わたしの創業ものがたり
しらさぎふれあい助産院 編

しらさぎふれあい助産院 木村恵子

安心して出産、授乳、育児ができるよう、自身の経験を活かしたケアやアドバイスを心がけている。


「また産みたい」と思える出産と
ラクで楽しくできる母乳育児を実現するために
ママと赤ちゃんに寄り添うサポートを提供。

COMPANY INFORMATION

しらさぎふれあい助産院
東京都中野区鷺宮3-3-6 シュプール101
自然分娩、産後ケア、母乳相談、育児相談、マタニティー相談などを通じ、産前・産後の女性をサポートする。2015年3月設立。
https://www.shirasagifureai.com/



院長/木村恵子
短大卒業後、外資生命保険会社に勤務。結婚後、3児の出産を経て聖母大学(現・上智大学看護学科)に入学し、看護師・保健師・助産師免許を取得。病院勤務、東日本大震災被災地での助産活動、助産院勤務などを経て、『しらさぎふれあい助産院』創業。2018年、中野区のデイケア業務委託事業を開始。2022年、現在の場所に移転。



-起業のきっかけ-
助産院での出産を経験しお産に関わる仕事に就くことを決意


しらさぎふれあい助産院 体を休める布団が敷いてある部屋

産後の体を休めながら、母乳指導、育児相談が受けられる宿泊型のケアサービスもある。


私は第一子の出産後、乳腺炎になり、お産をした病院で乳房マッサージを受けましたが、あまりにも痛かったので継続してケアを受けることを断念し、実家近くの母乳相談所に行ってみました。母乳相談所でケアを受けると痛みはまったくありません。調べてみると、そこは全国から来院者が集まる母乳ケア専門の助産所で、診ていただいたのは著名な先生でした。私は乳腺炎を治していただいた後も、母乳や育児の相談に通うようになりました。


第二子を妊娠したとき、先生に助産院を紹介していただきました。助産院では自然分娩ができるよう妊娠初期から心のケアを始め、睡眠や食事、冷え対策や適度な運動などの指導で、心も身体も健康になるサポートをしてくれます。私が通った助産院はとても素敵な助産師さんが運営しており、院内の雰囲気もリラックスできて良かったので、妊娠中も前向きな気持ちになれて安心してお産ができ、「また産みたい」と思え、実際第三子もここで出産しています。産後の入院中は助産師さんの仕事に感銘を受ける毎日でした。そして、出産の現場に立ち会いたい、お産に関わる仕事がしたいと思うようになり、助産師を目指すことを決意しました。


-事業化に向けて-
自宅の一室からスタートした助産院 規模を拡大するために助成金を申請


しらさぎふれあい助産院 食事

こだわりの食材と調味料を使った「しらさぎごはん」も好評。


その後、子育てが一段落したところで看護大学に入学しました。在学中には、以前お世話になった母乳相談所の先生の下で働く機会にも恵まれ、事務の補助が中心のアルバイトでしたが、出産関連の教材や先生の本を熟読することが毎日の宿題でした。また先生のアシスタントのような仕事もしていたので、母乳ケアのマッサージや母乳育児の考え方を学ぶことができ、貴重な経験を積むことができました。先生から学んだことを活かして、ママさんに寄り添い、安心して出産や母乳ケアができるアットホームな助産院を自分の手で作りたいと考えるようになっていきました。


看護大学を卒業後は修行のために病院や助産院に勤務し、2015年3月に自宅の一室を改装して小さな助産院を開業しました。しかし、その直後、一番の理解者で応援者であった夫が急逝。大変悲しい出来事が起こりましたが、それを乗り越え、残してくれた資金をもとに2017年に自宅を大改装し、設備を増やして規模を拡大しました。


TOKYO創業ステーションを知ったのは2020年でした。利用者も増え、自宅では手狭になっていたので、移転して新しい設備も整えたいと考え、中小企業診断士に資金の相談をし、創業助成事業を知りました。TOKYO創業ステーションの担当者の方は、丁寧に創業助成事業のことを説明してくださいました。助成金は賃借料、人件費などが対象になりますので、スタッフの増員に合わせ、人件費の一部に助成金を充て、計画していたとおり移転して設備を整えることができました。


スタッフは増えましたが、それ以上に来院者は増え続けており、スタッフにはこれまで以上に負担をかけています。私は、当院を支えてくれているスタッフには、もっと多くの報酬を支払いたいと常に考えています。どうすれば増える人件費を捻出できるのか、この経営的な課題は必ず解決したいです。


-これからのビジョンは?-
利用者の要望に応える業務拡大に加え助産院の新規開院もサポートしたい


しらさぎふれあい助産院 木村恵子


『しらさぎふれあい助産院』では、愛情ホルモンと言われるオキシトシンがたっぷりの状態で出産と子育てをしてほしいという観点から、母乳相談、育児相談、マタニティー相談、産後のデイケア、イベント開催などで、ママさんたちをサポートしています。


現在、中野区、杉並区、練馬区から、産後のデイケアを業務委託されています。ところが産後デイケア、ショートステイ(宿泊型産後ケアサービス)は常に予約が埋まっている状況です。これを改善するなど、今後も多くの人に産後ケアが提供できるよう継続的に運営の見直しを行っていきます。産後のアウトリーチ(助産師訪問)も、もっと充実させ、また当院の運営実績を踏まえ、これから助産院を開業したい人を対象にした開業塾のようなセミナーを企画して、きめ細かいケアができる地域の助産院の増加にも貢献したいと思っています。



創業を目指す方へ~応援メッセージ~

多くのスタッフとともに活動していますので、意見や考えをまとめるのに悩むときもありますが、切磋琢磨しながらより良いものを目指す楽しみもあります。創業することで仲間を得て、やりたいことを形にできますので、迷っても挑戦してみた方が良いと思います。

しらさぎふれあい助産院の利用サービス
創業助成事業