わたしの創業ものがたり 
レストラン ラヴァンドール 編

レストラン ラヴァンドール

レストランに行けば、食べるものをメニューから選ぶのが当たり前。フレンチレストラン・ラヴァンドールでは、そんな常識を取っ払い、旬の食材と言葉のやり取り、そして確かな技術で、お客様それぞれが食べたい料理を作ります。早くも地元の人たちが足を運んでいるわけは、オーナーシェフ・金澤さんの思いと気構えが実を結んでいるからです。

COMPANY INFORMATION

ラヴァンドール
東京都港区白金台4-8-14 プラティーヌB 棟1F
オーダーメニューによるフランス料理店
2018年8月開業
https://ravindor.jp/



オーナーシェフ/金澤 勇介(かなざわ ゆうすけ)
「神楽坂ラリアンス」で鈴木剛志シェフに師事。2009年に渡仏し、複数の星付きレストランで腕を磨き、帰国後「ケンゾーエステート六本木」の料理長を務め、現在に至る。




お客様が食べたい料理を、フレンチの技術でおいしく作る


ぼくはいろいろなフランス料理店で働きながら、いつか自分の店を持ちたいとイメージをブラッシュアップしてきました。決定的だったのが、世界中を飛び回っ て美味しいものを味わってきたお客様に、ある日突然「オムライスが食べたい」と言われたんです。作ってみると思いのほか気に入ってくださり、次に来店したときは「エビフライが食べたい」と。昔を思い出していたのか、少年のような様子で喜んで下さいました。


店が提供する料理から選ぶのではなく、お客様が食べたいものを注文して、それを作る。ぼくは「これだ!」と思いました。突き詰めれば鮨屋のスタイル。それをフレンチをベースに実現させようと、店を起ち上げました。



食材をすべて披露して、会話の中でオーダーを受ける


店にメニューはありません。ぼくは正直な料理を作りたい。お客様に食材も作っているところも見せた上で食べてもらいたいんです。


まず、直感で仕入れた旬の食材をカウンター越しに見せて、ひとつずつ名前や産地、場合によっては育て方などの背景も説明して、好きなもの、気になったものを選んでもらいます。そしてフランクに話をしながら、その食材をどうやって食べたいかを聞き出していく。実際にはお任せと言われることが7割ですが、食事の途中で「帆立はやっぱり生で食べたい」といった言葉も出てくるんです。メニューがあったほうがラクですが、冒険しているみたいで楽しいですよ。


オープンから3カ月時点でお客様のほとんどはこの白金地区で暮らす地元の人たち。店を長く続けるには、地元に親しまれて根付くのが大切です。オープン前は毎日工事に立ち会い、道行く人に声を掛けられた時は自己紹介をして、地元ならではのお話を聞きました。街について無知だったので、参考になる話ばかりでした。


実は初めの1ヵ月は外部にいっさい宣伝せず、地元の人に知ってもらおう、食べに来てもらうおうと心がけました。何度も足を運んでくれる人たちがいて、応援してもらっていると感じます。



プランコンサルティングで導かれながら、自分で作り上げたビジネスプランが原点


以前シェフとして店の起ち上げに携わった経験が今回の独立に役に立ちました。料理以外でお店のオープンに必要な事務手続きや準備について考えられたからです。ただ資金や税金など不安な面があり、プランコンサルティングを利用しました。


ぼくが相談したプランコンサルタントは、すべてについて問いかけをして方向性を導いてくれるので、自分でいろいろ考えながら良い計画書が作れました。難しい点をあいまいにしたまま後回しにしようとすると、「ここは力が入っていない感じですけど、大事ですよ」と先生の注意を受ける(笑)。でも、「どんな問題でも必ず自分の中に答えがあるので、それを探って下さい」と言われて、電車の中でずっと考えると本当に答えが見つかるんです。


融資の申込で信用金庫にその計画書を持っていくと、自分で作ったのかと聞かれて、「こういう計画書は見たことがない。一例として保管させて」と褒めてもらいました。自分自身がブレそうになったとき、いまでも見返しています。



ずっとこの土地に残っていたい


店はお子さん連れも歓迎していて、「グラタンを食べたい」と言われたら、オマールエビなどきちんとした材料でフランス料理として作り、大人と同じ高価なお皿でお出しします。もしお子さんがお皿を落として料理が台無しになってしまっても、それも大事な経験です。この店が食育の場になればいいと考えていますが、お子さんの純粋な質問に、逆にぼくが学ぶことも多いんですよ。


これからはやり方次第ですが、まず客層を広げること。そして、ゆくゆくはケータリングでも食を提供したり、週末にこの店を若手の才能ある料理人に開放し て、疑似店舗として経験を積んでもらうプランも考えています。最終的にはこの白金地区で長く親しまれ、人の記憶に残るような店でありたいです。



創業を目指す方へ~応援メッセージ~

店舗、なかでも飲食店のオープンの場合、はじめのうちは料理にまつわることばかりを進めてしまいがちだけれど、裏方のやるべき細かなことがあとからどんどんやってきます。でも、オープン間近はとても忙しくて大変だから、裏方仕事はできることからなるべく先に早めに片づけるといいですね。


あとは良いことも悪いことも、必要なものは全部お客様が教えてくれます。起業にあたってはあまり不安を抱え過ぎず、お客様の声を聞きながら進んでいってください。


店を作る、会社を作るとなると、そこが中心になって時間も気持ちもすべて注いで、必然的に生活が予期しないほど大きく変わります。例えば家族とか、大切なものまでおろそかにしても仕方ないと思ってしまう。ただ、プランコンサルタントによれば、「仕方ない」は言い訳できっと答えはあるんです。ある程度の時間は新しい仕事から頭を切り離せるよう、うまくコントロールできる方法を身に付けるとか。起業しようと決意するときには気づかず、考えないことなので、事前に生活が変わっても大丈夫なように土台を作っておくのが一番です。

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プランコンサルティング