気分上々!ECサイト上でもかんたんに似合うがわかるバーチャル試着を開発 株式会社Sally127 代表取締役 鳥巣彩乃様、CTO小野沢敦様

気分上々!
ECサイト上でもかんたんに似合うがわかるバーチャル試着を開発
株式会社Sally127 代表取締役
鳥巣彩乃様、CTO小野沢敦様

鳥巣彩乃様と小野沢敦様

CEO鳥巣彩乃様(写真右)と、
共同創業者でCTOの小野沢敦様(写真左)

TOKYO創業ステーションTAMAには、起業した後、事業をさらに成長させるために支援サービスを受けに訪れる方々も多数いらっしゃいます。
2017年12月に株式会社Sally127(ワンツーセブン)を創業した鳥巣彩乃様もその一人。創業6年目、サービスローンチの直前である2023年2月にTOKYO創業ステーションTAMAで実施したテストマーケティングが、その後のサービスブラッシュアップにつながったそうです。
そこで今回は、新進気鋭のファッションテック企業として活躍しているSally127の鳥巣様に、TOKYO創業ステーションTAMAの活用法を伺いました。

スマホで簡単に使える
「バーチャル試着室」を開発

実店舗の試着室のような
高揚感を提供したい

スマートフォンのブラウザ上でバーチャル試着ができる日本初のAR技術を開発した株式会社Sally127。ECサイトで気になる服を、スマホのカメラを使って合わせることができて、ECサイト上でも思いっきり、似合う服を探すことができるワクワク感を提供。今あるECサイトに試着ボタンを埋め込むだけで簡単に導入できるバーチャル試着システムは世界的にも類がなく、「様々な発見や成果が見られた」と、顧客企業からも喜びの声が。対応アイテムは幅広く、試着が大変な着物まで、大手企業を中心に様々なアパレル企業や繊維商社で導入が進んでいます。

サイト写真
サイト写真

紳士服のイメージが強い洋服の青山様は、
レディースアパレルにバーチャル試着を導入。
ECサイトを訪れる多くの方に利用されている。
青山商事様公式サイト

サイト写真
サイト写真

華やかな振袖が手軽に試せる
バーチャル試着として、話題に。
きものレンタリエ様公式サイト

この「バーチャル試着室」、驚くべきことにCTO(最高技術責任者)の小野沢さんが、ゼロから100%ひとりで開発をしています。14歳の頃から独学でゲームやグラフィックツールを開発してきた小野沢さんは、高校・大学でも情報技術を専攻し、システム開発に必要なスキルを全方位的に学び続けてきたフルスタック・エンジニア。鳥巣さんと2人で描いた完成イメージから逆算し、4年がかりでコツコツと作り上げてきました。当初から技術開発に時間がかかることを見越していたため、創業から4年間は会社員として働きながら、開発を行いました。
「できあがるまで何年かかるか、一切計算しないでスタートしました。結果的には4年目に世に出すことができましたが、リリースした後も『もっと、こうしたい』という点が毎日出てくるので、今なお更新し続けているんです」(小野沢さん)
「そうそう、つい先日は2着同時に試着できるようアップデートしてもらいました。なんとシャツのイン・アウトもできるんですよ。試着する時、魔法がかかったみたいにキラキラに包まれる演出も、ふたりで試行錯誤しながら、何パターンも作って辿り着いたものです」(鳥巣さん)

バーチャル試着室
バーチャル試着室
バーチャル試着室

「あれは結構苦労しましたね……。最初はなかなかイメージ通りのキラキラが作れなくて。鳥巣さんがすごいのは、どんなに難しいことでも妥協せずに進めること。弊社は“エンジニア&エンジニアでは無い”という組み合わせによって実現できたものだと思います」 (小野沢さん)
「お互い筋金入りのファッション好きなので、細部へのこだわりが人一倍強いんです。技術としてバーチャル試着ができるというだけでは、もの足りない。試着した時、いかに可愛く、カッコよく見えるか。気分が上がるか。私たちは、そこにこだわって開発を進めてきました。ファッションにはその力があるし、これからの時代は、それがECでも実現できることが業界への貢献だと考えているからです」(鳥巣さん)
ファッションに携わるすべて人たちに対する深いリスペクトと、業界全体に貢献していきたいという思いを情熱込めて語る2人。服を売る側と買う側、両方の課題解決ができるサービスを目指していると鳥巣さんは語ります。

TOKYO創業ステーション丸の内では
AR特許取得の支援も。

鳥巣彩乃様と小野沢敦様

鳥巣さんと小野沢さんがSally127を共同創業したのは、前職の株式会社リクルートに在籍していた2017年12月。それまでに新規事業開発の現場を幅広く経験してきたこともあり、ビジネスを立ち上げ成長させていく基本プロセスは熟知していました。それでもTOKYO創業ステーションの支援を受けようと考えたのは、特許の取得のため。高い技術を持っていることを証明するために、真っ先に取り組んだのが「AR特許」の取得でした。
「TOKYO創業ステーション丸の内(当時)で、知財アドバイザーの浅水忠男先生に専門相談を受けました。初回は単刀直入に『難しいと思う』と言われました。じゃあどうすれば取得できるか?、相談を重ねていったんです」(鳥巣さん)
小野沢さんによると、一般的なAR技術の場合、カメラに映した自分の画像に洋服の画像を上から重ねることしかできず、後ろ身ごろが手前に映し出されてしまうそうです。(写真①)

一般的なAR技術
写真①:一般的なAR技術で洋服の画像を
重ねた場合の見え方のイメージ
Sally127のAR技術
写真②:Sally127のAR技術で洋服の画像を
重ねた場合の見え方のイメージ

そこで小野沢さんは、洋服画像の後身ごろが試着する人の背面に来て、実際に洋服を着ている時と同じ前後関係が表示できるような発明を行いました。その独自性が評価され、申請から5ヶ月余りという異例のスピードで、2020年2月、無事にAR特許を取得することができました。
「実務経験豊富な浅水先生が、審査で指摘されそうなポイントを事前に厳しく洗い出して下さったおかげで、一発OKでした。網羅的な条文に整えて頂いたので、今後のビジネスにも大いに活用できそうです」(小野沢さん)
そして2人は、次なるステップとして2023年4月に東京ビックサイトで開催される「ファッションワールド東京/ファッションDX EXPO」への出展を計画。その事前練習として、同年2月にTOKYO創業ステーションTAMAのテストマーケティングを利用することにしました。

TOKYO創業ステーションTAMAでテストマーケティング

展示会でのブースデザインや
集客方法を熟考

「それまで家族や知人の感想しか聞いたことがなかったので、一般のお客様がバーチャル試着室を利用した時にどんな反応をされるか確かめておきたいと思いました。大型商業施設の中でテストマーケティングができるチャンスはそうそうありません。どうしたら人が立ち止まってくれるか検討する上で大変参考になりました」と、鳥巣さんは言います。
そのため、テストマーケティングでの出展では、今後の事業展開においてユーザーの期待やニーズに合わせた改善を模索すべく、まずは一人でも多くの人にバーチャル試着の楽しさを直接体験してもらうことを重視したそうです。
当日はドレスの試着体験を企画したことで多くの女性が足を止めてくれ、「なにこれ!?」「楽しい〜!」と大盛り上がり。2人はその一方で、①チラシが途中で切れると機会を逃す、②モニター画面が小さいとインパクトに欠ける、③もっと多くの人に足を止めてもらえるようブースの装飾はインパクト重視で……といったブラッシュアップポイントを発見。また来場してくださった方々に丁寧なヒアリングを行い、数十名から得られた様々な意見や感想を営業資料に活かしました。また、時々読み返して役立てているようです。
こうして臨んだ初めての展示会、4月のファッションDX EXPOでは、チラシを多めに用意し、大型モニターも購入、ブースは壁一面ピンクにするなど、テストマーケティングで発見したブラッシュアップポイントを活かした出展ができ、400社の企業に見ていただけたとのこと。その後は、大手企業からの引き合いやメディア取材が相次ぎ、急成長を遂げています。

好きなものに正直でいたい。
その衝動を抑えられないから。

開発から営業、事務作業まで主に2人であらゆる業務をこなす日々。鳥巣さんは、やりたいことの10%くらいしか実現できていないと未来を見つめます。
「ファッションの喜びに上限はありません。ファッションからもらえる力をオンラインの世界でも実現していきたい。そう思うと、まだまだやりたいことがあります。」 「これからも様々な困難に直面すると思いますが、起業したことを後悔したことは一度もありません。好きなものに正直に、情熱を使える人でありたい。その衝動を抑えることはできません」(鳥巣さん)
一見、小野沢さんだけが開発で鳥巣さんがそれ以外全般を担っているように見えるのですが、ふたりの業務分担は厳密に分けられてはいません。営業も開発もふたりで行い、お互いの気づきをプロダクトや経営に反映させていく。絶妙なパートナーシップでファッション業界の未来を明るく楽しく照らす2人に、大きな期待が寄せられています。

鳥巣彩乃様と小野沢敦様

どんなときも自分らしさを尊重してくれた
周囲への感謝を語る2人

店舗情報

店舗情報

株式会社Sally127
Web https://sally127.co.jp

2023


著者写真著者:物語のアトリエ
安藤 陽子(あんどう ようこ)


フリーライターとしてビジネス・教育関連の記事を多数執筆。
2022年1月にTOKYO創業ステーションTAMA「プランコンサルティング事業計画書策定支援」を終了し、現在は文章コーチング・対話ワークショップ・出版事業なども展開。

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