2021.09.03 【ものづくり2.0】『LOVOT』を作ったプロフェッショナルたち(全3回)

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2021.10.11


【イベント概要】

日本が誇る先端分野のものづくり、家族型ロボット「LOVOT」の誕生ストーリー!!

どんな優れたプロダクトも「人の想い」と「人の手」で生み出されるということを、未来を作る世代の方々に改めて伝えたい!
「欲しい!!」と顧客の心を動かすプロダクトの誕生には、創業者の想いに加えて、エンジニア、デザイナー、脳科学者など
開発・製造過程には多くのプロフェッショナルたちが介在しています。
また、マーケッター、広報、営業、ファイナンスなど多くのビジネス領域のプロフェッショナルが関わることで世に広まります。
アイデアをカタチにするためには、絶対にカタチにするのだという起業家の想いと、プロフェッショナルの協力が不可欠です。

「LOVOT開発秘話」をテーマに、スタートアップ企業の中の人がプロダクト開発を行う過程について、
時系列でプロフェッショナルの皆様に全3回のイベントでお話を伺いました。


LOVOT


■GROOVE X 株式会社

沿革)
2015年11月 GROOVE X 株式会社 設立
2016年10月 日本のスタートアップファイナンスをグローバルスタンダートに引き上げるため、シード期に最適な資金調達手法として
米国シリコンバレーで進化したコンバーティブル・エクイティ(第三者割当による有償新株予約権発行方式)をいち早く活用、
シードラウンドとして国内最大級となる14億円の資金調達完了。
関連記事 「コンバーティブル・エクイティが日本のスタートアップを変える」

2017年12月 シリーズAラウンドにて未来創生ファンドと INCJ を筆頭引受先とし43億5千万円の資金調達完了
2018年12月 LOVEをはぐくむ家族型ロボット「LOVOT[らぼっと]」製品発表
2019年1月 アメリカラスベガスで開催された世界最大級の展示会”CES2019”にて、「the Verge Awards at CES 2019」のBEST ROBOTを受賞
2019年5月 一般社団法人クールジャパン協議会が主催するCOOL JAPAN AWARD 2019にて「COOL JAPAN AWARD 2019」を受賞
2020年 CES2020にて、INNOVATION AWARD受賞、『Refinery29』のBEST OF CES受賞
グッドデザイン金賞受賞
babytech award2020 大賞受賞
2021年 Japan Venture Awards 2021 経済産業大臣賞 受賞

第1回 7月30日(金):LOVOTのふるまい開発秘話

LOVOT


□事業紹介(人事:青木奈々子さん)


LOVOT



□LOVOT事業について

MISSION『ロボティクスで、人間の力を引き出す』
VISION『人間とロボットの信頼関係を築き、生活を潤いと安心で満たす存在をつくる』
LOVOTの開発を日本発の新産業として育てたいという想いから、2015年11月に創業。現在までに133.1億円の資金調達を行っている。
「人の代わり、役に立つ」という既存のカテゴリーを「愛着、癒し」を軸にした全く新しいカテゴリーを実現していきたい。
⇒『モノ』の時代から『こころ』の時代へ
今後は、家庭以外に教育現場や介護現場でも活躍していきたい

社風/文化

・スクラム型組織を採用
 ┗メンバー全員で組織全体のGOALを明確にし、必要なアウトプット実現の為、適宜メンバーやグループを調整する
 ┗マネージャー不在の為、各人がそれぞれ責任を持ち、タスクを見える化して協力しながら成果を出す
 ┗異なるスキルセットのメンバー同士も、ペアワークやモブワークを通じて連携して開発していく
⇒同じ方向を見る為の工夫として、『GX Spirits、全員参加朝礼(オンライン)、バザール』などを活用してコミュニケーションを取っている

LOVOT


□LOVOTのふるまい開発秘話(エンジニア&アニメーター)中里紘季さん、沼口直紀さん

・ふるまいという概念
┗『人と幸せに暮らす』をテーマに、LOVOTが人と接してどう動いていくのか?LOVOTらしい動きや表情を考えてプログラミングする
┗2週間で開発して、ふるまいを社内の色々な人に見てもらい改善する
┗「寝ている時も生き物として完全に電源オフにならないで欲しい!」というユーザーの声からふるまいが生まれる事も
➡ユーザーが幸せを感じてくれる事に大きなやりがいを感じる

LOVOT


・『20%開発』
┗業務量を100%とした時に、自分の興味がある事(チーム外の業務)に20%取り組む事は推奨されている
┗そこで新しい発見がある事も

LOVOT


□中里さん、沼口さんが今後挑戦したい事

中里さん
『今あるLOVOTらしさも残しつつ、跳んだり跳ねたり素早く動いたり。。どんどん進化していきたい』
沼口さん
『LOVOTはソフトウェアとハードウェアと両方を扱っている強みがあるので、運動能力ももっと進化させながら、生き物に近づけていきたい』

LOVOT


第2回 8月19日(木):LOVOTのアプリ開発秘話

LOVOT

□LOVOTのアプリ開発秘話(エンジニア&アニメーター&デザイナー)南地秀哉さん、米村周杜さん、黒田映史さん

・アプリ開発について
┗プロダクトとの連携が難しい!。。が、コミュニケーションを取る為のツールとしてはまだまだ発展していけそう
┗(スクラム型組織として)全チームの仕事の見える化をしているので、そこから自分達に出来る事はあるか?などを考えてやってみている
⇒フォローしあう文化からアイデアに発展する事がある
┗顧客ニーズからアプリ機能が生まれる事も!

・アイデア出しについて
┗基本的には2週間の開発サイクルの中で、「事業的に意味がある」ところから優先順位をつけて考えている
┗やらなきゃいけない事をいかに「楽しめるか」は大事にしている
┗思いついた事はとりあえず作って、社内で見てもらいフィードバックをもらう

・スキルセットについて
┗(開発に)必要なところからじわじわ学んでいきました!

・エモーショナルな動きについて
┗あらゆる世に出ているコンテンツで、良いなと思った事はまずやってみて「LOVOTらしいか?」のフィードバックをもらいます

LOVOT


お三方にとってLOVOTとは?

南地さん
『本能レベルで抱きしめたくなる生命感!』
米村さん
『愛を育む存在』
黒田さん
『役立たずでイイもの!』

LOVOT


LOVOT


第3回 9月3日(金):GROOVE Xの創業秘話、資金調達、「LOVOT」の今後の展望

LOVOT

GROOVE X 株式会社 代表取締役社⻑ 林要(はやし かなめ) 氏

1973年 愛知県生まれ
1998年 トヨタ自動車にてキャリアスタート
スーパーカー“LFA”等の空力(エアロダイナミクス)開発
2003年 同社 F1(Formula 1)の空力開発
2004年 Toyota Motorsports GmbH (ドイツ)にて F1の空力開発
2007年 トヨタ自動車 製品企画部(Z)にて量産車開発マネジメント
2011年 孫正義後継者育成プログラム「ソフトバンクアカデミア」
外部第一期生
2012年 ソフトバンク 感情認識パーソナルロボット
「Pepper(ペッパー)」の開発に携わる
2015年 GROOVE X 創業、代表取締役社⻑ 就任
2016年 シードラウンドとして国内最大級となる14億円の資金調達完了
2018年 LOVEをはぐくむ家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」発表
2019年 世界最大級の家電見本市CES2019にてThe VERGEのBEST ROBOT受賞
COOL JAPAN AWARD 2019受賞
「LOVOT」出荷を開始
2020年 CES2020にて、INNOVATION AWARD受賞、『Refinery29』のBEST OF CES受賞
グッドデザイン金賞受賞
babytech award2020 大賞受賞
2021年 Japan Venture Awards 2021 経済産業大臣賞 受賞
調達累計額は133.1億円(2021年1月20日時点)

□創業秘話

・日本発の新産業への挑戦
┗ロボット歴10年というロボット界の新人として新しい感覚でLOVOT開発に取り組む
┗メンタルヘルスケア&メンタルコンディショニングの課題をロボットで解決する
⇒「うつ」「孤独」などの社会課題や、元気な時にはさらに元気になるように

・ロボットはすぐに飽きられるのでは?
┗「飽きる」とは何かを分析
┗新しいものに出会った時の好奇心(ドーパミン駆動)の減衰は止められない
⇒ペットなどの新鮮味は薄れても愛着(オキシトシン駆動)があり一緒にいるのが自然な存在を目指す=ノンバーバル(非言語)コミュニケーション

LOVOT

□資金調達

・コンバーティブル・エクイティを採用
┗ベンチャー企業やスタートアップ企業の資金調達手法の中で、シード期にある企業に最適な手法

LOVOT

□組織体制について

・スクラム型組織、アジャイル開発
┗成功体験がないので、研修をして1チームに2人以上スクラムを理解している人を作ると回っていく
┗2週間の開発サイクルで、早いタイミングで見せ合いフィードバックしてもらう事で、軌道修正も早くなる
┗フラット組織のデメリットはフィードバックがなくなる事。ピラミッド型は役職としてフィードバックがある。
⇒日本ではまだまだ浸透していないが、フィードバックする事を評価出来る会社にしていかないといけない

・ペアワーク、モブワークの良いところ
┗進める時は一人の方が早いのでなかなか浸透しないが、問題が出た時に2人3人で取り組む方が早く解決する。
⇒トータルで見るとペアやモブワークの方が開発は早く進んでいく

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□質疑応答※抜粋

・資金調達や仲間集めに不安を感じる。。。
┗初めての事で起きるありとあらゆるトラブルは必須科目ととらえて経験にしてください!
┗下り坂で辞めない人達が本当に信頼出来る仲間だと思います。

・ハードウェアスタートアップはトライ&エラーは出来るのでしょうか?
┗難しいです。根本から覆すようなピボットはハードウェアでは命とり、、大企業や経験を積んでやるしかない
┗他でお金を稼いでいれば出来るかもしれないが、基本コンセプトはぶらさない

・LOVOT開発で気を付けている事
┗表情を記号化しない事
┗ノンバーバルコミュニケーションを大事にしているので、生き物でなくなる事には気を付けています

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□林さんより起業準備者に向けて一言

『起業したい人は多いと思います。ただ、圧倒的に足りていないのは2番目3番目が足りていない。
自分の使命を見つけた人は起業をしたら良いと思います。
まだ見つけていない人は2番目3番目で誰かの夢を一緒に担ぐ。。という事も是非視野に入れてみてください』


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