学生起業って、実態どうですか?
学生起業って、実態どうですか?
目次
学生起業のメリット・デメリット
あなたは「学生起業」と聞くとどのような印象やイメージがありますか?
比較的年齢が上の方などは、「学生で起業を考える前に学問を学ぶべき!」とか、「学生で起業してもビジネス経験がないのだから成功確率は低い!」などネガティブな意見も多いと思います。一方で、ポジティブな意見として、「スティーブ・ジョブスは21歳でアップルを起業し、ビル・ゲイツは19歳で起業している!先端分野の起業は若者の方が成功する!」とか、「日本でも東大生だった江副浩正さんがリクルートを創業した!学生の方が斬新なアイディアを創出できる!」など賛否両論があると思います。
学生起業のメリットとデメリットを下記にまとめてみました。
【メリット】
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① 比較的、収入が無くても生活基盤がある(親のサポートなど)
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② 時間を確保しやすい
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③ 学生目線で斬新なビジネスアイディアを創出できる(特に学生を顧客にしやすい)
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④ 起業に失敗しても、起業経験を売りにできる(就活にも有利かも)
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⑤ 学生であることでサポートが受けやすくなる(大学や公的機関のサポートなど)
【デメリット】
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① 資金調達が難しい(特に手持ち資金が少ないと難しいケースもある)
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② ビジネススキルやネットワークが不足している
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③ 親御さんや親戚などの身内から反対されるリスクがある
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④ 学業との両立が難しい
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⑤ 資格やライセンスが取得できない
データで見てみると日本の開業時の年齢で、29歳以下は5.1%で平均43.7歳(「2020年度新規開業実態調査」日本政策金融公庫)です。一方で、ユニコーン創業者の創業時年齢の中央値34歳で20歳代は20%超、また、34歳以下によって作られたユニコーンは平均して年上グループよりも大きい企業を作っています(サンフランシスコのVCであるData CollectiveのAli Tamaseb氏の調査)。
日本では学生起業数は少ないですが、海外では学生起業数、ロールモデルとなる事例も多いと言えます。なぜ、日本では学生起業が少ないのか?
学生起業の実態
国際比較すると学生の起業意欲が低いと思われます。しかしながら、学生のみならず日本国民全体的に起業意欲は低いのです。 経済産業省「ベンチャー有識者会議」によると、起業活動指数アンケートの結果を国際比較した場合、日本は最下位でした。
経済産業省「大学発ベンチャー等実態調査2020」では大学発ベンチャー数は右肩上がりで増加しております。
データ元は上記と同様で、大学別では下記になります。
このデータを見る限りでは、大学から多くのベンチャー企業が創出されており、年々増加していることが分かります。全体的に学生起業の意欲が低いですが、マイノリティ(少数派)ではあるが起業意欲の高い一部の学生が起業を目指す構図になっていると言えます。
TOKYO創業ステーションTAMAの学生起業について
我々も学生の起業掘起しに注力しております。大学との連携イベントも約30大学で実施しております。下記が大学での講義の様子です。
6月3日亜細亜大学経営学部「ベンチャービジネス論」のゲスト講義に当ステーションの向井裕人コンシェルジュが登壇しました。
12月16日実践女子大学生活科学部の授業「基礎演習d」に招かれ、起業コンシェルジュ横川真依子氏が講義を行いました。
我々のスタンスは、「学生に起業してもらいたい!」とは思っておりません。
彼らは長寿時代に入り、人生100年とも言われております。そうなると大学を卒業して入社した会社の業歴を考えると、会社寿命の方が短くなるケースが出てきます。
これからは、人生のどのタームでも「起業」を意識する、または起業することが当たり前の時代になります。
学生のうちに「起業を知る」ことが、これからの人生においてリスクヘッジになります。
また、これからは新規事業の立ち上げなども当たり前に行っていかなければいけない時代です。新規事業の立ち上げ方を知ることも重要だと思います。アントレプレナーシップ(起業家精神)、リーンスタートアップ、最新マーケティング理論など人生に役立つことは沢山あります。
さて、ここからはTOKYO創業ステーションTAMAを利用する学生のタイプになります。
① 起業を学ぶため、学生時のみ起業する(卒業後は就職するタイプ)
K大学のI君は、大学2年生の時にバイトをするぐらいなら、思い切って自分で起業してみたいと実行に移す。事業構築のために友人に手伝ってもらいながら、営業活動や顧客面談など自分自身で経験することで、多くのことを学んだ。収入はバイト代よりもちょっと多い程度だけどいい経験になっている。この事業で食べていこうとは思っていない。父も事業経営しているので、背中を押してくれた。卒業後の進路は就職を考えている。
② 起業を決めて卒業後も事業経営する(起業まっしぐらタイプ)
T大学のAさんは、大学4年生から起業を考えて当施設を利用する。フェムテック分野での起業を目指して、ビジネスモデルの構築を行うため、一年かけて先輩起業家や専門家などのアドバイスを受けながら事業構築を続けた。ビジネスコンテストにも受賞して、 大学卒業後には法人登記を行い経営者として歩み始めた。
③ いずれは起業したいけど。。。(いつか起業したいタイプ)
Sさんは高校3年生で当施設を利用し、起業を目指して学び始めた。TAMAゼミ(U25)にも参加して、起業について長期にわたり学び、多くの学生起業を目指す仲間もできた。
今はソーシャルビジネスを起業した若手起業家のところで、インターンとして仕事も行っている。今後の人生として、大学進学も視野に入れ、いずれ起業を目指す。
④ 起業に興味がある方ってどんな人か会ってみたい(起業コミュニティ形成タイプ)
Yさんは、中学3年生の時に母親と一緒に当施設を利用する。将来はアメリカで起業したいと夢を持っている。起業を目指している学生に会ってみたいと思いイベントに参加した。現在、高校1年生で起業を学んでいる。学生起業のコミュニティには、高校生や大学生など年齢も様々、男女も偏りもなく半々程度、起業を目指している仲間だからか、意気投合して絆が強いのが魅力である。
就職活動と学生起業との天秤
大学3年生になると、就職活動をするのか、はたまた学生起業を継続するのかの選択で、悩む学生がおります。自身のキャリア形成として、どの道を選択するのかは重大な分かれ道になります。
当然ながら、本人が決めることですので、我々の守備範囲ではございません。
その中で、大手企業では大きな流れが起きております。学生起業を限定としたインターンの実施、学生起業枠で新規採用するものもあります。一部の大手企業では、副業・兼業も認めて、自社の事業領域と被らなければ、会社設立も認めている企業すら出てきています。 企業側も起業家マインドを持った若手人材を採用して、チェンジエージェントとして企業内で活躍してもらいたいとの思惑もあるようです。
当施設を利用している学生起業家で、大手企業への就職を選択した学生がおります。大手企業でビジネスの手法を学び、数年後には経験を活かして独立することで、起業の成功確度を高めていきたいとの考えがあるようです。
まとめ
学生起業と言っても、いろいろな考えや個々人の人生設計があります。当施設では、起業したい学生を全力でサポートしていきます。
本人の意向を尊重して、彼らの考え方にあったサポートをしております。学生時代には学問を学ぶことも大切です。また、様々な人との出会いも必要だと思います。しかしながら、起業を知ることで、人間形成できることも多々あると思います。
多様なテクノロジー、多様な人間、グローバルな視点などのダイバーシティ(多様性)に触れることで、イノベーションを創出する確率も高まります。必ずしも学生時の起業にこだわらず、将来のイノベーション人材を育成する観点からもTOKYO創業ステーションTAMAは学生の起業掘起しに注力しております。
大学関係者や学生などの皆様からお問合せやご利用をお待ちしております。 東京都が世界有数のイノベーション都市として進化できれば幸いです。
学生起業家からのコメント(起業して良かったこと)
I君「普通の学生ではお会いできないような方にお会いして、相談に乗っていただけるのが、学生で起業して良かったなと思う点です。」
Aさん「正直、まだ起業してよかったと思えたことはありません。なぜなら、会社を起こしたのはいいものの、まだ世の中に価値を提供できていないからです。
ですが、起業してよくなかったと感じたことはありません。自分の解決したい課題、叶えたい世界に向けて全力を尽くして走っていけるということは私にとって幸せなことです。
世の中に良い影響を与えられるサービスをいち早くローンチできるように努めていきます。」
施設情報・関連ページ
TOKYO創業ステーションTAMA
〒190-0014 東京都立川市緑町3-1
GREEN SPRINGS E2 3階
電話:042-518-9671
TOKYO創業ステーションTAMAは、東京都内で起業を目指すみなさんを応援する創業支援施設です。起業相談、事業計画書策定支援、イベント・セミナーのご参加、テストマーケティング出展など、すべてのサービスを無料でご利用いただけます。
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著者:TOKYO創業ステーションTAMA 運営責任者 山本康博
食品メーカーの法人営業、コンビニ大手のマーチャンダイザー(MD)、営業コンサルタント等を経て東京都中小企業振興公社にて、主に新規事業立ち上げ業務や販路開拓支援(国内及び海外)、タイ・バンコク駐在員(2年間)、創業・スタートアップ支援に従事。中小企業診断士。
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