わたしの創業ものがたり 
株式会社 chibito 編

chibito

子育てをしていると「こんなグッズがあったら楽なのに」「実用的だけど、ちょっとデザインが…」といった場面によく出くわすもの。育児グッズブランドchibito はそうした“ 生活者”自身の視点に注目、子育て中のママ・パパに商品の企画段階から参加してもらい、そのリアルな生の声を生かすというユニークな手法でヒット商品を生み出し、注目を集めています。

COMPANY INFORMATION

株式会社 chibito
東京都中央区銀座5-6-12 bizcube7F
参加型育児グッズブランド事業
2016年12月設立
https://www.www.chibito.jp



代表取締役/阿部 裕子
コピーライター/プランナー。妊娠中に携わった「日本の母子手帳を変えようプロジェクト(博報堂生活総合研究所)」を通して生活者とのコミュニケーションによるものづくりに興味を持つ。産後の2012年、育児課題を取り上げてプロジェクト化し、子育て中の生活者参加型で商品やサービスを開発するブランドchibitoを立ち上げる。2016年12月に株式会社chibitoを創業。




子育て経験とキャリアをかけ合わせて生まれた新しいスタイルのビジネス

chibito では「子育てが楽しくラクになるようなグッズで育児をサポートしたい」という思いから、企画段階から一般のママやパパに参加してもらい、商品開発をしています。


子どもはかわいいけれど、なかなか思うようにはならない相棒です。機嫌も体調もコロコロと変わります。だから子育て中は、相棒の調子や周囲に気を配り、いつも時間に追われて生活します。それに加え、保活などの現代ならではのストレスにもさらされています。そんな状況を少しでも改善し、子どもと過ごす時間を楽しめるような商品を提供していきたい。それには育児当事者の「こんなものがあれば」「こういうことで困っている」といった声に耳を傾け、それを解決する商品を開発するのが一番だと感じています。


私自身、子どもが生まれて保育園に通うようになってから、まず困ったのが雨の日の送迎でした。都心部の保育園は自宅からの距離がどんなにあってもクルマでの送迎が禁止され、雨でも自転車で通う方が少なくありません。でもレインウェア一つとっても、いろいろな市販品があるものの、使ってみると風でめくれる、足もとが濡れる、デザインが今ひとつなど、十分満足できるものには出会えませんでした。


実際に使う人が本当に欲しいもの、喜ぶものをつくるにはどうしたらいいのだろう? そう考えて思い至ったのが、以前、コピーライターとして勤めていた時に携わった「日本の母子手帳を変えよう」(博報堂生活総研)というプロジェクトで培った方法でした。SNSなどを通じて一般の方から意見をとり入れ、編集しながら形にしていったのです。これがとても面白く、また実際によいものが出来上がることもわかりました。


そこで子育て中の方に集まってもらう企画会議やインターネットでのやりとりを重ねて生まれたのが、今、主力商品になっているママの通園レインポンチョ、そして子ども乗せ自転車用レイン&ウィンドカバーです。どちらも好評を博し、NHKの朝の情報番組や雑誌にも取り上げていただいています。


株式会社 chibito

プランコンサルティングで目の前が開けた

会社を辞めて創業したのは2016年12月です。その少し前から東京都中小企業振興公社が運営する「TOKYO起業塾」に週末、通い始めました。ビジネスモデルや資金計画を学んだことが、「会社員」から「創業者」へ意識が切り替わっていくきっかけになったと思います。chibito は製造もおこなうので、初期費用はかなり必要だったのですが、融資に対して「借金を背負う」という否定的なイメージがありました。しかし講師の「融資は企業の信用力の証だよ」という言葉で、「申し込んでみよう」と決断できたのです。


プランコンサルティングは、起業塾の受講直後に受け始めました。そこから事業が一気に動き出し、目の前が開けていった気がします。行くたびに、具体的に融資や助成金についてアドバイスをいただきチャレンジできました。販売計画や資金繰り表は、複数でチェックいただけるなど手厚いです。必要に応じてその場で労務士や融資担当者にもつないでいただいたこともあります。


ピンチをチャンスに変え、前進していく

創業すると予想外の壁にも直面します。たとえばchibito は「課題ありき」で商品を開発するため、商品によって工場が変わります。毎回、その商品に合った工場を探して契約するのですが、現実は厳しいものでした。やっと希望に合う工場を見つけても、経営実績のなさから取引を断られてしまうのです。最終的に製造工場と契約するまでに半年、そこから製品が出来上がるまでに半年かかりました。その間、もちろん売上はありません。


chibito では現在、育児サービス・グッズ関連のマーケティングサービス事業も展開していますが、この商品のない空白期間を乗りこえるため、プランナーとしてのキャリアを活かして事業の柱をもう1つ生み出そうとしたのがきっかけです。3期目に入り、やっと体制も整ってきたので、今後は製造面を強化し、自社販売に加えて卸事業も拡大していきたいと思っています。マーケティング事業も、スキルや人脈を生かし、商品開発から販売促進、広告戦略まで幅広く効果的に展開するお手伝いをしていきます。


株式会社 chibito

中小企業向けに提供するマーケティングサービス

ひとこと
株式会社 chibito

「普通の主婦だって起業できるはず!」と、TOKYO創業ステーションの扉を開けました。


創業を目指す方へ~応援メッセージ~

思い描くプランを書き出すことから始めてみてください!

今、特に東京都は創業しやすい環境が整ってきていると思います。2017年にスタートした「TOKYO創業ステーション」や創業助成だけでなく、区などの各自治体も創業支援に力を入れて補助金やビジコン、中小企業診断士によるサポートなどを提供しています。こうした状況を上手に生かすには、常にアンテナを張っていろいろな情報をキャッチすることが大切だと思います。SNSの活用や興味があるメルマガへの登録、起業を目指す人の交流会への参加もおすすめです。


女性は結婚、出産、育児といった変化に影響されやすく、「もう仕事を辞めよう」と思ったり、自分では続けたくても社内的な状況が厳しかったりすることもあると思います。でも、そうした一見ピンチの時こそ、新たに自分らしい仕事の仕方を創造するチャンスだとも言えます。子育てしながら起業したり、複数の友人で子どもを預かり合いながらプロジェクトを進めたりしているケースもあります。自分や自分のやり方を変えていくことで、状況は乗り越えていける。そう信じて、あきらめずに夢をかなえてください。


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