わたしの創業ものがたり
合同会社HARMONY TALISMAN

合同会社HARMONY TALISMAN

COMPANY INFORMATION

合同会社HARMONY TALISMAN

代表者名/河辺 亮輔
東京都台東区東上野2-10-12 東上野2丁目ビル1階
外国人と日本人児童を対象とした保育事業
2014年10月創業
http://harmony-jp.org/ja/




—保育園における教育理念、カリキュラムにはどのような特徴がありますか?


HARMONY PRESCHOOL INTERNATIONAL という名前には、さまざまな国籍や文化的な背景を持つ子供たちがここで学び育ち、調和した世界を作ってほしい……という願いが込められています。そのためにも当園では独自に開発した「Global Sensitive Curriculum(グローバル感性育成カリキュラム)」を実践し、「たくましい・たのしめる・たくみな」子供への成長をお手伝いしています。


まず、園内での言語は基本的に英語をメインとしています。さらに外遊びや自然に触れる機会を多く作り、さまざまな経験を通して子供の多様な感性を育むことを目指しています。また、月1回の「プレゼンテーションデー」というイベントの開催も大きな特徴のひとつです。ここでは毎回テーマとなる国を決め、その国の文化、自然などをさまざまに紹介することで、楽しみながらグローバルな感性を身につけて欲しいと考えています。


―インターナショナルな保育園を設立される背景には、どのようなご経験があったのでしょうか?


大学時代は教育系の学部に所属し、専門である音楽の教員資格も取得しました。その当時、得意とするピアノで児童養護施設のボランティアに関わり、人に貢献する素晴らしさを知ったのがそもそもの始まりです。その後は青年海外協力隊の隊員としてアフリカのジンバブエに赴任、現地の方々の温かさに触れた事で、帰国後は大学院で学んだ後、国際協力を専門とするNPOに携わる事になりました。


その後もさまざまな活動に関わる中、大きな転機となったのが、日本在住のネパール人から要請を受けて専用の学校を作った事です。やがて日本人の子供たちも加わり、ごく自然に異文化に溶け込む様子を目にしました。幼い頃から国際感覚を身につける子供の柔軟性に、いつしか国籍を限定せず、世界で活躍する人材育成の場を作れたら……。そんな思いが芽生えるようになりました。


―創業までのプロセスを教えてください。また開園後は、どのようなご苦労がありましたか?


非営利、助成金に頼る形でなく、ビジネスとして確立したい、という思いが強くあって創業を決意しました。外国籍の友人と起業・出資し、さらに信用金庫、財団、NPO法人の連携によるソーシャルビジネス向けの融資を受けることができました。


保育園の設立経験があったため開園手続きは問題なかったものの、秋に創業を決意して園児募集を始めたのが1月と通常より遅く、開園時に集まったのは7 ~ 8人と最初は大きな赤字でのスタートでした。それでも口コミによって園児は少しずつ増え、2年目は25人と採算ラインに近づいてきました。とはいえ当初は送迎バスの運転をしたり、食事の準備もするなど、自分で何でもこなす日々を無我夢中で送っていました。


―「創業助成事業」を知ったきっかけや、その用途・成果について教えてください。


実はNPO時代の数年前に公社のセミナーを受講し、それ以来メールマガジンを愛読していました。そこで助成金の存在を知り、園の運営に何とか見通しがついた2年目に申込みを決意しました。


当時の人員は常勤スタッフ2名と私、数名の非常勤スタッフで、何とかやり繰りしていた状況です。そのため新規雇用の人件費に予算を使える事が大変ありがたく、増え続ける園児への対応にも余裕を持てるようになったのは大きな成果でした。


―多国籍な保護者や従業員とのコミュニケーションで意識される事とは?


現在、外国人の園児は近隣コミュニティの関係もあってインド人が多く、日本人の園児とは約半分ずつの割合です。10名弱のスタッフも日本、インド、エジプト、フィリピンなど出自はさまざまで、考え方や価値観が違うのは当然のことです。そこで、たとえ意見が異なっても考えを押し付けず、どうやって折り合いをつけるかをまず考えるようにしています。また月1回のプレゼンテーションデーでは保護者にも自国の歌やダンスを披露したり、手作りの料理を持ち寄っていただく事もあり、保護者も巻き込んだ園の運営を心がけています。


こうした様子が他園と比べてユニークに見えるのか、日本人の保護者からは「自由でのびのびしている」との声をいただく事も多いです。そんな中で、幼いころから国籍に関係なく“地球人”として成長する子供を日々見守るこの仕事には大きなやりがいを感じています。


―今後、運営面ではどのような課題がありますか?


創業時の授業料は、以前に関わったNPOのネパール人学校を参考にしたのですが、実は少し低く設定しすぎたことも1年目に大きな赤字を抱えた原因でした。現在は少し値上げし、園児も増えたため赤字は免れていますが、外国人の居住は流動的なケースも多く、急な帰国などで収支が安定しない事には難しさも感じています。


また現在は敷地面積の関係で園児の定員は約30人に限られ、入園を希望される全ての方をお受けできない状況にもなっているため、近隣にいい物件があれば、いずれは移転なども視野に入れる必要があると考えています。


―ご自身の経験を振り返って、これから起業を考えている方へメッセージをお願いいたします。


私自身、起業前に「そんな事業がうまくいくのか」といった批判を受けた事もありました。けれど、人の意見に左右されるばかりでは何も進みません。もちろん大変な事、迷う事もありますが、「どうにかなる」と楽観的に構え、とにかく自分が率先して動く事が大切ではないでしょうか。



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