「有名」では飽き足らない旅好きの若者とニッチな温泉・宿をつなぐ新世代の旅行サービス株式会社たびふぁん代表取締役 西岡貴史様
「有名」では飽き足らない旅好きの若者と
ニッチな温泉・宿をつなぐ新世代の旅行サービス
株式会社たびふぁん代表取締役 西岡貴史様
TOKYO創業ステーションTAMAは、社会人のみならず起業を志す現役の学生も多数利用しています。2021年2月、大学在学中に株式会社たびふぁんを設立した西岡貴史様もその一人です。夢を実現するために大手旅行会社の内定を辞退してまで起業した想いと、これまでとこれからの「TOKYO創業ステーションTAMAの活用法」について伺いました。
目次
- 「旅のロングテール®︎」を実現し、業界の常識を変革したい
- マスメディアでは取り上げられない
9割の温泉地に光を - 祖母から教わった「旅の哲学」を
世に広めるために。 - 在学中からTOKYO創業ステーションTAMAを活用
- TAMA起業ゼミの壁打ちで
事業をブラッシュアップ - 人口減少が加速する今、
旅行サービスが果たすべき使命とは - 会社情報
- 著者略歴
- 創業・開業の相談はこちら
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「旅のロングテール®︎」を実現し、業界の常識を変革したい
マスメディアでは取り上げられない
9割の温泉地に光を
マスメディアが取り上げやすい華やかなランドマークや賑わいはなくても、旅を楽しめる魅力的な地域が日本全国にはたくさんある 。その「知られざる観光地」に光を当てたいと、大学在学中に株式会社たびふぁんを起業した西岡貴史さん。最初の一歩として、老若男女を問わず「日本のキラーコンテンツ」である“温泉”から取り組んでいます。「有名」あるいは「定番」では飽き足らず新しい旅を求める若い世代に、ニッチな温泉や宿の情報をレコメンドするサービスを提供しています。
「コンセプトは『旅のロングテール®︎』。ゴールデンルートなどのボリュームゾーンだけではなく、ニッチな旅の領域や地域にファンを作るために様々な事業を行っています。たびふぁんでは、業界のスタンダードである資本力のある大規模な観光地や宿泊施設から手数料を得て収益を上げるのではなく、個人または小規模で細々と営んでいる温泉や宿泊施設を、その土地の自然、歴史、文化が醸し出す雰囲気と共にご紹介しています。現在、サブスクをはじめとした課金プランの制度設計中なのですが、良質な旅の情報を厳選してご提供する有料のファンコミュニティをめざしています」(西岡さん)
温泉botくんのユーザー数は約1.1万人。65%は10代から20代の若者です。1万人以上のユーザーがいることからも一定のニーズを確認できたと西岡さん。「国内旅行のきっかけは半数以上が受動的な理由で、とくに若者にその傾向が強いという調査結果もあります。そのため、さりげなく背中を押して上げるサービスが重要です」と、西岡さんは話します。
祖母から教わった「旅の哲学」を
世に広めるために。
じつは、西岡さんに「旅」の意義を教えてくれたのは、熊本から横浜へ移住したお祖母様だったそうです。西岡さんのお祖母様は、都会で暮らし始めた当時のカルチャーショックを、ことあるごとに西岡さんに語って聞かせてくれました。そして、「日本には首都圏とはまったく特色の違う地域も存在する」という事実を伝えたいと、孫である西岡さんを日本各地へ旅行に誘い、その土地その土地の風土を体感させてくれたと言います。
お祖母様との旅を原点に生粋の「たびふぁん」として育った西岡さんが「旅のロングテール®︎」というビジネスモデルを考案する直接のきっかけとなったのが、秋田県仙北市にある乳頭温泉郷でした。
「いわゆる温泉街ではないんです。温泉の周囲には、本当に何もありません。『何も』とは、つまり城跡とか博物館とかランチスポットとか……そういう分かりやすい観光スポットはないという意味です。でも、何もない地域にこそ、『旅』の楽しみがあるはずだと強く感じました。だから、そういう旅を提案する仕事をしようと思ったんです」(西岡さん)
ただ、西岡さんは最初から起業しようと考えていたわけではありません。当初は、大手旅行会社でその夢を実現しようと考えていました。しかし、新型コロナウイルスが猛威を振るい、各社とも採用を大幅に縮小。予想以上に厳しい就職活動を強いられたそうです。
「そのような中で大手旅行会社から内定を頂いたのですが、『こんな旅のビジネスモデルを作ってみたい』と希望を語ると、『うちの会社では難しいよ』と。さらに追い討ちをかけるように、別の人からも『起業なんて出来るはずがない』と冷や水を浴びせられてしまいました。それなら自分でやるしかないと思い、起業することにしました」(西岡さん)
まずは創業資金をつくるため、卒業直前から数々のビジネスコンテストに出場。熱い想いを伝えて受賞を重ね、2021年2月、大学在学中に株式会社たびふぁんを設立しました。
在学中から
TOKYO創業ステーションTAMA
を活用
TAMA起業ゼミの壁打ちで
事業をブラッシュアップ
西岡さんはその後、TOKYO創業ステーションTAMAで学生向けに実施されている「TAMA起業ゼミ」に1期生として参加。起業直後で、新規開拓のため全国各地の宿泊施設に営業をかけなければならない時期でしたが、コロナ禍で対面営業が許されず苦戦を強いられる中、壁打ち主体のTAMA起業ゼミでプレゼンの精度を高めることができたと言います。
事業計画書については、創業メンバーである飯塚友也さんと共にTOKYO創業ステーションTAMAのプランコンサルティングでブラッシュアップ。銀行からの資金調達も実現しました。
創業メンバーで温泉botくんの企画運営を担当している飯塚友也さんは、「初回相談で持ち込んだ事業計画は、開業当初から売り上げが立っている前提で作成したものでした。プランコンサルティングの先生は銀行のご出身でもあり、融資を行う金融機関側の視点を様々教えて頂きました。プランコンサルティングの場であらゆるリスクを想定し、現実味のある販売計画を立てることができたと思います」と振り返ります。
人口減少が加速する今、
旅行サービスが果たすべき使命とは
2023年5月に新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行し、ようやく外出制限がなくなったことで、事業を加速させるべく精力的に新規開拓に挑む西岡さんと飯塚さん。ユーザー登録3万人達成をめざすとともに、自治体や企業との連携も深めていく方針です。
「旅行サービスの業界は昭和の時代からビジネスモデルがほぼ変わっていない『レガシー産業』です。なぜ、わざわざ新しいことを始めなければならないのか。古くから同じスタイルで営業してこられた事業者、観光協会、自治体の方々に『たびふぁん』の価値を理解していただくには、時間をかけてじっくりと伝えていかなければなりません。日本は、気候・自然・食・文化と観光振興に必要な4つの要素に富んでいる国でもありポテンシャルが高いです。また、人口減少が著しく進む現代社会においては、観光は地域活性化の切り札でもあります。業界の常識を変革するイノベーションを起こす上で、20代でスタートを切れたことは大きな強みだと思っています。今後はさらに業界を超えて連携をはかりながら、温泉以外のローカル・ニッチな旅に関連する様々な分野へ展開していき『旅のロングテール®︎』実現に向けて動いていきたいと思っています」(西岡さん)
会社情報
株式会社たびふぁん
〒158-0083東京都港区赤坂4-8-19
赤坂フロントタウン3F
Web https://tabifun.jp
2023
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