資金繰りの基礎知識

資金繰りの基礎知識

お金のこと
『資金繰りの基礎知識』

「資金繰り」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、内容をちゃんと理解している人は以外と少ないかもしれません。事業展開において資金繰りは極めて重要な意味を持ちます。本ブログでは資金繰りについて解説します。

なぜ倒産は起きるのか

会社はなぜ倒産するのでしょうか?端的に言えば、倒産は手元の資金がなくなる「資金ショート」で発生します。資金ショートになる原因には販売不振や原材料の高騰、売掛金の回収困難、赤字の発生、借入金の負担など様々ありますが、経営者が資金繰りに無頓着で現金の出入りや残高を気にしていないケースもあります。

事業が成長していれば安心?

毎年、売上が下がっていれば誰しも危機を感じるでしょう。しかし、毎年増えていればどうでしょうか。答えは「安心とは限らない」です。それが利益であっても同様です。売上代金の入金がなければ、単に帳簿上の数字でしかありません。最悪の場合、売上が伸びて利益も出ているのに資金がなくて「黒字倒産」という事態が起こり得ます。

資金繰りとは

資金繰りとは

「資金繰り」とは企業が事業活動を行うために必要な資金を調達し、運用する過程を指します。分かりやすく言えば「資金不足にならないよう日頃から現金の出入りや残高に注意を払うこと」です。資金繰りの良し悪しは企業の安全性に直結します。資金繰りが悪化すると支払が滞り、信用低下や支払い不能による倒産に至ることもあります。赤字が続いても手元に資金がある限りは倒産しません。しかし資金ショートは倒産を招きます。売上や利益などの観点とは別に、常に「現金」を注視する必要があります。

売上、利益と資金繰り

多くの経営者が売上や利益が伸びていれば安心してしまうかもしれません。しかし、売上や利益と現金は別です。売上が伸びて利益が出ていても現金が十分にあるかは直接的には連動しないのです。一般的に事業が成長するほど仕入や経費などが増えて必要な資金額が大きくなります。加えて、多くのケースで売上発生から代金の入金は翌月や翌々月になります。支払いは先行する一方、入金は後になり時間的ギャップが生じます。商品の在庫期間が長引けば、回収は更に遅れます。そうしたところにも資金不足に陥る可能性が潜んでいます。

資金繰りの観点において大事な順番

企業が安定的に事業継続するために重要なこと。あえて1つあげるならば、それは「現金」を枯渇させないことです。まず大切なのは現金。次に利益、より正確に言うと利益額、そして売上高、という順番を意識しておくことをお勧めします。

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資金繰りの改善策

資金繰り悪化の要因と裏腹ですが、ここでは資金繰り改善につながる可能性があることをいくつか例示します。

1、現在のビジネスを見直す

価格設定は適正か、必要以上に安く売ってないか検証します。抵抗を感じるかもしれませんが、必要であれば価格改定も検討します。また不採算の商品・サービスがあれば縮小や撤退、事前に代金をもらう形にできないかなどを検討してみるのも一手です。

2、入出金サイクルの見直し

既に決まっている取引条件を変えることは難しいようにも思えますが、自分で判断せずに販売先や支払先と条件交渉することを検討してはいかがでしょうか。外部環境は常に変化しますし、相手がメリットを感じる部分があれば応じてくれるかもしれません。いずれにしても取引条件は資金繰りに大きく影響します。

3、債権管理を徹底する

期日までに支払いがない場合はすぐに督促しましょう。ルーズな対応は避けたいところです。もし回収不能なら貸倒損失の処理を行い、利益を圧縮、税金による現金流出を抑えて資金繰りの悪化を防げる可能性があります。

4、不良在庫には注意は払う

商品を販売すれば売上が計上されます。しかし、販売されなければ「在庫」です。在庫は現金が商品という形に代わって倉庫で眠っている状態であり、先行して仕入支払が発生しているにもかかわらず、売上代金として現金を回収できていないことを意味します。当然、資金繰りにはマイナスです。在庫期間が短くなるようにできるだけ早く販売することを心がけます。どうしても売れ行きが鈍い販売は値引き販売を検討してもいいかもしれません。想定した利益を確保できないとしても売上入金が発生します。

5、借入金の元金返済額に注意する

借入金について金利を気にする人は多いですが、一方で月々の元金返済額を気にする人は少ないように感じます。返済額は損益計算書にも貸借対照表にも記載がないことも影響しているかもしれません。借入金の返済額は資金繰りに大きく関係していますから、特に資金調達時には意識しておきたいポイントです。

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資金繰計画表を作成する

資金繰りの悪化を未然に防ぐ手段の1つは資金繰計画表を作成することです。慣れないうちは大変かもしれませんが、決して難しくはありません。経費支払いのタイミングや仕入・回収の条件にそって数字をまとめるだけです。最初のうちは専門家などの力を借りるといいでしょう。コツは過度に正確さに拘らない、この先6か月程度の現金の出入りと残高をざっくりでいいので知っておくことが大事です。

※資金繰計画表資金繰計画表を作成する

資金繰計画表は、「事業計画書ダウンロードページ」よりダウンロードいただけます。
「表データ」内に月別資金繰り表(資金繰計画表)がございます。

どのくらいの資金があればいいか

多くのビジネスでは売上と同程度の支出が発生します。色々な考え方がありますが、一例として確保すべき現金の目安は平均的な月間売上高の2~3か月分程度でもいいでしょう。これが1か月未満であれば、タイミングによっては入金がないと支払ができなくなる可能性があります。そうならないように業種や事業内容にもよりますが2~3か月分相当の現金があれば資金繰りの心配は少なくなるでしょう。

資金不足の可能性があれば調達する

資金繰計画表から資金ショートの可能性があれば資金調達をする必要があります。これは逆の言い方をすると資金繰計画表があるからこそ資金調達の必要性に気づけるということです。 金融機関に融資を申請するには現在の事業の状況、資金確保が必要になった理由、希望金額、資金の使途などを文書にまとめます。こうした準備を始めてから申請、その後の審査を経て入金するまで場合によっては2か月前後かかることもあります。資金繰計画表が3か月先までしか作っていなければ、結構ギリギリです。だから、最低でも3か月先、できれば6か月程度先までの資金繰計画表を作成して早く資金ショートの可能性を察知したいのです。

資金調達の可能性を高めるためにできること

これについては様々なことが考えられますが、例として以下のようなことを意識しておいてもいいでしょう。こうしたことが、いざという時の素早い資金繰り改善につながることがあります。

調達成功のカギ
  1. 見ず知らずの新規取引先への融資については金融機関も慎重になることがあります。できれば早いうちに金融機関と取引をして関係構築を行い、業績報告等を通してお互いを知っておくとスムースに進むことがあります。
  2. 決算書の見栄えは大事です。特に本業での実績を表す営業利益は金融機関も注目しています。営業利益が黒字であり、利益額も十分にあることが望ましい姿です。いずれにしても税理士任せにせずに、日頃から自らが数字を気にする姿勢が大切です。
  3. 決算書に貸付金や仮払金がある場合、金融機関が警戒することがあります。貸付金は事業用に貸し付けたお金が経営者個人に流れている、仮払金は精算すべき経費が放置され、やるべき会計処理がなされていないと見られる可能性があります。また仮払金の未処理は本来なら経費計上されて利益を圧縮し、結果として税金支払いを抑制して資金繰りを良くする機会を逸したことにもなります。こうした項目が決算書に載らないように配慮したいところです。
  4. 過去の決算書と比較した時に売掛金や在庫など大きく数字が変化していることがあるかもしれません。実際にそうであれば仕方がないことですが、金融機関としては疑念を持つ可能性があります。あらぬ疑問を持たれたりしないように金融機関に決算書を渡すと共に、大きく数字が変化した部分などは原因や今後の改善見通しなどを説明すれば相手も安心できます。

最後に

売上や利益を気にする人は多く、それは当然のことです。ただ、それに対して資金繰りや現金についても気を配っている人は少ないような気がします。繰り返しになりますが、倒産は資金が枯渇することで発生します。みなさんのビジネスを安定的に継続させるために是非とも「資金繰り」の視点を持っていただければと思います。

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著者写真 山口 真徳著者:山口 真徳(やまぐち まさのり)
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中堅商社勤務を経て、英国ブーツブランドの日本法人設立に携わり、その後米国の外資アパレル・ブーツブランドで営業・管理職として勤務。マーケティング、事業計画作成などにも関わると共に卸・小売・ファッション業界の多くの取引先と関係構築。中小企業診断士の資格取得後、2018年独立。杉並区産業振興センター相談員として創業支援の実績多数。また、個人でもストアカ(ストリートアカデミー)で講座を持ち、ビジネスパーソン向けに創業支援を手掛ける。創業準備中の方やこれから創業について考えてみたいという方にも大切なビジネスのポイントを分かりやすく解説。“弱者の戦略”ランチェスター法則に精通。(一社)融資コンサルタント協会認定SP融資コンサルタント。

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