利用初心者向けガイド&交流イベント「スタハWalker」レポート

イベントレポート

メンバー登録したら、スタハが120%わかる交流イベントへ!

Startup Hub Tokyo(スタハ)では、会員登録したばかりの方や施設を初めて利用する方向けに、利用ガイドと参加者同士の交流を目的にしたイベント「スタハWalker」を月に2〜3回ほど開催しています。
起業が気になってメンバー登録したものの、「施設活用のイメージがつかめない」「起業に向けて次の行動のヒントを知りたい」という方から、「Startup Hub Tokyoを“スタハ”って言うんだ!」「起業を考えている人と交流してみたい」という方まで、起業への興味・関心があれば誰でも無料で気軽に参加できるイベントです。

2019年11月12日は、スタハを利用して今年起業した、トリプル・リガーズ合同会社代表の丸山亜由美さんを先輩起業家として特別にゲストに招き、起業の経緯や起業に向けて役立ったことなどをお聞きしました。
※先輩起業家のゲスト登場は毎回ではありません

スタハって何ができる? 登録メリットは?

「スタハWalker」では、スタハのスタッフが一部クイズ形式をとりながら施設を紹介。テーブルで一緒になった参加者と利用方法を知ることができます。その後、参加者同士の交流も。スタハを利用して起業した先輩起業家から起業のアドバイスが聞ける回もあります。

Startup Hub Tokyoは、2017年1月に開設した東京都の創業支援施設。これまでに10万人以上の起業を目指す人が利用しています。「起業に興味・関心はあるけれど、具体的なビジネスモデルはこれから」という人に向けて、起業相談、イベント・セミナーなどを通じて、起業のアイデアを形にし、実際に起業するまでをサポートしている施設です。

起業に興味・関心があってメンバー登録していれば、これら(下記)をすべて無料で利用できることが、最大のメリット。
・共有ラウンジ(コワーキングスペース)
・Wi-Fi
・起業相談(コンシェルジュ起業相談、専門家無料相談DAY)
・イベント、セミナー参加 ※一部有料あり
・一時保育サービス

よく、「えっ!? 無料なんですか?」と質問いただきますが、はい、無料です。
※コピー機利用、一部有料イベント以外は基本的に無料

1階のスタハ、2階の創業ワンストップサポートフロア(※)を合わせて「TOKYO創業ステーション」と呼んでいます。2階にある「創業ワンストップサポートフロア」は、ある程度事業アイデアが形になっている方向けで、創業アイデアの具体化から事業化までをワンストップでサポートする施設です。
※2020年度より、名称が「Planning Port(プランニングポート)」に変更となりました。

起業の「作業」「交流」の場
1回2時間、飲食OK、席予約不可

スタハのホームページから「メンバー登録」を完了し、いざ初めて来館する時は受付で「初めて利用します」とおっしゃっていただければ、スタッフが施設の利用方法を簡単に説明しています。2回目以降は、受付で入館証にお名前・利用目的等を記入し、利用者ストラップをお受け取りください。
※2020年度より、「QRコード」での入館に変更となりました。ご来館の際は、「QRコード」提示のご準備をお願いいたします(QRコードはログインページより表示可能です)。なお、QRコードでのご入館が難しい方は、受付スタッフまでご相談ください。

共有ラウンジ(コワーキングスペース)は、1回2時間を目安に最大3時間まで利用可能です。延長もできますが、混雑時はお断りする場合があります(みなさんに公平に利用いただきたい観点から)。
よく、「席の予約はできますか?」と質問がありますが、席の予約はできません。来館時に空いている席をご利用ください。混雑時は相席や、受付周辺のカウンター席をご利用いいただく場合があります。

飲食は可能です。ビジネスプランを考えたり、本を読んだり、メンバー同士で意見交換したり、起業のための「作業」と「交流」の場として利用いただけます。なお、会議室はありません。
施設内に、起業に関する書籍が約1,500冊あるほか、利用者同士の交流を図る「スタハボード(※)」があります。スタハボードは、ほかの利用者の起業アイデアを応援したり、仲間として参加を申し出ることも可能です。
※現在スタハボードは休止中です。再開時はお知らせに掲載いたしますので、ご確認ください(再開は未定です)。
※現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、一部サービス内容を変更しております。お知らせにて、最新情報をご確認ください。

また、スタハを利用するパパ・ママ向けにキッズルームが施設内にあり、火・木・土曜限定で一時保育を無料で利用できます。電話での事前予約が必要なので、詳細はこちらをご覧ください。

起業の悩みに1on1で対応する
「コンシェルジュ起業相談」「専門家無料相談DAY」

共有ラウンジの利用と並んで利用者に好評なのが、起業・経営経験者によるコンシェルジュ起業相談」です。現在16名(※)のコンシェルジュが無料で起業の相談に応じています。
16名のコンシェルジュはそれぞれ専門・得意分野があります。プロフィールを参考にホームページからご予約ください。まれに人生相談をされる方がいますが、あくまで起業に関する相談でよろしくお願いします。
 ※コンシェルジュの人数はイベントレポート掲載当時です。2020年9月現在、27名のコンシェルジュが在籍しております。

また、コンシェルジュ起業相談とは別に、毎週水曜は「専門家無料相談DAY」を実施しています。
「資金」「知的財産」「雇用」「法律」の4分野に特化した相談を専門家(資金=金融機関、知財=知財コンサルタント・弁理士、雇用=社労士、法律=弁護士)に30分無料で相談することが可能です。
専門家無料相談DAYの予約は、事前予約ではなく、当日16:30からスタハの受付で受け付けています。17:00~20:00の間、1枠30分、空きがある枠で相談可能です(Web予約はありません)。

 ※スタハでの専門家相談は終了いたしましたが、専門家相談は引き続き2階Planning Portにて実施しております。詳しくはこちらをご確認ください。

起業に関するイベント・セミナーをほぼ毎日開催!

スタハ内のイベントスペースで年間300回以上開催している、起業関連のイベントやセミナーも無料で参加できます(一部有料)。セミナーは起業に関心のあるレベルから本気につなげる連続参加プログラム、進めている事業アイデアをブラッシュアップする実践プログラムなどさまざまです。
詳細・ご予約はイベントページをご覧ください!

起業のモチベーションアップ!
スタハ発先輩起業家がアドバイス

スタハのメンバーで、今年3月に起業した、トリプル・リガーズ合同会社代表の丸山亜由美さんに、先輩起業家として起業に役立ったことをお話いただきました。

プロフィール

トリプル・リガーズ合同会社
代表 丸山 亜由美さん
2011年北里大学医療検査科卒業後、新卒でロシュ・ダイアグノスティックス株式会社入社。遺伝子研究機器の営業でトップセールスをあげ3年在籍後退職し、武蔵野美術大学基礎デザイン科入学。入学当初から起業を決意。在学中ケルン国際デザイン大学に交換留学。2018年3月同大学卒業。同年12月「Tokyo Startup Gateway 2018」(東京都)優秀賞、2019年1月「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2019」(経産省)優秀賞。同年3月トリプル・リガーズ合同会社設立(ヘルスケアにおけるデザイン制作事業)
☆丸山さんが起業するまでの詳細はこちら

丸山亜由美さん トリプル・リガーズ代表の丸山亜由美です。
今日初めに一番お伝えしたいことは、今いらっしゃるみなさんは顔も容姿もそれぞれ個性があり、一人一人全然違い、起業も人それぞれということ。自分にしかできない起業があるので、自分に合う起業の方法・スタイルを見つけることが最大のポイントだと思っています。私の話もその一つとして聞いてもらえるとうれしいです。

私は、アート・デザインを通じてワクワクするヘルスケアをつくるという事業テーマで、ヘルスケアに特化したクリエイティブの制作会社をやっています。経歴としては、北里大学で臨床検査技師の資格を取った後、ロシュという製薬会社で3年間営業として働き、会社を辞めて美大に入学しました。ロシュの会社員時代に、遺伝子を検査する医療機器の営業をやっていました。多くの競合他社がいる中、価格やスペックで戦う毎日。ある時、七色に光る、チャーミングでデザイン性の高い医療機器を営業することに。その時だけは価格もスペックも言わず、「これを使ったら、みなさんのお仕事が毎日楽しくなると思いますよ」と営業。結果すごく売れました。その時に、人をワクワクさせたり楽しませたりすることがこれからの新しい価値になっていくのではないかと。そういうものを自分でつくれる人になりたいと決意。以前から「人生2回あったら美大に行きたい」と言っていたほど美大で学ぶことに憧れもあり、「営業でトップセールスにもなれたし、もしかしたら美大に入れるかもしれない」と仕事を続けながらデッサンの勉強をして、美大に合格。会社を25歳で早期退職しました。

起業家の卵を応援してくれる施設を活用
ビジネスコンテストが非常に大事

4年間美大に通ったうち1年は、「トビタテ!留学JAPAN」の奨学金を利用してドイツの大学でグラフィックデザインを学び、その1年後に起業しました。
一人でやると起業はすごくハードルが高いですが、今は幸いにも東京都をはじめいろいろな機関が起業家を応援してくれています。私は主にこの4つを活用しました。

・NPO法人ETIC.(エティック) https://www.etic.or.jp/
・100BANCH(ヒャクバンチ) https://100banch.com/
・東京都主催ビジネスコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY」 https://tokyo-startup.jp/
・経産省主催「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト」 https://healthcare-innohub.go.jp/events/jhec#

ありがたいことに「TOKYO STARTUP GATEWAY」の優秀賞の賞金が、会社設立の資金になりました。
会社をつくって生計を立てていきたくて起業をしたので、自分の努力を最小限にして最大限の成果を得ないと食べていけない覚悟がありました。
それを達成するには、ビジネスコンテストは非常に大事で、これだけ起業家を応援して、世の中にバーンと出してくれるものはほかにないのではと思います。起業をして食べていく覚悟のある人は、数あるビジコンから2つほど選んで、その一番を獲ることだけを集中して考えるのが起業への近道。本当にありがたいことにTOKYO STARTUP GATEWAYは資金もいただき、経産省は20万円相当のオフィスを1年間フリーレントさせてもらったり、名だたるクライアントを紹介していただいたり、本当にお世話になりました。

ヘルスケア×デザイン領域のすき間を狙って強みを生かす

今は、日々病気と関わってネガティブになりがちな患者さんの価値観や行動をどうポジティブにできるかというテーマに、ヘルスケアに特化したクリエイティブの制作をしています。
収益はヘルスケア関連の企業からアプリなどのデジタルデザインの制作費が入る構造。私個人で大手クライアントさんとの直取引は難しいので、間にヘルスケア関連のシステムを構築している企業に仲介をお願いしています。
一般的に、システムに特化した会社はインハウスのデザイナーがいないことが多く、インドやアジアの海外エンジニアさんとグローバルに共同開発することも増えています。その場合、デザイン専門性があって英語でコミュニュケーションができると重宝されます。

起業=人を雇う、資金調達、とは限らない
自分にフィットする起業の方法を

合同会社という形態をとっていますが、登記上の登録は私1人。とはいえ1人では仕事ができないので、関連会社とチームを組んで、システムの開発をしてくれる人、営業をしてくれる人、プロマネをしてくれる人という感じで一緒に仕事をさせてもらっています。なので、「起業したら人を雇わないといけない」「たくさんの資金を調達しないといけない」と思っていたら、そんなことはありません。
従業員や資金は多いほうが見かけはいいですが、「本当に自分の会社に必要か?」を考えてみてください。
私の場合は、自分のアートやデザインが世に出ていくことが目的。現時点では100億円を目指す、といったスケールの大きな目標ではなく、まずは自分の身の丈にあった幸せな起業をしたかったのでこのような経営スタイルになりました。

起業すれば働き方は自由
事業以外の社会貢献も

会社が社会に貢献できることとして、糖尿病予防の取り組みを行っています。糖尿病は患者数が多い疾患で、私自身も20歳の大学の健康診断で糖尿病と診断され、以降11年ほどになります。
「ある日病気を宣告され、人生に影が差すことをなくしたい、そういう人を一人でも減らしたい」という思いでやっているのが、晴れた日曜日の渋谷でビールを飲んでカレーライスを食べ、血糖値を測るイベントです。何でそんなことをやっているかというと、健康診断はすごく気構えて、お酒や食べ物を控え、一瞬健康な感じになって受診するので、本当にグレーな人はあまり見つかりません。なので、素の状態で素を知っていただきたいと。
ほかに、デザイナート トーキョーというアートフェスティバルに1年前に出展し、ブラックライトを当てると血糖値が上がりやすい食べ物が光るオブジェを展示しました。また、血糖値を簡単に測るキットの開発を試みていたのですが、独力でやるには限界があるので、東大に入っているベンチャーチームに週2日、会社を持ったまま入れてもらい、週2日は実験室で研究をしています。
起業したら、自分の会社だけをやらなければいけないわけではないですし、自分の会社を持ちながらほかの会社で働くこともできるんです。今働き方が自由になっているので、~しなきゃいけない、すべきであるという考えにとらわれなくていいと思います。

起業前に出るのが有利な3つ
アクセラプログラム、ビジコン、メディア

日経デジタルヘルスさんに取材をしていただいた記事が掲載されたからすごく仕事が増えたこともあり、メディアへの露出はとても大事です。
私の考える起業のサクセスストーリーは、起業前にアクセラレーションに入って、スタハのようなコワーキング施設を利用してビジネスコンテストに出て、賞をもらって、メディアに登場し、自分のビジネスをつかむのが、スムーズに起業ができる流れではないかと思っています。
将来の目標としては数年後に合同会社を卒業して、株式会社をつくりたいと思っています。その際に、自分の会社のオリジナルのプロダクトやサービスを持ちたいと考えており、「食べて健康になる」をテーマにフードサイエンスをイタリアの大学で学ぶことを構想中です。留学が終わったら、いわゆるスタートアップ!と言われるようなスケールできる会社の第二創業にチャレンジしたいと思っています。

さまざまな参加者と交流して
起業の思いや動機を共有

その後、先輩起業家の丸山さんも参加し、交流タイムへ。1人30秒ほどの簡単な自己紹介とともに、起業したい理由などをフランクにシェアしました。
・●●でおなじみの〇〇(名前)です
・起業したい理由
・最近あった良い出来事

当日は、起業を目指す現役大学生や、個人事業主から起業を目指す方、現在会社員で起業を目指す方など、さまざまなレイヤーの人たちとコミュニケーション。起業への思いや動機を共有し、自らの立ち位置を確認。起業をする時は、これからどんな事業をどんな思いでしようとしていきたいかを、第三者に伝える場面がたびたびあります。スタハWalkerが、起業に向けていいスタートを切るきっかけになるかもしれません。

スタハWalkerは毎月開催していますので、スタハや起業が気になっている方、起業仲間と交流したい方はまずは参加してみてくださいね。

\現在は、スタハWalker+にリニューアルして毎月開催中!イベントページはこちら/
https://startup-station.jp/eventseminar/TAA0102