馬込 正先生インタビュー(TAMAプランコンサルタント)

馬込 正先生インタビュー
(TAMAプランコンサルタント)

馬込 正先生

こんにちは!TOKYO創業ステーションTAMAの相談員にインタビューを行う本企画、第10弾はプランコンサルタントの馬込 正先生をお招きしまして、インタビューしてみました!今回は「コンサルタントに大切なものは何か」というテーマで馬込先生の相談極意に迫ります!

インタビュー

― 現在のご自身の事業や手掛けられていることを教えてください。

メインの仕事は、経営コンサルティングです。創業者向けには、ビジネスアイデアの創出から、ビジネスモデルの策定、そして事業化までを支援しています。また、企業向けには、販路開拓や新規事業領域で、企業様が抱える課題解決のお手伝いをしています。仕事は、クライアント様から直に受ける場合と、公的な立場で行なう場合があります。後者は、東京都中小企業振興公社をはじめ、中小企業基盤整備機構、都道府県等自治体、商工会・商工会議所、金融機関などからご依頼をいただいています。TOKYO創業ステーションTAMAのプランコンサルタントはここに当たります。
2つ目は、コンサルタントや支援者の育成です。中小企業大学校での支援担当者研修からスタートし、全国の団体や機関からご依頼をいただくようになりました。また、JICA(国際協力機構)のODAで、ベトナムのコンサルタント育成にも取り組んでいます。現地の政府機関と協力して、2年間で約200名の創業・新事業アドバイザーを育成しました。今では、現地に相談窓口が開設され、育成したアドバイザーたちが提供したメソッドで、創業者を支援するシステムができました。これは嬉しい事です。
3つ目は、大学の教員です。現在は、亜細亜大学ならびに高崎商科大学で非常勤講師として勤務しています。講義では、ビジネスモデルの策定やアントレプレナーシップ、イノベーションなどを教えています。

馬込先生

対面・電話の他、オンライン(zoom)でも気軽に相談できます

― これまでの経歴を教えてください。

大学を卒業して電機メーカー2社で、12年間サラリーマンをしました。仕事は営業が最も長かったです。販路開拓のコンサルティングではその経験も活かしています。他には、経営企画や生産管理、3年間のマレーシア赴任も経験しました。
創業のきっかけは、当時の会社が、あるコンサルティングファームから業務改革の支援を受けたことです。私は、経営企画室の担当者として2年間そのプロジェクトに参加しました。これがコンサルタントというヒトや仕事にはじめて接する機会でした。メーカーしか知らなかった私には、とても新鮮で魅力的に映りました。そして、自分もこんな仕事がしたいと思うようになりました。
2002年、36歳でコンサルタントとして独立しました。はじめは顧客ゼロ、売上ゼロからのスタートでしたが、調査や資料づくりなどの業務受託からはじめ、徐々にコンサルタントらしい仕事をいただけるようになりました。2011年には、九州大学TLO(株式会社産学連携機構九州)総合研究部門のチーフプロデューサーとして、大学発シンクタンクビジネスに参画する機会をいただきました。そして、2012年に中小企業診断士を取得し、仕事の幅が広がりました。
創業支援を始めたのは、2014年に慶応藤沢イノベーションビレッジでインキュベーションマネージャーとして働くようになったことからです。その後、中小企業基盤整備機構のBusiNest(ビジネスト)でビジネスコーチを6年間勤め、2022年からTOKYO創業ステーションでプランコンサルタントをさせていただいています。その間に、東京経済大学のビジネス創造講義の講師を6年間、中小企業大学校の講師を5年間勤めました。

― これまでの相談で印象に残っている相談内容があれば教えてください。

TOKYO創業ステーションTAMAでの支援では、事業計画書の策定が修了した後、しばらくしてから、「1店舗目が上手くいったので2店舗目を考えている」「さらに新規の顧客を獲得したいので提案書へのアドバイスがほしい」などの相談にいらしたケースです。ビジネスが軌道に乗り、修了後も繋がりが持てる支援は嬉しいですし、印象に残っています。
また、自社での支援で忘れられないのは、40代の男性への支援です。半年ほどかけて、とても魅力的なビジネスを構築することができ、さらに一年ほどかけて、開業する直前まで準備したのですが、ご家庭の急な事情で、やむなく断念せざるを得なくなりました。ビジネスを実現するためには、様々な要因が絡み合っています。創業者の能力やビジネスの魅力はもとより、創業者を取り巻く環境やタイミングなど、ご自身ではコントロールできないものもあります。
このケースでは、ご本人も私も悔しい思いをしましたが、最終的には「やるだけやった」と前を向くことができました。支援を通じて、仮に結果が伴わなかったとしても、本気になって一つの目標に向けて考え、行動し、切磋琢磨することは、貴重な経験になることに気づくことができました。創業が全てではありません。相談者は、これまでの会社で大いに活躍されています。

馬込先生

馬込先生の相談を無料で受けることができます(毎週金曜日10時~17時担当・1回45分以内)

― 起業相談での得意分野は?

創業支援における領域としては、新事業の構築や販路開拓・マーケティングに力を入れています。特徴として、それぞれに独自のコンサルティングプログラムを用意している点があげられます。それらのプログラムを活用することで、体系的かつ効果的な支援ができるものと考えています。新事業の構築と販路開拓はビジネスの両輪です。まず魅力あるビジネスをしっかり創り上げて、お客様に価値を訴求し、適正な対価を得ることでビジネスを成立させる流れを意識しています。
また、業種としては、サービス業やものづくりが比較的多いです。特に、コンサルタント育成をしている関係で、最近はコンサルタントを志す方の相談が増えています。20年以上の支援経験から、それ以外の業種であっても広く対応できます。

馬込先生

「強みを仕事に!コンサルタント創業成功への道」R4年度第10回業種別セミナー登壇(2023.03.15)

― 起業相談の際に心掛けていることは?

一言でいいますと「10年後の笑顔を創る」ことです。残念ながら、創業しても全ての方がうまくいくわけではありません。少なくない創業者たちが志半ばでビジネスから退出しています。支援者には、継続できるビジネスをしっかり創ることが求められています。
以下に、具体的に心がけていることの中から3つ紹介します。
1つ目は、「相談者と良好な関係を築く」ことです。これは支援の大前提です。ビジネス創りは相談者と支援者の共同作業です。お互いがビジネスの成功に向けて本気で取り組むことで、相乗効果から新たなひらめきや革新が生まれます。私はそこを狙っていますし、実際のたくさんイノベーションが起きています。そのためには、お互いの信頼関係がなければならないと考えます。
2つ目は、「やりたいビジネスをやる」ことです。相談者がやろうとしているビジネスが本当にやりたいことであることは、ビジネスを継続する上で欠かせない要素です。ただ儲かりそうだから、時代の流れに乗っているから、人に誘われたからだけでビジネスを進めようとされる方には、自分を見直すところから取り組んでいただくようにしています。
そして3つ目は、「数字で考える」ことです。はじめはご自身が考えるビジネスの理想の姿を描いていただきます。その上で、ビジネスを数字で捉えることで、現実的な条件を明確にします。この理想と現実を踏まえて、改めて最適なビジネスへと練り上げることで、継続できるビジネスへ進化させていきます。

馬込先生

コンサルタントの育成をしていますが、何が大切かと言うと、マインドだと思っています。

― 起業相談の前に準備しておいたほうがよいことは?

基本的に事前の準備はいりません。しいてあげるなら、やろうとされているビジネスにおける制度や商慣習、必要な資格や許認可といった、業界独特の情報をある程度おさえていただけると話が進めやすいです。
事業計画書は、ご一緒に検討していきますので心配いりません。漠然としていても大丈夫です。思い立ったら気軽に相談にいらしてください。

― 起業相談をしようか迷っている方へのメッセージをお願いします。

私自身創業して20年以上になりますが、創業しなければよかったと思ったことはただの一度もありません。創業して心から良かったと思っています。創業では、「自らが夢を描き、自らが道を切り開き、そして自らが実現していく」ことができます。これは本当に素晴らしいことです。
もしどうしようかと悩んでいるのでしたら、創業するかどうかを決める前に、一度本気でビジネスを創ってみてはいかがでしょうか。その上で判断すればいいのです。仮に創業しなかったとしても、そこには価値があると思います。
私は、「創業したいのなら創業するべき」だと思います。但し、「絶対に失敗してはいけない」のです。失敗しないために、しっかり準備しなければいけません。そのために、TOKYO創業ステーションTAMAがあります。

相談員紹介

相談員紹介TOKYO創業ステーションTAMA
プランコンサルタント
馬込 正(まごめ ただし)


中小企業診断士、亜細亜大学経営学部 非常勤講師、高崎商科大学商学部 非常勤講師
大手電機メーカーを経て、2002年コンサルティング事業で起業。2011年~九州大学TLO総合研究部門 チーフプロデューサー、2014年~慶應藤沢イノベーションビレッジ IM、2015年~中小企業基盤整備機構 創業支援拠点アドバイザー、2016年~東京経済大学 外部講師、2018年~中小企業大学校 講師を務める。
現在は、全国の創業者や企業を支援・育成する傍ら、亜細亜大学と高崎商科大学でビジネスモデル策定とアントレプレナーシップ、イノベーションなどを教育。さらに、各種支援機関や国際協力機構(JICA)を通じて、国内外の創業・企業支援者の支援能力向上を図る。
相談は金曜日10:00~17:00 担当。

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著者写真著者:TOKYO創業ステーションTAMA Planning Port 事務局 村岸 伸樹

食品メーカーにて法人営業、監査業務に従事。
2022年4月に公益財団法人東京都中小企業振興公社に入社し、TOKYO創業ステーションTAMA Planning Port 事務局に着任。