謝されない産業医」を浸透させていきたいと思っています。



創業を目指す方へ~応援メッセージ~

子育て中のママでも大丈夫!

私は、二人の子どもの出産と育児をしながら起業に挑戦しました。もちろん子育て優先。他の起業家たちにはスピード感で勝てません。でも、来年になったからといって出来る保証は無い。スピードで勝てないことは事業に失敗しているのではないと考えました。ゆっくりでもいい。最終的にゴールに辿り着ければ良いのです。

株式会社 メディカルコンチェルトの利用サービス
Startup Hub Tokyo
創業助成事業