【現在のご自身の事業や手掛けられていることを教えてください。】
大学卒業後、台湾発のライブ配信プラットフォームの日本支社立ち上げに加わり、事業開発として芸能事務所などとのアライアンスを担当していました。 現在は以前M&Aを行った会社で経営戦略室室長を務めながら、オーダーメイドの結婚指輪を作るサービス(現在は休止中)や、メディアの運営を行なう会社を経営しています。
【起業するきっかけや経緯は?】
起業は2018年の4月、26歳の時でした。
それまでベンチャー、スタートアップの世界をハタから見ていて、2点思うことがありました。
彼らにできるのであれば自分にもできそうだなと。
正しい方法論でちゃんとした事業をやれば、起業は難しくないだろうということと、もう1点はリスクを取ってない自分があれこれ言うことは違うということ。 そして、リスクを取る側に回って感じるべきだと思って起業しました。
なので「これをどうしてもやりたい!」と思って起業したのではなく、スタートアップ業界を見てきたなかで、経営側も理解しないと正しい理解ができないだろうと思って起業した経緯になります。
【起業してよかったことは?】
自分でゼロから全部を作る作業は、めちゃくちゃ大変だということがわかってよかったです。
当時は社長が資金を用意してくれて、その中で人は自由に何でもできる状態なんですよね。
そういう環境で文句を言っていたことに気付けてよかったです。
あとは会社員をやっている時は上から何らかのミッションが降りてきて、特定の数字を追いかけることが得意だったのですが、それすらも自分で決めなくちゃいけなくなるので、売上を立てるためにあらゆるものを削ぎ落して利益を見て行く視点もすごく勉強になりました。そのために求められる顧客理解を真剣に考えることもいい経験だったなと思いますね。
【起業時の困ったことや失敗談あれば教えてください。】
それこそオーダーメイドで結婚指輪を作るサービスは、起点は自分たちができることをベースで考えてしまっていたんです。
たとえば、オンラインで頼めるシステムがいいだろう。店舗費がかからないから、その分価格も落とせるだろうと、わかりやすいことばかり考えて実際に走っても、そんなに受注がないんです。
そこで、いろいろ話を聞いていくと、結婚指輪は銀座に行くというところから体験が始まっていて、オンラインは“ワクワクする”が抜けていたことがわかったんです。
あとはデザイナーとカップルをマッチングするプラットフォームを作ろうといろいろと試したのですが、みんなデザイナーさんをマッチングしてほしいわけではなく、最高の指輪がほしいだけだったんです。
ユーザーの視点が見えていなかったんですね。
【これまでの相談で印象に残っている相談内容があれば教えてください。】
あるWEBサービスを展開されている方が来た時に、その目的がそもそも「WEBサービスで最適なのか?」というお話をしたことがあります。
仮に構築で数百万の借金を抱えてしまうと、返済だけで数年はかかり、次の展開に行けなくなるわけです。
しかも数百万をかけてニーズがないものを作り続けても辛い。
なので、そういう時は現実を言うようにしています。
【起業相談の際に心掛けていることは?】
ストッパーになることは心がけています。
みなさん、アクセルを踏みがちなのですが、僕たちも立場上、否定はしにくい。
なので、なるべく止めてあげて、それでも走り続ける熱量があればいい。
止めてみて顧客理解が足りていないと発見できれば、それは一緒に探すことを心がけています。
世界的に見てスタートアップは、高学歴の人たちのゲームみたいになっちゃっているんです。
それはつまり、賢い人たちがフォーマットを作っていると言うことなので、ある程度、そこは巨人の型に乗っかったほうがいいと思うんです。
日本では、顧客の課題を知ることにフォーカスしていくことが意外と定着していない。
だいたいが機能やソリューションで入って行くけれど、結局一番大事なことは人が抱えている課題に応じていくことなんですよね。
その視点を起業相談でも心がけています。
【起業相談をやっていてよかったことは何ですか?】
自分がここ数年で得た知見を共有して、その方の事業がきれいに走り出したところを見ていると、自分だけで知識を溜め込まず、人にシェアできてよかったなと思います。 自分の方法論も間違っていなかったと再認識することもでき、僕のためにもなっているんです。
【起業相談の前に準備しておいたほうがよいことは?】
強いて言うなら自分の意見ではなく、顧客の意見を持って来ていただけるとうれしいですね。
たとえば自分が思っている課題が、もしも本当の課題だったら、SNSで誰かがその悩みをつぶやいていると思うんですよ。
そういうところにヒントがあるはずで、そうでなければ、そこにマーケットがそもそもあるのかなと思うんです。
人の悩みがあるのかどうかを調査したかどうか、それがあればお話が進みやすいと思います。
【起業相談をしようか迷っている方へメッセージをお願いします。】
僕は実体験から、よく言うことは2点で、「本当に今やりたいことは人が求めていることですか?」ということと、「それをどうすれば低コストで知ることができるか?」ということですね。
この話しかしていないと思います。
もしも起業に不安があるならば、お金などのリソースを使う前に相談をしたほうが断然いいです。
お金は一度燃やし始めると、燃やし続けなければ事業は走らなくなるので、その手前でもっと車輪を組み立てよう、エンジンを組み立てようと相談が可能です。
もしも起業をしたいのであれば、早めに気軽に相談した方がいいです。
ここのコンシェルジュのみなさんは、自分たちで事業をしている方も多いので、僕らも悩みながら始めて、今でもずっと悩んでいるので(笑)、ヘンにカッコつけずに、リアルな悩みをぶつけてくれたほうが、答えが見つかるかもしれません。
ぜひお待ちしています。