わたしの創業ものがたり
Mantra株式会社

Mantra株式会社 石渡祥之佑

現在のスタッフは8名。アメリカやインドから来たエンジニアも在籍する。


マンガに特化した翻訳支援ツール『Mantra Engine』
英語学習サービス『Langaku』を開発し
異文化コミュニケーションの一翼を担う。

COMPANY INFORMATION

Mantra株式会社
東京都港区南青山7-3-6 南青山HYビル7F
マンガに特化した機械翻訳技術および、マンガを用いた英語学習サービスの研究開発、販売。2020年1月設立。
https://mantra.co.jp/



CEO/石渡祥之佑
東京大学情報理工学系研究科修了。日本学術振興会特別研究員(DC2)、東京大学生産技術研究所特任研究員等を経て、2020年Mantra株式会社を創業。マンガ翻訳ツール『Mantra Engine』や、マンガを用いた英語学習サービス『Langaku』の開発に従事している。情報理工学博士。



-起業のきっかけ-
技術者でも会社をつくることができる 先輩の言葉に心が動き、起業家の道へ


『Langaku』のロゴと画面

マンガを英文多読の教材として活用する学習サービス『Langaku』。


私は母の母国である中国で1年ほど小学校に通っていた経験があります。当時から小学生の間では、日本のアニメやゲームが人気で、その話題で盛り上がっていました。言語の壁はあるものの共通の話題があったので、コミュニケーションで困ることはありませんでした。この経験から、エンターテインメントは言語の壁を越えたコミュニケーションツールだと感じていました。そして子供たちに「言葉が通じなくても仲良くなれるんだよ」と伝えたい、国境や言葉を超えて交流を深めることをライフワークにしたいと強く思うようになりました。そのために異文化コミュニケーションの発展に貢献したいと考え、大学院では言語を扱うAIの研究を行いました。


起業を考えたきっかけは大学の先輩の講演です。彼は技術系の会社を興していました。講演で「技術者でも会社をつくることはできる」と言っていたのが、非常に印象に残りました。でも直ぐに起業を決めたわけではありません。エンターテインメントとAIの領域を横断する困難な技術に挑戦し、提供するツールで平和な世界に貢献したい。その目的を達成するには起業が最もふさわしい手段だと考えるようになっていきました。その後、大学院で一緒に学んでいた仲間の日並遼太(現・Mantra株式会社CTO)に声をかけて起業準備を始めました。


-事業化に向けて-
日本のマンガ文化を世界に届けるために マンガ翻訳の複雑な問題を解決したい


『Mantra Engine』の画面

©Mitsuki Kuchitaka
『Mantra Engine』は、出版社や配信サービス事業者向けの、マンガ専用多言語翻訳エンジン。


まず私たちは、マンガに特化したAI技術の開発に取り組みました。日本製の映像やゲームは海外でも人気があり、翻訳システムはすでに多数存在していますが、マンガを高精度に翻訳できるシステムはありませんでした。それは、マンガはテキストが絵と一緒に書きこまれているために、テキストだけのレイヤーが存在しない場合が多く、吹き出し部分や画の背景に手書きされた文章を読み込み、翻訳して、元の位置に書き込む必要があり、完全な自動化が難しいとされていたためです。マンガという領域を選んだのは、「この技術的な難問を解きたい」と考えたからです。そして、マンガに特化した翻訳システム『Mantra Engine』を開発しました。


大学院を修了後、個人事業主としてスタートしましたが、運転資金がありません。資金を調達するために法人化しようと調べているなかで、TOKYO創業ステーションを知りました。起業直後で、実績も、売上も、社会的信用もありません。しっかりした事業計画書も作っていなかったので、金融機関から資金調達できる状態ではありませんでした。そのような状況でも、TOKYO創業ステーションのプランコンサルティングでは担当のコンサルタントに丁寧な対応をしていただき、金融機関の融資相談に欠かせない事業計画書を仕上げていきました。創業助成事業にも申請し、採択され、経費の一部に充当しました。


TOKYO創業ステーションには、司法書士や弁護士、税理士などに、無料で相談できるサービスがあります。創業準備中や創業当初は資金がなく、また顧問弁護士や税理士に相談した経験がある方は少ないと思います。私もそうでした。誰に、何を相談したら良いのかがわからないし、相談料のことなど見当もつきません。そんな私にとって、事業のことを無料で気軽に相談できるTOKYO創業ステーションの存在は大きかったです。


-これからのビジョンは?-
マンガ翻訳や英語学習に留まらず、幅広い領域への展開を目指す


Mantra株式会社 石渡祥之佑


弊社はいま2つのサービスを提供しています。1つ目は出版社や配信サービス事業者向けのマンガ専用多言語翻訳エンジン『Mantra Engine』。翻訳の省力化と高速化を実現するシステムです。2つ目は人気マンガで学ぶ英語多読学習アプリ『Langaku』。自身のレベルにあわせた英文のマンガを楽しくたくさん読むだけなので、英語に苦手意識がある方や、勉強が続かないという方も、気軽に継続できます。将来的にはゲームやアニメーション領域にも着手したいですし、『Langaku』は英語以外の言語への展開を検討しています。弊社の開発したサービスは世界中の方がユーザーになりますので、グローバルに事業拡大していく計画です。



創業を目指す方へ~応援メッセージ~

私はもともと大学で技術の研究をしていたので、「面白い技術を作る」ことを中心に考えていました。起業して感じたのは、優れた技術を作ることと同等以上に、お客様のニーズを知るのが重要だということです。起業の準備段階で、できるだけ多くのユーザー候補に徹底的に話を聞くと良いと思います。

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