当期純利益とは?【5分でわかる簡単解説】
当期純利益とは?【5分でわかる簡単解説】

【結論】当期純利益とは、企業が1年間のすべての活動を終え、税金などの全ての費用を差し引いた後に最終的に残る利益のことです。株主への配当や内部留保に回される資金の源泉となり、企業の最終的な収益力を示す重要な指標です。
目次
当期純利益とは?基本の意味と役割

当期純利益は、企業の損益計算書の最下段に表示される「最終利益」です。これは、売上高から売上原価や販管費を差し引き、営業利益を計算し、その後営業外収益・費用、特別利益・損失を反映させた「税引前当期純利益」から、法人税や住民税、事業税などの税金を差し引いた金額です。 この利益は、株主に分配される配当金や、企業が将来の投資や成長のために積み立てる内部留保の原資となります。当期純利益が安定して高い企業は、資金繰りや投資余力に余裕があり、長期的な成長が期待されます。一方、赤字(マイナス)の場合は、資本の減少や財務健全性の悪化につながるため、経営改善が急務となります。当期純利益は単なる数字ではなく、企業の健全性や持続的成長性を測る上での重要な指標です。
当期純利益の計算式と具体例
当期純利益は次の計算式で求められます。
当期純利益は次の計算式で求められます。
【具体例】
ある企業の年度データが以下の通りだったとします。
- 税引前当期純利益:2,000万円
- 法人税等:600万円
この場合、
当期純利益=2,000万円−600万円=1,400万円となります。
さらに当期純利益率は、
当期純利益率(%)=当期純利益÷売上高×100
売上高が1億円なら、1,400万円÷1億円×100=14% です。 この数値が高いほど、売上に対して最終的に残る利益が多いことを意味します。当期純利益率は、企業の本当の稼ぐ力を表すため、経営分析や投資判断で特に重視されます。
税引前当期純利益や経常利益との違い

当期純利益は、税引前当期純利益や経常利益と異なります。
- 経常利益:本業+財務活動など、日常的な活動の利益。
- 税引前当期純利益:経常利益に特別利益・損失を加減した利益。税金を差し引く前の最終利益。
- 当期純利益:税引前当期純利益から法人税などを差し引いた、最終的に企業に残る利益。
例えば、経常利益が高くても、特別損失が大きければ税引前当期純利益は減少します。さらに法人税負担が重ければ、当期純利益はさらに減ります。このように、当期純利益は最終段階の利益であり、税務の影響を強く受ける点が特徴です。そのため、企業分析の際は、税引前の数値や特別損益の内訳もあわせて確認する必要があります。
当期純利益が高い・低い場合の原因と改善策

当期純利益が高い場合は、本業の収益力が高く、経常利益・税引前当期純利益が安定しており、かつ税負担が適切に管理されていることが多いです。さらに、節税対策や投資戦略が成功している場合もあります。 一方、低い場合や赤字の場合は、特別損失や法人税負担の増加、本業の不振などが原因です。改善策としては、まず本業の利益率を高めることが重要で、そのためにはコスト削減や高付加価値商品の開発が有効です。また、税務ガバナンスを踏まえた税務戦略の見直しや資産売却による一時的な収益確保も短期的な改善策として有効ですが、長期的には本業の強化が不可欠です。
当期純利益率でわかる企業の最終的な収益力
当期純利益率は、売上高に対する当期純利益の割合を示す指標で、企業の最終的な収益力を測ります。この数値が高い企業は、効率的な経営ができており、コスト構造や税務管理も良好です。 業種によって利益率の平均値は大きく異なるため、同業他社との比較が重要です。また、単年度だけでなく数年間の推移を追うことで、企業の収益性の安定度を判断できます。投資家や金融機関は、この数値を重視し、企業の成長性や返済能力の指標としています。
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著者:
平井 東(ひらい あずま)
銀行にて法人向け貸出業務、税理士法人にて事業計画の作成業務、経営コンサルティング会社にてマーケティング戦略の立案・SEO対策・MEO対策・WEBサイト制作のディレクション等の業務、デジタルマーケティング会社にて大手企業向けのリスティング広告の運用業務、現在は、デジタルマーケティングと経営コンサルティングを行う会社を設立し、中小企業のご支援を行なっている。中小企業に必要な資金繰り・事業計画・計画達成のための戦術にあたるデジタルマーケティングのノウハウを持っている。中小企業診断士。
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