U25の起業家コミュニティ運営する未来起業家交流会を4年前に立ち上げ、1年前に法人化。累計動員数は1,500人を超え、2018年夏にはクラウドファンディングで100万円を調達し、全国47都道府県で同時開催する「47未来起業」を実施。また、2020年1月に「全ての社会課題を解決する」をビジョンに掲げ、株式会社demmpaを立ち上げ。現在は、もう一つのSNS「demmpa」の開発、運営をしている。
【今更聞けない用語を解説】CVC
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【今更聞けない用語を解説】CVC
今更聞けない用語解説シリーズ。
本日は「CVC」について、です。
ニュースなどを見ていると一度は目にしたことがある単語かもしれません。そして、何となくの意味はわかっているかもしれませんが、この記事ではそんなCVCについて改めて深堀していきます。
CVCとは
まずは定義からです。”CVC”は”コーポレートベンチャーキャピタル”の略です。VC(ベンチャーキャピタル)の先頭にC(コーポレート)がついた単語です。
業務自体は通常のVCと同じく、有望なスタートアップに投資を行い、その株価の上昇によって利益を上げますが、企業の一部門としてVCを行うことがCVCの特徴です。
通常のVCがあらゆる投資家からお金を集めて出資を行うのに対し、主に大企業が自ら100%お金を出し、そのお金をスタートアップに出資します。なので、CVCと通常のVC(独立系VCと呼ばれます)の大きな違いは、CVCは自社とのシナジーを加味した上で出資を行う点にあります。株式の価格上昇での利益だけでなく、本業とのシナジーが見込める領域であれば積極的に出資を行います。
ここ数年で日本でも数多くの大企業がCVCを設立し、スタートアップやベンチャー企業への出資を加速させています。
ではなぜ、大企業はCVCを設立するのでしょうか。ポイントは自社事業や社内企業ではなく、外部の起業家への出資を積極的に行うCVCを設立している点にあります。
大企業がCVCを設立する理由、それは「大企業であるが故にイノベーションが起こりづらい状況が生まれてしまっている」からです。
会社の成長にはイノベーションが必要不可欠です。どんな成功した事業も新しい技術革新によって廃れていきます。廃れていかないためには事業自体の進化(イノベーション)が必要です。ただ、大企業では成功してしまったが故に決裁者や株主が増えてしまったりと、身動きが取りづらくなってしまいます。すぐにお金にならないような領域にお金を投資し続けたり、全員の理解が取りづらい事業を立ち上げることが困難になっていきます。これが経済学の用語で「イノベーションのジレンマ」と呼びます。イノベーションをお越し、大企業になったが故にイノベーションを起こしづらくなってしまう状態のことです。
これを打破するために社内の組織制度を整えたり、多くの施策を実施しますが、その一つの解決策として注目され始めているのがCVCの設立です。社内でイノベーションを作るのではなく、外部の優秀な起業家が起こすイノベーションを支援し、協業することで会社自体を成長させていこうとする狙いです。
もちろんここで述べる理由が全てではありませんし、設立する企業によって事情や狙いが異なりますので、一つの意見になります。こういった背景もあり、大企業がスタートアップを支援するCVCの設立が増えてきています。
CVCから出資を受ける起業家側のメリット
ここまではCVCとは何か、大企業がなぜ設立するのかの背景について説明してきました。ここからは起業家側の目線でCVCについて解説していきます。おそらくこの記事を読んでくださっている方はこちらの目線の方がほとんどだと思いますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
VCから出資を受けるメリットについては別の記事にて解説していますので、ここでは”VCではなくCVCから出資を受けるメリット”について解説していきます。
ここでは大きく2つ説明します。
1. 親会社との協業が見込める。
1つ目がこちらです。出資を行うCVCの親会社はいわゆる大企業であることがほとんどなので、資産や信頼を持っています。一方でスタートアップは革新的なアイディアはあるものの、資産や信頼は持っていません。CVCからの出資ではここを協力してもらえる可能性が非常に高いです。例えば、NTTのCVCである”NTTdocomoVentuers”から出資をもらうことで、全国のドコモショップにそのサービスを導入してもらったり、ドコモの映像技術を提供してもらえる可能性があります。このように、自社事業に親和性の高い企業のCVCから出資を貰うことで、事業提携やサポートが気軽に行ってもらえるというメリットがあります。
2. 協業ベースで評価してもらえる可能性がある。
2つ目がこちらです。CVCでは親会社と協業できるか、シナジーがあるかを出資判断の大きな軸としています。その軸の優先順位はCVCによりますが、CVCとして運営する以上、他のVCと差別化を図る意味でも一つの評価軸には必ず入ってきます。
なので、起業家側からすれば、親会社とのシナジーが物凄く見込める事業の場合は、他のVCがあまり反応しないアイディアでも出資を受けられる可能性があります。
以上、大きくこの2つがCVCから出資を受ける起業家側のメリットでした。これらの背景にあるのがCVCの設立背景に関わってくるので、1つ目の段落にてその背景についての解説を長めにさせていただきました。
大企業では自社事業にイノベーションをお越し、進化させ続けるために、外部の起業家に力を借りることも選択肢として考えている。その一つがCVCを設立し、出資することである。なので、その出資基準の一つに親会社の事業とのシナジーが含まれる。
こういうことです。
まとめ
最後にまとめです。
・CVCとはコーポレートベンチャーキャピタルの略称。
・通常のVCがあらゆる投資家からお金を集めて出資を行うのに対し、主に大企業が自ら100%お金を出し、そのお金をスタートアップに出資する。
・CVCと通常のVC(独立系VCと呼ばれます)の大きな違いは、CVCは自社とのシナジーを加味した上で出資を行う点にある。
・CVCから出資を受ける起業家側のメリットは親会社とのシナジーが見込まれる点と協業ベースで評価してもらえる可能性がある点にある。
以上、CVCについてでした。資金調達先の一つの候補としてメリットデメリットが存在しますし、一概にCVCといっても、その投資方針は各CVCによっても異なりますので、ぜひ調べてみてください!!この記事が最初の一歩のきっかけになれば幸いです。
三井 滉平氏
26歳 / 一般社団法人 未来起業家交流会 代表理事 / 株式会社demmpa 代表取締役