U25の起業家コミュニティ運営する未来起業家交流会を4年前に立ち上げ、1年前に法人化。累計動員数は1,500人を超え、2018年夏にはクラウドファンディングで100万円を調達し、全国47都道府県で同時開催する「47未来起業」を実施。また、2020年1月に「全ての社会課題を解決する」をビジョンに掲げ、株式会社demmpaを立ち上げ。現在は、もう一つのSNS「demmpa」の開発、運営をしている。
【今更聞けない用語を解説】ファクトフルネス
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【今更聞けない用語を解説】ファクトフルネス
今更聞けない用語解説シリーズ。
本日は「ファクトフルネス」について、です。
数年前に話題になり、今ではすっかり定着したこちらの単語。改めてその定義について解説していきます。
ファクトフルネスとは?
ファクトフルネス自体の意味は「ファクト+フル」が事実に満ちているを指し、「ネス」は~な状態を指すので、直訳すれば事実に満ちている状態という意味です。ただ、普段使われている意味としては、先入観や思い込みを排除したデータに基づいた視点、という意味です。
TEDトークで有名であったスウェーデン医師であった、ハンス・ロスリングの著書「ファクトフルネス」が全世界的にベストセラーとなり、一躍有名となった考え方です。日本でもかなり話題となったので、その表紙や単語を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
帯コメントにもありますが、あのマイクロソフト創業者のビル・ゲイツが絶賛し、大卒の希望者全員にプレゼントまでした書籍です。
「賢い人ほど世界の真実を知らない」の言葉の通り、いかに人間が偏見に塗れているのか、そしてその偏見から脱してファクトフルネスな視点で世の中を見るにはどうすればいいのか、これらが書かれています。
例えば、本書の冒頭にあるこちらの質問。皆さんも考えてみてください。
Q.世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子どもはどのくらいいるでしょう?
A.20% B.50% C.80%
どれを選びましたか?
おそらく我々が住む日本含めた先進国は100%に近い接種率だろうけれど、南米や東南アジア、中東やアフリカは、、?
こう考えて迷った方も多いのではないでしょうか。
クイズの正解はCです。(ここまでファクトフルネスの話をしていたので、引っかけ問題っぽく考えて正解した方はいるかもしれませんね。ただ、第一印象でどれを選択しそうになったのか、ここがポイントです。)
著者が世界14ヵ国、1万2,000人にこのクイズを実施したところ、正解率21%のスウェーデンを除き、すべての国で正解率は2割に届かなかったそうです。日本人で正解したのは、なんとわずか6%です。
他にも、タイと聞くと、我々日本人はまだ発展途上国というイメージがあるかもしれません。ただ、タイ含め東南アジアは現在急速に経済成長しており、特に首都近辺はビルが立ち並ぶ状況です。
このように思い込みによって、間違った判断をしてしまうリスクを危惧して、ファクトフルネスの重要性が叫ばれています。
ファクトフルネスの重要性とは
ファクトフルネスがどういう考え方か、少し伝わったと思いますが、もう少しだけ解説します。なぜこのような状態が起こってしまうか(偏見を持ってしまうか)についてです。
著者はこの偏見が起こる理由は、人が元から持っている10の本能があるからだと結論づけています。
人間が持つ10の本能がこちらです。
・【分断本能】「世界は分断されている」という思い込み
・【ネガティブ本能】「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
・【直線本能】「世界の人口はひたすら増え続けている」という思い込み
・【恐怖本能】危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
・【過大視本能】「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
・【パターン化本能】「一つの例がすべてに当てはまる」という思い込み
・【宿命本能】「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
・【単純化本能】「世界は一つの切り口で理解できる」という思い込み
・【犯人捜し本能】「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
・【焦り本能】「今すぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
それぞれに関しての詳しい説明は長くなってしまうのでここでは省きます。詳しくは書籍をご覧ください。
言い換えれば、人の本能なので偏見を持ってしまうことは仕方がない事とも言えます。ただ、大切なのはその本能の存在を理解し、意識的に偏見を取り除いて世の中を見つめる事です。
SNSが普及した昨今で、誰でも情報を発信できるようになりました。毎日のようにニュースが飛び交う中で、フェイクニュースに左右されてしまったり、裏付けがない誰かの発信に飛びついてしまったりと、情報に左右される人が増えている時代です。
新型コロナウイルスに関しての対策やデータに関してもそうです。マスメディアが発するデータに一喜一憂し意見をすることがすっかり当たり前になっています。
ここにファクトフルネスの重要性があります。情報を収集することが悪いわけでも、意見することが悪いわけでも、一喜一憂することが悪いわけでもありません。
ただ、その情報やデータは本当に正しいのか?何がソースなのか?偏見はないのか?これらを検討した上で情報を吟味し、取捨選択し、自分の頭で考えることが大切です。
昨今、ファクトフルネスの重要性が再度叫ばれているのは、こういった背景があります。
まとめ
最後にまとめです。
・ファクトフルネス自体の意味は「ファクト+フル」が事実に満ちているを指し、「ネス」は~な状態を指すので、直訳すれば事実に満ちている状態という意味です。
・ただ、普段使われている意味としては、先入観や思い込みを排除したデータに基づいた視点、という意味です。
・著者はこの偏見が起こる理由は、人が元から持っている10の本能があるからだと結論づけています。
・言い換えれば、人の本能なので偏見を持ってしまうことは仕方がない事とも言えます。ただ、大切なのはその本能の存在を理解し、意識的に偏見を取り除いて世の中を見つめる事です。
・SNS全盛期の中で、その情報やデータは本当に正しいのか?何がソースなのか?偏見はないのか?これらを検討した上で情報を吟味し、取捨選択し、自分の頭で考えることが大切です。
以上、ファクトフルネスに関してでした。起業における情報も玉石混合です。チームを率いるリーダーとして誤ったデータや情報に左右されて方向を間違えるわけにはいかないので、特に起業家には必須の視点だと思っています。この記事が何かの参考になれば幸いです。
三井 滉平氏
26歳 / 一般社団法人 未来起業家交流会 代表理事 / 株式会社demmpa 代表取締役