わたしの創業ものがたり
cotobox 株式会社 編

cotobox

自分たちの商品やサービスに付けた商標は、特許庁に登録しないと他人にそっくり使われて泣き寝入りになることも。ただ登録の手続きは難しく、弁理士や特許事務所への依頼は高額です。そこで弁理士の五味さんが始めたのは、オンラインですばやく、しかもお手頃価格で依頼できる商標登録サービス。利用者を増やし、設備投資に邁進する現在までを振り返ってもらいました。

COMPANY INFORMATION

cotobox 株式会社
東京都港区三田3-1-23 メザキビル3F
オンライン商標登録サービス
2016年2月創業
https://cotobox.com/



代表取締役CEO/五味 和泰(ごみ かずやす)
10年間、弁理士として知財実務に従事。米国のロースクールにて“リーガルテック”について学び、現在に至る。日本弁理士会、日本商標協会に所属。




IT技術で知的財産をもっと身近に
もっと手軽に守れるように


法律や法務の世界はいまだにペーパー社会で、登録の申請や契約手続きは難解で専門家に頼まないと困難です。時間もお金もかかるので、近年はIT技術を使って法律関連の事務作業を効率化する「リーガルテック」というサービスが注目されています。


私は10年間弁理士として働いていましたが、世の中にはビジネスを起ち上げたり、サービスを生み出しているのに、知的財産権を利用しない人、知的財産に関心さえ持たない人が少なくないのが現状でした。しかし、リーガルテックを利用すれば手軽に出願でき、知的財産権が認められればトラブルも回避できます。これは社会的な意義があるのでは、と考えて創業しようと思いました。



PCから簡単に商標登録の出願依頼
すばやく、安価で品質は万全


現在はオンラインで特許庁に商標登録を出願するサービスを行っています。特許庁からデータを仕入れており、まずは依頼の前に、その商標が過去に登録されていないか無料でチェックできます。そして、出願の申込みは画面に沿って項目に情報を入力していくと、慣れていない人でも簡単に出願書類が完成できるようになっています。ちなみに当社ではAI技術を使って、ユーザーが入力した情報を行政審査用の言葉に変換して、ユーザーに提案する機能も備えています。


こうして依頼が完了すると、あとは提携している弁理士がチェックをし、最短1日で出願となります。一般的な弁理士や特許事務所であればレスポンスに丸1、2日かかるところを、当社はリアルタイム感覚ですばやく対応します。業務を自動化して人件費を削減しているため、費用もずっと安いです。それでも最終段階を弁理士に任せているので、出願 書類の質が落ちることはありません


出願後の状況はオンラインで把握でき、弁理士とはすべてメッセージ機能でのやり取りなので、一貫して手間は掛かりません。目指しているのは、ユーザーが負担やストレスを感じないで出願、登録できるシステムの実現です。



助成金に留まらないサポート


創業前にTOKYO起業塾に参加しました。学んだことはもちろんですが、当時はひとりで人生のターニングポイントに立っている感覚でしたので、同じ境遇 の参加者同士で話ができた点がよかったです。その仲間たちに創業者を数人紹介していただいて、自分の考えているサービスについて意見を聞かせてもらいました。中には起ち上げてから実際にサービスを利用していただいた方もいて、ずいぶん助けていただきました。


創業助成事業は起業塾で知って申し込みました。事業が軌道に乗って売上や利益が立つまでというのは、資金のやり繰りのハードルが高くてつらいですからね。助成金はウェブサイトの作成に活用しましたが、実際のやり繰りはもちろん精神的にもラクでした。


それに、採択されたことが大きなアピールポイントになり、日本政策金融公庫の融資も決まりました。助成金だけではないサポートとなって、本当にありがたかったです。



PCが苦手でもアクセスできるように


創業して2年半、システム開発に予想以上に資金と時間がかかり、課題は多い状況です。利用者は増えていますが、もっと改良を進めるために先行投資をしてい ます。


現在スタッフは10人ですが、優秀な人材を見つけるのにひと苦労です。ただ、私のように創業したばかりの身にとって、人材に限らず有益な情報を得られるネットワークもあると知りました。


今後は、あまりオンラインを活用していない中小企業や個人もアクセスできる形を作りたい。とくに地方に多いですが、そういう方たちのブランドを守り、当社 のサービスも広がります。また、グローバル化が進んでいるので、海外での商標登録手続ができるサービスも提供したいと思います。


大変なこともありますが、初めて商標登録した方の喜びの声が届くと創業してよかったと感じています。



創業を目指す方へ~応援メッセージ~

私の場合、単に創業するだけなら弁理士として事務所を起ち上げるのが、リスクも少なく確実だったと思います。でも、新しい事業へのチャレンジは夢を見られる良さがあり、試行錯誤しながら進んできています。


創業を目指している方の多くは、単なる金儲けではなく「これを実現したい」と願っていると思うので、なによりその思いを強くもつことを土台にしてください。実際に事業の運営は大変で、創業しても残る会社はごくわずかと言われます。でも、それでは夢がないですよね。頭に描いているものをすぐ形にできなくても、当初の思いを胸に着実にやっていけば、1年でも2年でも長く運営することができるのでは。


なにかと状況は厳しいですから、公的なサポートの利用はぜひお勧めします。資金の助成や創業にまつわるセミナーや相談などは必ず助けになるので、生存確率が上がります(笑)。なにかの折に、自分の夢が実現しつつある手応えを感じると、やはり創業してよかったと思える充実感があります。

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