わたしの創業ものがたり
株式会社 トキノカンパニー 編
COMPANY INFORMATION
株式会社 トキノカンパニー
東京都杉並区天沼3-6-1 3F
サイクリングジムとショップをマッチングした専門型フィットネスクラブを運営。2017年2月設立。
https://www.tokino-company.co.jp
代表取締役/時野谷 光弘
大学卒業後、大手フィットネスクラブに入社。インストラクターや海外勤務などを経て、プログラム作成、エリア統括ディレクター、マーケティング部門などを経験。24年在籍した後に起業。
-きっかけ-
24年の経験を活かしもう一段高いステージへ
起業を決めたのは、大手の総合スポーツジムに24年間在籍して会得したマーケットの知識や運営のノウハウ、そして築いた人脈という「私の価値」をもっと活かしたいと考えたからです。裏を返せば、この業界で生き残っていくことがどれほど難しいものなのかも知っていたわけです。会員数と採算分岐点の関係や、創業初期から返済原資を捻出するのがいかに困難なことなのかを知っていたので、融資に頼らず創業しました。
私が選んだのは、大きな初期投資が必要で競争が激しい総合スポーツクラブではなく、サイクリングに特化した専門型のスポーツジムとして大手との差別化を図る道でした。これなら低コストで始められます。
実は、インドアサイクリングによる有酸素運動をアメリカから初めて持ち込んだのは私で、その大きな効果と将来性は熟知していました。当ジムのインドアサイクリングは、体力に応じて各自で負荷を設定するグループエクササイズなので、従来の地道で退屈な有酸素運動をみんなでカッコ良く楽しめるのです。
-準備-
助成金は人材採用と広告宣伝の原資に
事業で大切なのは、人材、資金、価値の3つです。スポーツジムはサービス業なので、ホスピタリティ豊かな人材を育成することが必須。まずは、インストラクターの研修に力を注ぎました。また、安定した会員数を維持していくためには地域に根差す必要があります。
そこで、SNSやHPなどのネット媒体を利用した広告宣伝よりも、近隣へのチラシのポスティングと通勤時間帯に絞った駅前でのティッシュ配りに重点を置きました。QRコード掲載のティッシュを100個配ってダメなら200個、それでもダメなら300個、とにかく毎朝やりました。「絶対に諦めない」と決めていましたから。
そして「化学反応」が起きたのです。ティッシュをもらった会社勤めのお父さんはその情報を奥さんや娘さんに伝えます。すると当ジムの存在を知った主婦や若い女性の体験入会がジリジリと増え始め、さらに地元の主婦に口コミで広がり、会員数は立ち上げ当初の約4倍になりました。
創業助成金は人材採用と広告宣伝に利用させていただき、余裕をもって長期的な戦略を立てることができました。いま「フィットネスと自転車のマッチング」の可能性をさらに高めるための経営革新計画を策定中です。これからも、東京都中小企業振興公社には支援やアドバイスをいただきたいと思っています。
-展望-
価値を創造し高めていくのがベンチャー企業
『トキノサイクリング』の価値は、ジムと自転車の販売をマッチングさせたことが源泉になっています。会員の皆さんは、スポーツジムで楽しく汗を流すだけではなく、仲間とのアウトドアサイクリングという目標を持つことができるのです。既存のジム運営は集客・サービス・アフターフォローの3つの段階で形成されています。それに自転車の販売を入れるとツアーやイベント、パーソナルトレーニングなど新たなステージでのビジネスチャンスを創出できます。スポーツサイクルがコミュニティを作りやすいという特性を活用するのです。これが価値を連鎖させるバリューチェーンです。
今後は、ターゲットを絞った小規模ジムの多店舗化を推進していく予定ですし、ジムとショップをそれぞれ独立させたスタイルの店舗展開も視野に入れています。ちなみに、私のライフワークとなっている早朝のティッシュ配りは今後も続けていくつもりです。
努力の価値こそが自分の価値。そこに自信が生まれ可能性を無限大にしてくれます。
創業を目指す方へ~応援メッセージ~
小さな1歩の積み重ねが大きな前進のきっかけに
事業とは新しい仕組みを作り続けていくこと。未知の領域に挑むわけですから、立ちはだかる試練が続いて当然です。でも、苦しいとき、「なぜ、この夢を追うのか」と原点を振り返れば必ず乗り越えられます。工夫次第で障壁なんて低くなるはず。小さな一歩を積み重ね、諦めないことです。
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