ものづくり起業の進め方のポイントとPoC

ものづくり起業の進め方のポイントとPoC

ものづくり起業の進め方のポイントとPoC

一口にものづくり起業といっても、手作り雑貨やこだわり食品、いわゆるガジェットと呼ばれる電子機器類、さらに、特殊な経験や知識を生かした専門的な機械装置類まで、多種多様な形態があり、起業に取り組む方々も数多くいらっしゃいます。自らのこだわりを形にしてお客さんに喜んでもらえることは、ものづくり起業の何よりの魅力です。本記事では、ものづくり起業における留意点について解説します。
※ガジェット・・「小道具、器具」などを意味する言葉ですが、特に近年では「便利な小型の電子機器類やデバイス、アプリ」などを指します。

ものづくり起業の留意点

ものづくり起業の留意点

ものづくりに魅力を感じて、趣味でクラフト雑貨やお菓子、趣味性の高いガジェットなどを製作し、イベントやマーケット、SNSなどで販売している方も多いと思います。しかし、ビジネス(事業)として「ものづくり起業」に取り組む場合には、いくつかの壁を乗りこえる必要があります。

① 製品の品質を安定させ、安全性にも責任を持つ。

趣味で製作販売をすることと異なり、ビジネスとして行う場合は、不特定多数のお客様に製品をお届けすることになります。趣味の販売のように、顧客との「顔の見える」関係で販売している場合は、多少の品質のばらつきも手作りの良さとして許容されたり、クレーム対応も比較的容易ですが、ものづくり企業として販売する場合には、一定の品質基準や安全性をしっかりと保証しなければなりません。

② コスト管理をきちんと行い、利益が出る価格で販売する。

ビジネスとしてものづくりを行う場合は、自分の報酬や今後採用するであろう従業員の給与も含めてコスト(原価)を計画し、しっかりと元が取れ継続的に事業が続けられるような価格設定をする必要があります。趣味で製作販売している場合の2倍3倍の価格設定をすることも珍しくありません。流通梱包、品質管理や、販売手数料などに掛かる費用もかなりになります。

③ 多額の先行投資が発生し、資金が必要になる。

ものづくりをビジネスとして行う場合は、製造設備を準備しなければならず、設備によって数十万~数千万円くらい掛かることがあります。また製造場所も、騒音クレームを避けたり清潔さを保つために、作業場所(工場)を確保する必要もあります。
自社で製造せずに外注業者に製造を委託する(ファブレスと呼びます)場合であっても、通常の工場では最低でも1,000~2,000個単位でしか製造を受けてくれないので、初期発注に多額のお金が掛かります。このように、先行投資が大きくなるのがものづくり起業の特徴であり、金融機関からの借入が必要になるケースが大半です。

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プロダクトアウト(シーズ発想)とマーケットイン(ニーズ発想)

製品の企画において、自分が製作技術を持っていたり、特殊な材料の入手先を確保している場合には、それらの自社の強みを生かした製品の概要を決めてから、それを購入してくれそうな顧客層を探すという方法があります(シーズ発想と呼ばれます)。
逆に、消費者や企業が求めるものを先に考えて、こんな製品があったら便利だな、というところから製品の概要を決めてゆくやり方もあります(ニーズ発想と呼ばれます)。
売れる商品というのは、この「シーズ」が「ニーズ」にピタリとはまったときに産まれます。シーズから入る場合は顧客ニーズの調査をしっかり行い、ニーズから入る場合は技術的な実現可能性をしっかり調査しましょう。

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新製品開発のプロセス~ 企画、開発、試作、生産準備、販売開始

製品の製作・製造・販売を行う流れとしては、企画、開発、試作、製造準備、販売開始というステップになります。

① 企画:

製品のおおまかな仕様(スペック)を検討する段階です。デザイン画や、図面などで、製作/製造したいものを一度イメージ化してみます。大きさ、素材や機能(動く、光る、音が鳴る)や効能(食べ物であれば味や美味しさなど)を考えてみて、こういう製品ならば見込み客に喜んでもらえるのではないか、という製品の概要を検討します。

② 開発:

企画したものを、具体的に製作可能な具体的な仕様に落とし込んでゆきます。物理的な寸法(サイズ)や形状、素材、機能などを決めてゆきます。ハードウェアの場合は図面を書くことも多いです(最近では3DのCGも使われます)。食品や化粧品のようなものは、レシピを検討します。

③ 試作:

検討した具体的仕様に基づいて、製品を試作してみます。予定していた機能や性能、効能が達成できるかを確認するとともに、デザインや使い勝手などもレビューします。この段階で見込み客に試用してもらい、改良点を洗い出しておきます。各種試験(安全性、耐久性や賞味期限など)も行い、見つかった課題を修正します。試作は何回か繰り返し、最終試作ができたら必要な認証や規格を取得します。

④ 製造準備:

最終仕様を固めるのと並行して、量産を踏まえた製造方法を検討します。量産ではコストを抑える必要があるので、この段階で材料・材質を変えたり設計やレシピを変更したりすることもあります。また、外注で委託製造を行う場合は、委託先の探索も行い、先方の所有設備に合わせて、再度製品の仕様を替えることもあります。

⑤ 販売開始:

製造準備が整ったら販売を開始します(市場に出すことを上市、リリース、ローンチ(launch)と呼ぶこともあります)。プレスリリースや広告宣伝、展示会やイベントへの出展を行い、新製品の認知度を高め、本格的な営業/販売活動を行います。 製品は、リリースした後も、顧客によって問題が発見させることがありますので、随時修理・修正などを行い、継続的な改善を行います。

PoC(Proof of Concept)の重要な役割

PoC(Proof of Concept)の重要な役割

PoCとは「コンセプト実証」のことで、新しいコンセプトの製品を開発する場合に、大がかりで高コスト・長期間にわたりがちな製品開発のリスクを、最小限に抑えるためのアプローチです。製品がまだ何も存在し無い段階で、まずは検証に必要な最小限のデザインや機能を一旦カタチにしてみるという、製品開発の第一歩になります。

MVP(Minimum Viable Product=必要最低限の機能をもつ製品)と呼ばれる、機能を絞り込んだ試作品を最低限で製作して、見込み客に試用してもらい、製品コンプセプトの方向性を固めて行きます。いろいろな機能や特徴を盛り込んだ複雑な試作品を最初から作ることは止め、機能を絞り込んだ試作品を低コストでいくつも作ってみることで、「本当に顧客が必要なもの・ほしがるものは何か」が見つけやすくなります。「Fail fast, Fail cheap, Fail smart」の精神で、「賢い失敗を素早く繰りかえすことにより最終製品の成功率を上げる」アプローチになります。

試作の種類(原理試作、機能試作、デザイン試作、量産試作)とその意義

製品の試作では、

1)そもそも技術的に安定して動作したり製造したりすることができたり、予定した効能が発揮できるのか(技術)
2)見込み客が買いたくなる機能・デザインになっているか(顧客ニーズ)
3)必要とされる耐久性や安全性を備えるものが作れるか(品質)
4)製造コストがいくらくらいになりそうか、売れる価格帯で製作できそうか(コスト)

を検証するために行います。1)の技術面を検証するのは原理試作と呼ばれ、2)の機能やデザインを確認するのは機能試作、3)や4)を検証するのは量産試作と呼ばれます。可能であれば、2)や3)の段階で、販売を伴う「テストマーケティング」※2を行うことが推奨されます。開発が進んだ段階で仕様変更が生じると、製品のリリースが大幅に遅れたりコストが大幅に超過するため、段階的試作を通した検証はしっかりと行いましょう。

※2本記事で記載の「テストマーケティング」では、販売等を前提にしていますが、TOKYO創業ステーションTAMAで実施する「テストマーケティング支援事業」では、支援内容に「販売行為」「個人情報収集」等は含まれておりません。
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まとめ

まとめ

ものづくり起業につきものである、製品の企画、開発、製造は、自社のみで全てできることはまれであり、外注や委託など他社の協力を得ながら進めることが一般的です。製品の設計や製造のプロセスで分からないことがある場合は、TOKYO創業ステーションTAMAなどの支援施設をうまく活用し、専門家の知見や支援を得ながら進めるとよいでしょう。

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著者写真 松井 淳(まつい じゅん)著者:松井 淳(まつい じゅん)
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日本HPほかIT企業にてマーケティング・営業・商品企画に携わり、執行役員として新事業立上げを担った経験あり。製造業、IT、食品分野に精通。十数年に渡る支援経験の中で、500人の創業希望者の相談に乗りながら、年間150件の事業計画の作成をサポート。大学で創業講座も持ち、学生からシニアまで広く創業の相談に対応。イベント集客、WEB運営、融資取付、会社登記、契約書作成といった、すぐに役立つ実務支援も得意。

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