わたしの創業ものがたり
合同会社Renovate Japan 編

空き家を活用して住み込みのアルバイトを提供することで、家と仕事に困っている人を支援。

空き家問題と貧困をサポートする
新たなソーシャルビジネス事業『タテナオシ』
誰もが生きやすい社会を目指して問題解決に取り組む。

COMPANY INFORMATION

合同会社Renovate Japan
「誰もが生きやすい社会」を目指し、貧困、差別、空き家問題の解決に取り組むソーシャルビジネス企業。2020年10月設立。
https://www.renovatejapan.com/

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代表／甲斐隆之
一橋大学卒業。トロント大学大学院修了後、日系シンクタンクに入社。公共政策の調査・コンサルティングに従事する。2020年9月に退職し、同年10月、合同会社Renovate Japanを創業。日本の貧困問題と向き合うソーシャルビジネスを展開。2022年2月よりアジア地域の貧困削減を掲げる国際機関で研究員も兼ねている。

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-起業のきっかけ-
貧困問題に興味を持ち民間企業でのアプローチに挑戦

私は6歳で父を亡くし、母が家計を支えて大学まで進学させてくれました。「限られたリソースの中で自分も努力した」と自負していましたが、大学の授業で国内外の貧困問題を改めて学んだとき、母や自分の力だけではなかったことに気づきました。私の場合、遺族年金や公的教育など社会的なセーフティネットのサポートを受けることができて、幸運に恵まれていたのです。一方で、さまざまな事情でそのような制度にたどり着けない方もいます。運要素が強いなかで人生が左右され、貧困から抜け出せない方がいるわけです。私の貧困に対する問題意識は高まり、社会的なセーフティネットの政策や制度設計の根幹に関心を持つようになりました。

大学卒業後は、貧困問題に対する見識を深めるために、奨学金を得てトロント大学の大学院で開発経済学を専攻しました。開発経済学は、貧困問題の原因や特質を明らかにし、貧困を削減するための開発戦略を探求する学問です。

大学院修了後は日系のシンクタンクに入社し、公共政策の調査やコンサルティングに従事しました。そこで感じたのは、公共政策にも限界があるということです。たとえばホームレス状態の方々に一時的な宿泊所を提供するシェルター事業では、相部屋が多いと言われています。しかし、切羽詰まっているなかでの相部屋生活は厳しく、逃げ出してしまう方もいます。「個室があればいい」と思うわけですが、公共政策は画一性を重視するため個別対応はできず、原則すべてを個室にしなければならないので、膨大な予算確保が必要となり、足取りは重くなります。一方で民間であれば画一性に縛られず、少しずつでも問題解決が図れるわけです。「民間からでもできることを、新たな仕組みとして作ってみよう」と、起業を決意しました。

-事業化に向けて-
資金調達のために活用した公的支援

このビジネスプランを具現化するうえで、TOKYO創業ステーションは心強い存在でした。コンシェルジュにはホームページのコンテンツに関するアドバイスをいただき、プランコンサルタントにはアイデアのイメージが伝わりやすい文章・事業計画となるよう表現の指導をいただきました。創業者向け提携保証制度のスピリッツ（※）にも採択され事業拡大に向けた資金を確保することができました。

-これからのビジョンは？-
『タテナオシ』事業を全国に拡げて社会現象のようにしていきたい

弊社は「誰もが生きやすい社会」を理念に掲げています。「生きづらさ」を感じている方々が、何に不安や困難を抱えているのか、次に踏み出すためにはどうしたら良いのか、利用者と一緒に向き合っていきます。

起業から約2年が経ち、取り組んだ『タテナオシ』は4軒になりました。そこから5人が新しい道に進み出しています。「世の中で生きづらさを抱えている、もっと多くの方に『タテナオシ』を届けたい」、今後はその実現のために、全国展開に取り組む予定です。社会貢献とビジネスを両立させながら事業規模を拡大し『タテナオシ』を展開していきます。

※スピリッツ：「プランコンサルティング終了者」「創業助成事業の書類審査通過者」がお申込みいただける創業者向け提携保証制度（東京信用保証協会との提携）。

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創業を目指す方へ～応援メッセージ～

起業の際は事前に細かい仮説検証や市場調査を行うと良いと思います。起業準備にもコストがかかるので、まずはしっかり資金計画を練ることも大切です。困難を乗り越え、自分のアイデアが社会に届き始めると、とても楽しくやりがいもあります。粘り強く挑戦してください。