売上原価とは?【5分でわかる簡単解説】
売上原価とは?【5分でわかる簡単解説】

【結論】売上原価とは、企業が商品やサービスを販売するために直接かかった費用のことです。仕入れ代や製造費用など、売上に直結するコストを指し、売上総利益を計算する際の基礎となります。売上原価を正しく把握することで、適正な価格設定や利益率改善の判断が可能になります。
目次
売上原価とは?基本の意味と役割

売上原価は、企業が商品やサービスを販売するために直接かかったコストの総額を指します。小売業では商品の仕入れ代金、製造業では原材料費や製造にかかった人件費・光熱費などが含まれます。売上原価は、売上総利益(粗利益)を求めるために欠かせない要素であり、損益計算書にも必ず記載されます。 役割としては、企業がどれだけ効率的に利益を出しているかを把握するための基礎データとなる点が挙げられます。売上原価が高くなれば利益率は下がり、逆に低ければ利益率は向上します。そのため、経営者や管理者は売上原価の変動を常にチェックし、原価率の適正化を図ることが重要です。売上原価を把握せずに価格設定を行うと、赤字販売になるリスクが高まります。
売上原価の計算式と具体例
売上原価は次の計算式で求められます。
計算式:売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高−期末商品棚卸高
【具体例(小売業の場合)】
- 期首商品棚卸高:200万円(期初に在庫していた商品の原価)
- 当期商品仕入高:1,000万円(当期に仕入れた商品の原価)
- 期末商品棚卸高:300万円(期末に残っている商品の原価)
- 売上原価=200万円+1,000万円−300万円=900万円
製造業の場合は、原材料費、労務費、製造経費を合計した製造原価から仕掛品などを調整して求めます。この数値は直接的に売上総利益の計算に影響するため、正確な計算が必要です。
売上原価に含まれる費用と含まれない費用

売上原価に含まれる費用は「販売するために直接必要なコスト」に限定されます。
【含まれる費用】
- 商品の仕入れ代金(小売業)
- 原材料費(製造業)
- 製造にかかった人件費(直接作業員の給与など)
- 製造工場の光熱費や減価償却費
【含まれない費用】
- 事務所の家賃や光熱費
- 営業社員の人件費
- 広告宣伝費
- 接待交際費
これら(含まれない費用)は販売費や一般管理費(販管費)に分類されます。売上原価と販管費を明確に区分することで、原価率や利益率を正しく算出できます。この区別が不明確だと、経営分析や価格戦略に誤りが生じ、利益構造を正確に把握できなくなる恐れがあります。
売上原価が高い・低い場合の原因と改善策

売上原価が高い場合、仕入れ価格の上昇や製造効率の低下が主な原因です。例えば、原材料費の高騰や為替変動による輸入コスト増加、人件費の上昇などが考えられます。また、不良品の発生や在庫管理の不備による廃棄ロスも原価率を押し上げます。 改善策としては、仕入れ先の見直しや複数仕入れ先の確保、製造工程の効率化によるコスト削減、在庫管理の徹底などが有効です。一方、売上原価が低い場合は、仕入れコストの削減や製造効率の向上が功を奏している場合が多いですが、極端に低い場合は品質低下や材料不足のリスクも伴うため、注意が必要です。適正な原価水準を維持することが、長期的な収益安定の鍵となります。
売上原価率でわかる企業の収益構造
売上原価率は、売上高に占める売上原価の割合を示す指標で、企業の収益構造を分析する際に用いられます。
売上原価率(%)=売上原価÷売上高×100
例えば、売上高が1,500万円、売上原価が900万円の場合、売上原価率は60%となります。この数値が高ければ利益率は低下し、低ければ利益率は上昇します。 同業他社との比較や過去データとの推移分析を行い、売上原価率を適正範囲に保つことが重要です。
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著者:
平井 東(ひらい あずま)
銀行にて法人向け貸出業務、税理士法人にて事業計画の作成業務、経営コンサルティング会社にてマーケティング戦略の立案・SEO対策・MEO対策・WEBサイト制作のディレクション等の業務、デジタルマーケティング会社にて大手企業向けのリスティング広告の運用業務、現在は、デジタルマーケティングと経営コンサルティングを行う会社を設立し、中小企業のご支援を行なっている。中小企業に必要な資金繰り・事業計画・計画達成のための戦術にあたるデジタルマーケティングのノウハウを持っている。中小企業診断士。
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