U25の起業家コミュニティ運営する未来起業家交流会を4年前に立ち上げ、1年前に法人化。累計動員数は1,500人を超え、2018年夏にはクラウドファンディングで100万円を調達し、全国47都道府県で同時開催する「47未来起業」を実施。また、2020年1月に「全ての社会課題を解決する」をビジョンに掲げ、株式会社demmpaを立ち上げ。現在は、もう一つのSNS「demmpa」の開発、運営をしている。
【最新ワードを先取り】ダイナミックプライシング
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【最新ワードを先取り】ダイナミックプライシング
「最新ワードを先取り」記事です。この企画ではここ最近話題になり始めた単語に対して、いち早く解説していくことで、ニュースや全体像が理解できるようにしていきます。
本日は「ダイナミック・プライシング」について、です。
ダイナミックプライシングとは?
最新ワードを先取りと言いつつ、実はこのダイナミック・プライシングという単語自体はそこまで新しくはありません。あまり聞き馴染みはないかもしれませんが、特定の業界では意外に古くから存在していた単語です。ただ、ここ最近テクノロジーの発展によって、その技術が今までの業界以外にも広がろうとしているとして、注目を集め始めました。
ではまず、ダイナミック・プライシングの定義から説明します。
英語ではDynamic Pricing(変動料金制)と呼ばれ、一言で言えば「商品やサービスの需要に応じて価格を変動させる仕組み」のことです。
以前からホテル業界や航空券の販売など、需要が季節ごとに大きく変動する業界において取り入れられてきました。お盆や年末など帰省の記事は飛行機やホテルが高くて、閑散期は安いといった経験は非常に馴染みがありますね。他にも、スーパーのタイムセールも価格が変動するという点においてはダイナミックプライシングです。
言葉自体は聞いたことがなくても、実は身近な場面で採用されているのがこの概念で、このように需要と供給に応じて価格が変動することをダイナミックプライシングと呼びます。
今まではこの価格変動が人の手で行われていましたが、近年のテクノロジーの発展によって、AIによる最適化が急速に進んでおり、需要と供給をリアルタイムに把握しながら価格変動を起こす仕組みが生まれ始めています。
実はソフトバンクも出資して話題となった、インドのOYOというホテルの運営会社もこのダイナミックプライシングの技術をビジネスモデルのコアにおいて急成長してきました。
OYOはホテル(物件)を自社で借り入れ、それをお客さんに貸し出すという極めて単純なビジネスモデルです。ただ、既存の会社と異なる点はこのダイナミックプライシングを本気で導入した点にありました。OYOでは、曜日や天気、周辺のイベント情報などのビックデータを活用し、1日4,300万回以上の価格調整を行っています。このダイナミックプライシングの導入によって、稼働率を高めることで、客室数を急拡大させてきました。
このようにすでに結果を出している会社も多く、注目されている概念です。そして、今まで主に観光業界だけで採用されていたこのダイナミック・プライシングが全業界に広がろうとしていることでさらに注目が集まっているというわけです。
価格の歴史とは
具体的なダイナミックプライシングの活用方法に関しては、簡単に導入できるツールを現在いろんな会社が開発をしているところなので、興味がある場合はぜひ調べてみてください。まだまだ市場が出来上がっていない領域なので、サービスはピンキリだと思いますので、しっかりと調査した上で導入を検討してみてください。
なのでこの記事では導入方法ではなく、価格の歴史、なぜダイナミックプライシングに行き着いたのか、ここについて解説していきます。これを知ることでよりダイナミックプライシングについての理解が深まるはずです。
詳しい説明はこちらの本に書いてあるので、より深い価格の歴史や変化について興味がある人はぜひご覧いただきたいです。
ここでは簡単にその歴史を紹介します。
価格には3つの時代変遷があると言われています。価格1.0、2.0、そして3.0です。今は2.0の時代で、これからのダイナミックプライシングなどの変動価格が3.0と呼ばれる時代です。
まず価格1.0は価格の変動が多く、非効率的な時代です。物々交換の時代ですね。その都度で交渉が行われて、交渉ごとに値段が決定していた時代です。実は現在でも、法人間のBtoBの取引ではこの交渉ごとに値段が決定していく形が採用されています。
ただ、BtoBのように金額が大きく顧客が少ない場面では問題ありませんが、金額が小さく顧客も多い場合では圧倒的に非効率です。
なので、価格を一律にして販売する現代の価格2.0の時代が始まりました。これを可能にした背景には通貨精度の普及があります。
ただ、一律価格にもデメリットが存在します。それは需要が異なる瞬間で同じ価格である必要があるのか?という点です。わかりやすいのが季節ごとに圧倒的に需要が異なる観光業です。繁忙期と閑散期が存在し、需要が変化していきます。繁忙期では多少高くても売れるし、閑散期は多少安くしても売上0円よりはマシなわけです。なので、季節ごとに価格を変化させるようになってきました。これが価格3.0時代の始まりです。
そして、これに拍車をかけているのがテクノロジーの発達で、特にAIの発達です。ビックデータを活用することで、なんとなく需要を見ながら人力で設定していた価格を最適化してくれるようになったので、価格変動を効率的に行えるようになったわけですね。
上でも書いた通り、ここから観光業以外の画面でもこの変動価格が用いられていくと言われています。なのでここからが価格3.0時代の始まりです。
例えば、電車賃を変動価格にすることで混雑を解消できると期待されています。通勤時の賃料を高くし、早朝やお昼を安くすると、通勤時間がバラけることが予想されます。このように、価格変動を行うことで人の行動が変化し、社会全体が変化していくこともあります。
まとめ
最後にまとめです。
・英語ではDynamic Pricing(変動料金制)と呼ばれ、一言で言えば「商品やサービスの需要に応じて価格を変動させる仕組み」のことです。
・以前からホテル業界や航空券の販売など、需要が季節ごとに大きく変動する業界において取り入れられてきた。
・今まで主に観光業界だけで採用されていたこのダイナミック・プライシングが全業界に広がろうとしていることでさらに注目が集まっている。
・変動&個別対応の価格1.0、一律価格の価格2.0(現代)、変動&AI対応の価格3.0の時代変遷があり、これから変動価格があらゆる業種に用いられると言われている。
以上、今回はダイナミックプライシングについて解説してきました。
まだまだメジャーとは言えない概念ですが、今後注目を集めていくことは間違いないので、ぜひ何かの参考にしてみてください!!
三井 滉平氏
27歳 / 一般社団法人 未来起業家交流会 代表理事 / 株式会社demmpa 代表取締役