わたしの創業ものがたり
アヤキッチン合同会社 編

kodomo-chouri

アヤキッチンが提供する「もぐもぐ子ども調理室」は幼児から小学生を対象とした料理教室。「楽しく料理を学ぶ中で成長し、大切な人を笑顔にする喜びを知ったり、感性を磨いたりする場所になれば」という思いからスタート。最近ではママ向けに離乳食講座を開いたり、学童保育などで出張お料理教室を提供したりも。高いリピーター率に支えられ、順調に事業が拡大しています。

COMPANY INFORMATION

アヤキッチン合同会社
東京都小金井市本町5-36-15
「子どもと料理」をテーマにしたキッチンスタジオ
2015年7月創業
http://kodomo-chouri.com/



代表/潮田 彩(うしおだ あや)
調理師・日本料理専門調理師調理技能士。東京ステーションホテルをはじめとした調理現場での経験、調理師専門学校での教員および教務主任経験を経て、2015年「もぐもぐ子ども調理室」を起ち上げる。子どもたちが理解しやすいよう工夫し、かつ保護者が安心して子どもを任せられる指導とカリキュラム構成を実施。女児2児の母。




「子どもが主役」のキッチンスタジオ


潮田

創業のきっかけは、調理師専門学校で教員をしているときに、出産や子育てを経験したことでした。料理は味覚、想像すること、工夫すること、段取り、コミュニケーションなど、さまざまな力を育ててくれます。「子どものうちから調理を通して豊かな経験を積み、成長していける料理教室を作れたら」と、子育てをするなかで夢がふくらんでいきました。


夢がかなった今、キッチンスタジオで幼児から小学校6年生まで、大勢の子どもたちが生き生きと成長していく様子を目の当たりにしています。楽しみながら「できた」という達成感が味わえて、自信がはぐくまれる。そのうえ、自分で作ったものを皆とおいしく食べられる。これは料理教室ならではの醍醐味です。


 私たちが心がけているのは「子どもを主役にすること」です。「お手伝い」ではなく、子ども自身が責任をもって関わる。その意識が集中力や成長につながります。その意識付けのために、いろいろと工夫しています。たとえば、子ども用エプロンではなく、本物と同じ素材のコックコートとコック帽を身につけるのもその一つです。着替えると不思議なほど、小さな子でも気持ちが切り替わります。


アヤキッチン合同会社
アヤキッチン合同会社
アヤキッチン合同会社

保育園のママ友が意気投合
二人三脚で事業をスタート


潮田

ただ、最初はスタジオを借りる資金もなければ、助成金や融資を受けようにも必要な事業計画の書き方もわかりませんでした。そこでまず小金井市商工会の創業支援窓口に行き、中小企業診断士の方に相談し始めました。


毎回、事業計画書を書いていって見てもらうのですが、真っ赤に添削されてしまい、なかなかOKがもらえません。行き詰まっていたときに、たまたま子どもの保育園で仲良しだった酒井に何の気なしに相談し、「酒井さんみたいな人と一緒にできたら」とつぶやいたら、数日後、「一緒にやろう」と。うれしい反面、「えっ、いいの?」とびっくりしました。


酒井

楽しそうな仕事だなあと思ったのです(笑)。もちろん、それだけではなく、この事業には確実にニーズがあり、将来性があると判断しました。


また、私自身、ちょうど「新しいことに挑戦して成長したい」という思いが募っていた頃でした。そこで思い切って10年勤めた会社を辞めました。


結果的によかったと思うのは、二人の得意分野を生かし合えたことです。潮田はグランドデザインや理想を描くのが得意で、調理師や教職の経験にもとづく確かな技術力と指導力を備えています。一方の私は会社員時代の経験から、事業計画をはじめとしたプランニングや数字の計算に強い。この点は今、事業がうまく回っている要因の一つだと思います。



創業助成事業のメリットとは?


潮田

まずスタジオを構えるためにも資金調達を成功させなくてはなりませんでした。そこで、創業助成事業に申請しました。


酒井

申請書類には、事業計画について細かく具体的に記入しなくてはなりません。大変でしたが、おかげでしっかりとした事業計画を立てることができました。中小企業診断士の方をはじめ、専門家の力を借りながら練り上げていくなかでビジネスプランがより明確に、実現可能なものになっていったからです。


潮田

正直、書類の中には「ここまで書く必要があるのかな」と思うものもあったのですが、実際に事業をスタートさせると、その必要性がよくわかりました。申請書に記入を求められた内容は、起業前には気づきにくい大事なポイントも押さえていました。



助成金の使い道は?


潮田

キッチンスタジオの家賃、人件費、備品購入、それから広告費ですね。


酒井

特にWebを使った広報には力を入れています。今の時代、子どもに習い事をさせたいと思ったら、親は必ずインターネットで検索するものです。ですから、私たちの理念や料理教室の写真、参加者の声などを載せて、安心してもらえるホームページ作りにこだわりました。


潮田

生きているかぎり、人は毎日、食事を作ったり、大切な人とテーブルを囲んだりするものです。食事は人生の楽しみの半分と言ってもいいかもしれません。「もぐもぐ子ども調理室」では、日々、そのきっかけを作っていると考えています。



創業を目指す方へ~応援メッセージ~

とにかく事前にできるだけしっかりした事業計画を作っておくことが大切です。事業計画は羅針盤のようなもの。事業がスタートしてからも方向性を示してくれる頼もしい存在です。助成金の申請にチャレンジするのは、私たちの例でもわかるように確かに大変ですが、事業計画を明確かつ緻密なものにできるという大きなメリットがあります。私たちは今もたびたび見直して、自分たちがぶれていないか、予想以上の収益を出せているかなど、立ち位置を見直し、修正するのに役立てています。また、採択されれば、それ自体が信用材料となり、金融機関から融資も受けやすくなります。


自分たちでできることには限りがありますから、臆さずにコンサルタントなど専門家の力を借りることも大切です。手痛い指摘をされたりもしますが、大きく前進できます。そして起業の最大のコツはあきらめないでやり抜くこと。頑張ってください!

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