「絶対に裏切らない美味しさ」を実現するために。
株式会社vision Y 代表取締役社長・シェフパティシエ 小倉優太様

「絶対に裏切らない美味しさ」を実現するために。
株式会社vision Y 代表取締役社長・シェフパティシエ 小倉優太様

事例紹介
事例集

笑顔でご対応頂いた株式会社vison Y代表取締役社長/シェフパティシエ 小倉優太様

これから起業をめざす皆様に向けて、TOKYO創業ステーションTAMAを利用して起業された方の体験談をお伝えする新連載を企画しました。
起業のきっかけ、ビジネス化への歩み、TOKYO創業ステーションTAMAの活用方法などについて詳しく掘り下げてまいりますので、ぜひ最後までお読みください。

第1回は、京王線つつじヶ丘駅近くにパティスリー(フランス語でケーキ屋さん)を開業した株式会社vison Y代表取締役社長/シェフパティシエ 小倉優太様です。

「絶対に裏切らない美味しさ」を
実現するために

本場パリのエスプリ(※1)を伝える

2023年6月30日。京王線つつじヶ丘駅北口から徒歩1分の閑静な商店街中央通りが100mを超える行列でにぎわいました。その日は「Pâtisserie YUTA ogura vision Y」の開店初日。オーナーの小倉優太さんは18歳で単身渡仏し、ルレ・デセール協会(※2)が認めるフランス最高峰のパティスリー本店で修行を積んできた注目の逸材です。一切宣伝を打たなかったにも関わらず、それから約1ヶ月間は、開店からわずか数時間でケーキが完売してしまうほど客足が途絶えなかったそうです。
「本場パリのエスプリを伝える」をコンセプトに、食材の9割をヨーロッパから取り寄せ、伝統的なレシピを遵守。あえて日本人の舌に合わせることはせず、酸っぱいものは酸っぱいまま、甘いものは甘いまま、旬の味覚を引き立てています。アート作品のように美しい色彩のケーキや、胸いっぱいに吸い込みたくなるほど香ばしい焼き菓子・パンは、開業前から苦楽を共にしてきた2人のパティシエと共に作っています。

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ヨーロッパから取り寄せた旬の食材で作る スタイリッシュなケーキの数々

※1 その場に応じて、しなやかに引き出される知性。機知に富んだ趣向や発想、精神。
※2 高品質な菓子づくりを目的として、世界屈指のパティシエ・ショコラティエが切磋琢磨している洋菓子職人協会。

働く人自身が心から楽しめる店舗経営を

また、商品・サービスだけではなく、接客スタイルもフランスそのもの。小倉さんは、どれだけ行列ができたとしても、目の前のお客様と1対1で心ゆくまで会話を楽しみます。厨房には心地よいBGMをかけて、作業の合間にエスプレッソを飲みながら、心身ともにリラックスしてお菓子づくりに励んでいます。それこそが究極の美味しさ、最高の接客につながるからです。

「つつじヶ丘は人通りが多すぎず、ゆったりとした雰囲気に包まれていて、この街ならお客様一人ひとりを丁寧にお迎えできると感じました。そこで、いくつかの物件を候補として絞り込み、朝から晩まで1週間張り込んで人の流れを徹底的に分析。その上で、厨房の坪数がもっとも広い物件に決めました」と小倉さんは話します。

作り手も売り手も心豊かに働ける健全な店舗経営を実現しよう。そう決意した小倉さんは、法人登記して透明性を高め、社会保険労務士や税理士などの顧問も入れて、「この業界ではあたりまえ」「避けて通れない道」などとして見過ごされがちな長時間労働・低賃金・厳しい上下関係などを良しとしない、ホワイトな労働環境の整備を進めています。それもまた、フランス飲食業界の「常識」なのです。

異業種とも積極的にコラボレーション

さらに、日本とフランス、どちらのパティスリーとしても「最先端」と言える同店の独自性が、異業種とのコラボレーションです。小倉さんは、お店を構えてお客様が来るのをただ待つのではなく、自分自身の視野を広げるため、店を飛び出して、障がい者の方々とお菓子づくり・販売を行ったり、動物愛護の啓発活動に取り組んだり、これまでの一般的な洋菓子店の枠をはるかに超えて、さまざまな挑戦を続けています。既成概念にとらわれず活動領域を広げていくことにより、さらに多様なお客様に喜ばれるケーキづくりができるからです。

開業1年目とは思えないほどマルチに、そして地に足をつけて活躍されている小倉さんですが、その根底には想像を絶する努力の末に書き上げた緻密な「事業計画書」がありました。

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フランスのパティスリーにならい、パン、紅茶などを取り揃え、ティータイムのコーディネートを提案

TOKYO創業ステーションTAMAで事業計画を練る

― TOKYO創業ステーションTAMAご利用のきっかけは?

これまでお伝えしてきたフランスのスタイルを貫くには、自己犠牲的な薄利多売からは脱却しなければなりません。自分なりに試算した創業資金の必要額は自己資金の10倍。日本政策金融公庫から融資を得るには「事業計画策定支援」の修了証があると有利だと知人から聞いて、TOKYO創業ステーションTAMAの存在を知りました。

― 利用してみて良かったと思うのは、どのような点ですか?

融資を受けた後の10年間、1日・1ヶ月・1年の間に、自分は何をどれだけ売っていけるのか。明確な根拠をもとに、細かく数字を書き出す方法を1から教えて頂けたことです。

僕は、パティシエとしては10年のキャリアがありますが、「経営者」としてはド素人です。融資の審査担当者にとって読みやすい計画書とはどのようなものか?信用を得るために必要なデータは何か?何ひとつ分かっていなかったんです。しかし、そんな僕にも先生が手取り足取り教えてくれて、「ここに来れば何でも無料で質問できるんだ!」と感動しました。

プランコンサルティングで指摘された課題は当日のうちに修正し、通いつめました。三日三晩、徹夜したこともありましたが、すごく褒めて下さるのでノリノリで作業できました(笑)。すべてアドバイス通りにして、丸1ヶ月かけて完成させました。当初わずか2枚だった事業計画書は最終的に40枚を超えました。

― 目標どおりの資金調達を実現できた決め手は?

店舗周辺の通行量や細かい経費にいたるまで一つ一つ数字の精度を高め、説得力のある販売計画を立てたことが大きかったと思います。プランコンサルティングを受けていなかったら、このような計画書は決して作成できませんでした。長年お付き合いのある食材や製菓機械の輸入企業様と協力関係にあることも高く評価していただきました。

事例集

制服に付けられている協力企業のワッペン

― 円高や食材の高騰など、これからもビジネス環境は厳しさを増していくと予想されますが、今後の目標を教えて頂けますか?

誰か一人ではなく、全員が士気をもって成長し続ける組織をめざします。中学校になじめず、ろくに学校へ行かなかった僕が、15歳でパティシエを志して以来、「ほかの誰よりも長く、お菓子に触れよう」と決めて貪欲に学び続けてこられたのは、無鉄砲な僕をいつも見守り、育ててくれた父や姉などの家族や仲間、そして先輩方がいたからです。販売スタッフを含めて全員が切磋琢磨できる環境づくりに努めて、数年以内には2店舗目を構え、将来かならず本場フランスにも店舗を構えたいと思っています。

味、接客、そして店舗経営のすべてにおいて、本場パリのエスプリを体現している小倉さん。確固たるビジョンと、決めたことをやり遂げる強い意志、そして何より周囲への深い感謝が、大きな夢の実現につながったと言えるでしょう。

店舗情報

店舗情報

Pâtisserie YUTA ogura vision Y
〒182-0006東京都調布市西つつじヶ丘
3-26-11 1F 日原ビル 1F
Web https://vision-y.com/ 
Instagram @patisserie.yutaogura

2023


著者写真著者:物語のアトリエ
安藤 陽子(あんどう ようこ)


フリーライターとしてビジネス・教育関連の記事を多数執筆。
2022年1月にTOKYO創業ステーションTAMA「プランコンサルティング事業計画書策定支援」を終了し、現在は文章コーチング・対話ワークショップ・出版事業なども展開。

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お越しいただける日を楽しみにしております。

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