加賀城 剛史先生インタビュー(TAMAプランコンサルタント)

加賀城 剛史先生インタビュー
(TAMAプランコンサルタント)

加賀城 剛史先生

こんにちは!TOKYO創業ステーションTAMAの相談員にインタビューを行う本企画、第11弾はプランコンサルタントの加賀城剛史先生をお招きしまして、インタビューしてみました!今回はコンサルティング、補助金支援、創業支援と幅広く活動されている加賀城先生の相談極意に迫ります!

インタビュー

― 現在のご自身の事業や手掛けられていることを教えてください。

事業の柱としては、建設業向けのコンサルティング、補助金・助成金や市区町村・商工会の専門家事業、創業支援で、5:3:2の割合です。コンサルティングは、経営戦略及び組織形成・社内コミュニケーション支援が主なメニューです。補助金は建設業が扱える補助金がメイン、ものづくり補助金、事業再構築補助金、海外事業展開向けの補助金等です。

加賀城先生

対面・電話の他、オンライン(zoom)でも気軽に相談できます

― これまでの経歴を教えてください。

大学では土木工学を専攻しました。卒業後、建設コンサルタント会社にエンジニアとして就職しました。国内で2~3年、橋梁設計に携わりました。その後、JICA(独立行政法人国際協力機構)のODA(政府開発援助)事業で海外に派遣されるという形で、現地で土木構造物設計や交通計画を作るための支援をしました。現地のカウンターパート(受け入れ担当者)の政府機関の方と一緒に仕事をしていました。14~15年、退職するまで従事していました。もともと海外志向があったので長く携わっていたのですが、ある時、国内で仕事を一緒にした企業の倒産を目の当たりにしました。技術力が高く優良企業として表彰対象となる企業でした。親しくさせていただいた社長から、資金繰りで倒産したと聞きました。当時はバブルが終わって建設業でも不良債権が問題になっている時代でした。倒産の原因が資金管理であったと聞いて、いい企業なのに非常にもったいないと強い衝撃を受けました。そのことが心の中にずっと残って私の生き方が変わる要因となり、これからの自分のキャリアを数年考えた結果、今後は「経営」に係る仕事に舵を切ろうと決断しました。そこで、中小企業診断士の資格を取得し18年務めた会社を退職、中小企業診断士として独立しました。
独立してみてわかったことですが、会社員から独立したことは自分の生き方に合っていると感じました。それは切り開くのも苦境に陥るのも、成果も不条理なことも全部自分が原因、自分に跳ね返ってくる。自分のやった結果が売上額という形で「みえる化」される。努力した時間の対価ではなくではなく、成果の対価という形で評価が与えられるということに納得したからです。
実際には、すぐに仕事がもらえたわけではなく最初は、中小企業診断士協会に入会して先輩たちに付いていって仕事をさせていただきました。まずは、各種補助金の支援から始めました。建設業や製造業に限らず、幅多くの業種の補助金のお手伝いをしました。そこから少しずつ建設業コンサルティングの依頼をいただけるようになりました。また、創業支援の相談も受けるようになりました。ウエイト的には飲食業が一番多く、サービス業、建設業といった順でした。製造業と言っても様々で、家族で経営をされているような食品製造の会社から100人、200人規模の一般の半導体を製造しているような会社もありました。また、サービス関連では、マッサージ業、美容院、エステサロン、絨毯クリーニング、清掃業などもありました。その他、福祉タクシーの開業というご相談もありました。
創業支援という仕事については、ゼロから1にもっていくことに非常に意味があることと考えています。創業を考えている方の悩みは、自分が独立するときの不安と同じだったので、一緒の立場で支援が出来るという意味でも自分に合っていると感じています。

加賀城先生

加賀城先生の相談を無料で受けることができます(毎週水曜日17時~20時、第2・第4土曜日10時~16時担当・1回45分以内)

― 起業相談での得意分野は?

前職の経験を活かした建設関連、建設コンサルタントが得意分野です。
従来からの建築業、リフォーム、内装業の相談が多く、マーケティング、動き方(営業)についてもアドバイスしています。どんなビジネスでも同様ですが、業界常識、専門知識は重要ですが、それらをいかにお客様に求められるビジネスとして紹介していけるのか、パートナー探しが重要だと考えています。マッチング業を含め、最近では建設業を支える人たちにデジタル技術を活用してアプリを開発し、デジタルツールを提供するようなビジネス、建設DXに関連する相談が目立ってきました。サービス業に近い相談だと思います。最新のテクノロジーを活かした創業にふれることができて楽しいです。
建設関連以外では、内装業関連で不動産や飲食業についても相談をお受けする機会が多く、店舗設計という観点からアドバイスをしたところ、非常に感謝されました。飲食業では、海鮮レストランを創業したいという方がいましたが、もともと築地市場と深い繋がりもあり新鮮な魚介類が手に入るということで、それを武器に開業したということでした。初期投資費用、差別化のほかに立地、商圏が重要なので、商圏のとりかた、市場調査で自社の特徴を生かすために必要な着目ポイント、競合調査について支援をして開業に至りました。

― これまでの相談で印象に残っている相談内容があれば教えてください。

思い出に残っているのは、ガス工事や水道工事で図面作成や申請・検査代行のサービス代行とコンサルティングの会社を起業させたいという40代の方です。ご自身もガス工事業に勤務する中で、一緒に働くエンジニアの年齢が高くなりITについていけなくて困っている、という実際の現場での困りごとが起業の発端でした。
経歴や将来ビジョン、動機、今準備していることについて一緒に整理しました。起業がうまくいくかの鍵は、ガス設備等のIT化に対応できていないという設備会社にどう営業して、彼の持つ強みを理解してもらえるかということがポイントとして挙がってきました。
サービスごとに営業出来そうな企業が異なります。図面作成や申請等の支援業務を兼務するので、限られた時間の中で営業をこなす必要があり営業の効率化も重要な要素でした。どのようなサービスが提供できるのか、商品リストという形で書き出し、その商品ごとに、あなただけのサービスで何が出来るのか。その出来ることで設備会社のどんな困りごとが改善出来てどんな価値が得られるのかを共に考えました。
大きく5つのサービスに分類し、ガス・水道工事業は市区町村登録制でリスト化が可能なので、該当地域の企業を規模別にリスト化し必要とされるサービスを区別していくこととして、開業からの3年間について、どのように営業活動とサービスを両立させるのかも踏まえて売上計画をたて、そこから収支計画、資金計画も同時に立案されました。
その方は、業界全体の問題である人手不足を毎回のように話され何とか地域を救いたいという思いを強く感じました。無事開業までこぎつけています。
もう1件は、保育園開業の相談がありました。保育園での指導経験があるお二人で保育士の資格を持つ40代の方と小学校の英語教師の資格を持つ50代の方女性同士での相談でした。
小規模保育園の開業で非常に意欲が高く、保育に対する考え方やどう保育したら今の時代に合っているかを常に考えていて、他の特に民間保育園には足りないものは何か、すべて具現化したいということでした。
聞いていくうちに、ポイントはやはり資金調達にありました。小規模保育園なので乳児さえ入れば区の補助金が収入なのでその心配はなかったのですが、内外装費用が多額になることと、4月1日開園が決まっているため、時間的余裕もなかったことを覚えています。
何度も足を運んでいただき、自己資金がどの程度あるのか。保育園を経営した際の経費見積りに注力して、非常に急ぎ足で計画を仕上げて、公庫と民間金融機関との協調融資に申し込まれた覚えがあります。毎週相談しないと間に合わないくらいのスケジュール感でしたが、その意図を組んでいただき、事業計画書を仕上げられたのを覚えています。

加賀城先生

相談者の方が前向きな思考で考えられるようにお聞きしています

― 起業相談の際に心掛けていることは?

ご相談者のアイデアを尊重することです。最初から否定しないことです。目標との差がいかに大きくても、まずはできたところまでは確認し目標に近づくにはどういう準備をしていきましょうかという支援をしています。具体的な質問の仕方で、「どうすれば、もっと良くなるだろうか。」「こうすれば開業できます。」とういう向きあい方でお話を聞いています。相談者の方が前向きな思考で考えられるようにお聞きしています。ゼロから1にするには、そういうプラス思考が大切だと考えています。

― 起業相談の前に準備しておいたほうがよいことは?

基本的には、起業したいと考えているならば、まずはここにお越しください。 それでもあえて言うとすれば、私からは3点です。

  1. 起業する事業が誰に向けてのものなのか。その方がどのような生活をして、どんな場面であなたの商品(サービス)をイメージしているのか。考えておいていただきたいです。
  2. 起業した後の人生設計、夢を考えて頂きたいです。3年後、うまく経営が進んでいたらどんな事がやりたいのか。10年後、更に経営がうまくいっていたらあなたの人生がどうなるのか。
  3. 資産の中で起業する事業に回せる「自己資金」を少しでも増やしていただきたいです。きちんとした計画であれば金融機関から創業資金は融資しやすくなりますが、それでも自己資金が多い方が起業時の経営が楽なことは言うまでもありません。

― 起業相談をしようか迷っている方へのメッセージをお願いします。

加賀城先生

相談者の創業に対する思いや不安を計画書という形にアドバイスしていただけます

独立起業してやっていけるだろうか。ご家族が協力してくれるだろうか。そんな不安は今成功している社長さんも誰しもが起業当時持っていました。 こんな状態で何の準備もせずに相談していいのだろうか?こんな計画で持っていったら笑われるのではないか? このような心配はまったく問題ございません。逆に皆さんの創業に対する思いや不安は、言葉や計画書という形にすることで次のステップに進みます。 起業相談で迷われているのであれば、ぜひTAMAにご相談にお越しください。 共に人生の夢を実現していきましょう。そのお手伝いを精一杯させて頂きます。

相談員紹介

相談員紹介TOKYO創業ステーションTAMA
プランコンサルタント
加賀城 剛史(かがじょう たけし)


大手建設コンサルタントに18年勤務、2013年4月に独立後、都内の創業支援に携わってきました。 取扱いの多い飲食・サービス業や経験豊富な設計事務所・インテリア・リフォーム・解体等、住宅建設業・不動産業を中心に250件以上の創業者様に開業前の準備から開業後までのお手伝いをしています。 創業を迷われている段階から立ち上げ、開業後のモニタリングまでご相談にお越しください。 中小企業診断士、事業承継士、SP融資コンサルタント。

施設情報・関連ページ

TOKYO創業ステーションTAMA

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TOKYO創業ステーションTAMAは、東京都内で起業を目指すみなさんを応援する創業支援施設です。起業相談、事業計画書策定支援、イベント・セミナーのご参加、テストマーケティング出展など、すべてのサービスを無料でご利用いただけます。


著者写真著者:TOKYO創業ステーションTAMA Planning Port 事務局 村岸 伸樹

食品メーカーにて法人営業、監査業務に従事。
2022年4月に公益財団法人東京都中小企業振興公社に入社し、TOKYO創業ステーションTAMA Planning Port 事務局に着任。