値上げをしてもお客様が離れない仕組み
値上げをしてもお客様が離れない仕組み
値上げしてもお客様が離れない!原材料高騰時代の「上手な価格転嫁」のコツ

仕入れ価格や原材料費が高騰する中で、「値上げをしたいけれど、お客様が離れてしまうのでは…」と悩む経営者や創業者の方が増えています。 しかし、原価高騰を価格に反映できないままでは、利益が減少し、気づかないうちに経営が圧迫されてしまうこともあります。本記事では、顧客離れを防ぎながら、適正な価格転嫁を実現するための考え方と実践ポイントを紹介します。
目次
1.原材料高騰を「価格に反映できない」リスクとは
近年、食材・光熱費・資材などの価格上昇が続いていますが、この流れは今後も続くと推察されます。この仕入れコストの増加を価格に反映できないと、利益の低下や資金繰りが困窮するなどのリスクが生じます。例として、原価が10%上がったにもかかわらず販売価格を据え置けば、その分利益率は確実に下がります。その結果経営にひずみができ、今までと同じよいサービスが提供できなくなる可能性もでてくるのです。 値上げで顧客離れが起きるのも心配ですが、利益低下によって、よい商品やサービスの提供ができなくなることも顧客離れを呼ぶ要因になります。 お客様の満足を維持しつつ経営を安定させるためには利益を確保する視点が大切です。
2.顧客離れが起きる原因を押さえよう

値上げの重要性は理解したけれど、「お客様が離れるのでは?」と心配で値上げができないと考える方も多いと思います。値上げしても顧客離れを起こさないようにするには、まず顧客離れが起きる原因を押さえ対策を練ることです。
値上げで顧客離れが起きる主な原因は以下の3つです。
- 商品に価値を感じなくなった(商品価値より価格の方が高いと思う)
- 比較対象が多い市場で差別化ができていない
- 値上げのお知らせや理由が不明 (いきなりの値上げや便乗値上げの疑惑)
3.付加価値をプラスして「値上げ感」を和らげる
いくら原材料が上がったとしても、やはり値上げには抵抗があるものです。 特に、価値と価格のバランスが崩れると不満を感じる場合が多いです。 例として、今までランチ800円で妥当と感じていたのに、1,000円に値上げしたけれど、料理やサービスが以前と全く同じで「高くなっただけ」と感じると不満がでてきます。 そのため、単に価格を上げるのではなく、「少し良くなった、少し魅力的になった」と感じてもらう工夫が大切です。 同じ商品をそのまま価格だけで上げるのではなく、その商品に少し付加価値をプラスすることで別の「格上げ商品」にしていきます。以下の点を意識しながら「プラスの変化」を高めていきましょう。
- 商品内容を少し良くする(素材・分量・盛り付けなど)
- 提供スピード・サービス対応を見直す
- お客様の声を反映した「改善報告」を添える
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4.商品・サービスの価値を知らせていく

今までと同じ商品でも、その価値を知らせることで満足感が高まる場合があります。 例として、国産材料を使った料理でも今まで特にお知らせしていない場合は、「国産にこだわったメニューです」などと付加価値を知らせていきます。さらに国産材料を揃えるために、全国の農家を駆け巡り国産材料だけで提供する苦労話なども伝えると、より一層価値を感じやすくなります。 素材だけではなく、作り方にもこだわっている場合は、その技法をできる技術力があること等も含めてお知らせしていきましょう。 例として、「天ぷらをカラッと揚げるために、衣の工夫はもちろんのこと独自の揚げ技法によりカラット感を実現しています」等と技法でも差別化も紹介していきます。 また、「なぜこの商品を作ったのか」等作り手の想いや開発背景を伝えることで、商品の魅力は高まっていきます。 提供する商品やサービスの価値を知らせていくことで、他店との違いが明確になり当店を選んでもらいやすくなります。
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5.値上げの理由を、丁寧に誠意を持って伝える
「値上げ」に消極的ながらも理解を示す場合と、反発をしてしまう場合があります。 反発を防ぐために、お客様に値上げせざるを得ない背景を丁寧に説明しましょう。ただ原材料が高騰したというだけではなく、今のままでは品質が保てない、よいサービスが提供できないこと等を正直に伝え、お客様に理解をしていただくことを目指します。 また、安易な値上げではなく、原材料の高騰の中ぎりぎり頑張ってきたけれど、仕入れ価格の値上がり率が激しく頑張りの限界でもあることを伝える事も大切です。ギリギリまで頑張ったという誠意ある姿勢を伝えることで、値上げの理解が深まります。 さらに、いきなりではなく前もってお知らせする事も大切です。長く支えてくれたお客様への感謝を述べ「お客様を大事にする姿勢」を示しつつ、ポスターやSNS、メニューの一言コメントなどで事前にお知らせしていきます。
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まとめ

原材料の高騰が続くので値上げしたいけれど顧客離れが心配でなかなか値上げできないという声をよく聞きます。顧客離れが起きない値上げのポイントは、付加価値を向上させて「少し高くなったけれどこのような価値があるなら納得だ」と感じる工夫をしていくことです。 ちょっとした見せ方や伝え方の工夫で、お客様の納得感や満足度は大きく変わります。 TOKYO創業ステーションTAMAでは、事業計画書作成の中で、値上げしても選ばれるお店づくりや付加価値を高める具体策等についても一緒に考えていきます。 価格設定も含めた事業計画書を一緒に作成していきましょう
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著者:金 順玉(きむ すのう)
TAMAプランコンサルタント
家業である飲食店等の経営において、売上促進や業態転換などの経営戦略に携わり、その後経営コンサルタントとして独立。延べ2000社以上の様々な業種の経営改善に携わるなかで、SNS等で情報発信する前に、お客様にとって魅力ある商品作りや演出が不可欠なことを数多く経験。そのため、売上アップに必要な「お客様が欲しい商品・サービスの開発や演出」支援を多く展開している。
何もないところからビジネスを起こす創業支援や、創業セミナー講師を多数経験し、初心者にわかりやすく伝えることに定評がある。中小企業診断士、消費生活アドバイザー。
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