わたしの創業ものがたり
エスケープハントジャパン株式会社 編
COMPANY INFORMATION
エスケープハントジャパン株式会社
代表者名/山田 敦子
東京都台東区浅草1−10−5 KN 浅草ビル6F
リアル体験型脱出ゲームの運営事業
2015年1月創業
https://www.invitejapan.com/
—最近日本でもブームとなっている脱出ゲーム事業を、ご自身で始めようと思った経緯を教えてください。
父の転勤に伴って10数年前から家族が住んでいるタイを訪れた際、初めて脱出ゲームを体験しました。閉じ込められた空間で、仲間達と知恵を絞って謎を解いていき、制限時間内に脱出を試みる、という内容で、脱出した際には非常に達成感を得ました。
そこで、これは娯楽としてだけでなく、企業のチームビルディングとしても使えるのでは?と感じ、日本に帰ってからいろいろとリサーチをして、可能性を検討してみたところ、事業として成り立つ見通しが立ちました。元々ベンチャー支援活動などをしていたことや、他にこの事業をやりそうな人もいなかったことから、創業しようと決断しました。
—脱出ゲームが、日本でもヒットすると確信した最大のポイントはなんでしょうか?
ヒットするというか、必要だなと感じました。大人が都市で楽しめる文化というと、映画、ダンスホール、ボウリングときて、カラオケ以降、新しいものが出てきていません。大人が仕事帰りに知的に楽しめる文化として、カラオケの次に来るものがこれじゃないかと思いました。
さらに、子どもも一緒に楽しめて、お年寄りの脳トレにも役立ちます。今はネット上に多くの情報が溢れていますが、自分から能動的に頭を使ったり、体を動かしたりする機会はそう多くはありません。でもここでは、まず手を動かし、ヒントを探り当てた上で、知恵を絞らないと脱出することはできません。きちんと仮説を立てて、それに基づいて行動し、答えを導くというゲームを通して得た成功体験を、日常生活に戻ってからも仕事やプライベートで生かしていただければと思っています。
—たとえばテーマパークなどにある既存の脱出ゲームとの違いはなんでしょうか?
昨今の日本における脱出ゲームは、ものすごくマニア度が進んでいます。ある遊園地では、脱出率1%と謎解きの内容もどんどん難解になっています。しかも、週末は大行列状態で、2時間待ってやっと入っても、たった10分で途中失格となり終わってしまいます。
一方、私たちが目指しているのは、気軽に楽しみ、成功体験を持って帰れる空間の提供です。当社の施設は、内装にもかなりお金をかけて、凝った造りになっておりますので、マニアの方でも初めての方でも十分に楽しんでいただけると思います。
左:制限時間60分内に解決して座る椅子は達成感の証
右:スリルな脱出ゲームを挑戦したチームの数々のショット!
—海外からの観光客も多いそうですが、日本人と外国人のお客様の割合、また利用目的としてビジネス目的:エンターテイメント目的、それぞれの比率を教えてください。
海外からの観光客に限らず、外国人のお客様が全体の6 〜7割を占めています。目的別では、ビジネスとエンターテイメントは半々くらいなのでバランス的には良いですが、こちらもチームビルディングなどに利用されるお客様の6 〜7割は、外国企業の日本オフィスの方々となっています。今後は日本人のお客様もより一層増やしていきたいと思っています。
—今後の課題としては、どんなことがありますか?
お客様からは「大阪や福岡などにも作ってほしい」とか、「一度に遊べる人数を増やしてほしい」といったご意見をいただいておりますので、全国各地にもっと規模の大きい店舗を展開していきたいと思います。
現在は30人同時プレーが最大ですが、企業の施設などを会場にした出張サービスでは、40 〜60人規模で行なっています。これまでで最も大規模なものとして は、ホテルの1階と3階の宴会場を使った1200人同時プレーという、非常に大規模なものもあります。
—今回、「創業助成事業」に申請されたきっかけと、助成を受けてみて良かったことを教えてください。
大田区の制度融資を利用した際にお世話になった信用金庫さんのベンチャー支援チームからアドバイスをいただいて申請いたしました。世間的にとても珍しい事業内容で、大きな資本が付いているわけでもありませんので、何より“公的機関のお墨付き”が欲しいと思いました。
会社を経営していく上で、やはり信用は一番大事ですから。助成をいただけることになって、「怪しいものではありません。公社の助成事業です」と、胸を張って言えることが、心の大きな支えになっています。
—では最後に、これから創業を考えている方々へメッセージをお願いします。
私は、人間はある程度のキャパがないと失敗もできない、逆に言えば、自分で処理できる大きさの失敗しかしないものだと思っています。そう考えると、その人にとっての大きな失敗も、広い世の中から見ると大した失敗でもないかもしれません。
だから、失敗を恐れて動けないでいる人には、「対処方法を考えながらも、やってみないことには何も始まらない。まずは、一歩踏み出してみることが大事」と、言うようにしています。物事を経験するとキャパも広がって、次のステージも見えてきます。
私もこれまでに、さまざまな仕事で成功や失敗をしてきましたが、それらすべてが今に生かされているので、やってみて無駄な経験はないと感じています。
エスケープハントジャパン株式会社の利用サービス
・創業助成金