わたしの創業ものがたり
メッケル合同会社 編

メッケル合同会社

ハイセンスな店や人が集まり、いつも賑やかな街・自由が丘。その喧噪から離れた街角に、「Eckepunkt(エッケプンクト)」という名の店があります。ここがアトリエを兼ねた、デザイナー2人の物づくりと発信の場。店内に入ると幸せな気持ちで満ち足りて、店に通う人も多いよう。その裏には、創業にあたってしっかり現実を見つめて計画を何度も考え直したそうです。

COMPANY INFORMATION

メッケル合同会社
東京都世田谷区奥沢7-13-13
作家物の工芸品を扱う店舗経営と独自ブランド製造販売
2017年4月 創業
https://meckelu.co.jp/



代表社員/業務執行社員/渡部 由香(わたなべ ゆか)
業務執行社員/熊田 孝洋(くまだ たかひろ)

多彩なアパレルブランドの企画デザイナー職に従事するかたわら、副業として布小物作家として活動した渡部。アイウエアやWEBのデザインなどを担当し独立した熊田。2人が互いの得意分野を生かして創業。




経験、実績、環境を手にした際、創業のタイミングと自然に意識


渡部

自由が丘と九品仏の間にある一軒家で、「エッケプンクト」という作家の手工芸品を扱う店を営んでいます。以前、熊田が友人2人と始めた店で、私が副業で作り始めたぬいぐるみ等も取り扱ってくれました。その後、友人たちから店を引き継いで、加えて熊田と私で「TANSU」という服をはじめとしたブランドを起ち上げて、いまに至ります。


こうした年月の中で経験や実績を積み重ねて、現在、店舗も製造ノウハウも得て、楽しみにしてくださるお客様もいます。自然と、この先の商品やサービスの提供のためにしっかりとした基盤を作るタイミングだと感じて、創業することにしました。小売店の経営、プロダクトブランドの展開、クライアントのデザイン受注の3つの事業で成り立つ会社です。



味わいのある長く愛用したくなるオーダー服でムダのない物づくり


熊田

小売、プロダクト、デザインのすべてに共通しているのが「ここにしかないもの」というテーマです。店ではお客様が楽しくなるような、少々ユーモアのある商品をセレクトしながら、2週間ずつ月2回、作家の個展や企画展を催しています。プロダクトブランドの小物やバッグは製作してあるものを販売していますが、服はお客様に合わせてオーダーメイドです。


渡部

その一番の理由は着心地の良い服を作りたいことと、必要としてくださる分のみを大切にお届けしたいためです。


世の中、物が沢山あふれているので、ムダな物づくりは避けたいと考えています。長く愛用していただけるよう、機屋さんと相談して作った生地をていねいに仕立てています。細い和紙の糸を織り込んだ生地や、綿花から紡ぎ出した天然スラブ糸の生地は、時が経つほどに使う人に合わせて味わい深く変化していきます。そして、お買い上げ後も無償でのケアに取り組み、長く楽しんでいただける工夫を提案しています。お客様から「本当に着心地がいいね」と言葉をいただけると心からうれしいです。



助成金で資金に余裕が!技術アップに先行投資


渡部

私は少しでも不安や疑問に思うことがあれば、納得できるまで調べたり相談したりする性格です。創業前から世田谷区産業振興公社の創業相談を中心に、さまざまな窓口やセミナーを利用して、銀行や税理士事務所にも相談しました。


助成事業のことは世田谷区の相談窓口で紹介されました。区の相談窓口の方に、「売り上げ予測が高すぎる」「法人は止めた方がいい」などご指摘やアドバイスをいただき、何度も数字と向き合い計画書を作り直しました。それをもとに創業助成事業の申請書を作成し、採択されました。できるかぎり数値計画を練り直したかいがあり、初年度からほぼ事業計画通りに推移していて、好調に進んでいるのがうれしいですし、今後の自分の自信となりました。


熊田

助成金は、店舗の賃料とホームページ作成で使い、普段の経費から浮いた資金を自分たちのスキルアップに使いたいと考えています。ホームページは完成し、スマホからのアクセス数もかなりアップしたのでとてもよかったです。今後は、革工芸の教室に通ったり、縫製を習ったり、以前から希望していた技術力強化の実現を図りたいと思います。


渡部

創業助成事業は、中間払の利用も可能で、柔軟に利用できる点が助かります。



工房を構えて生産体制を整える


渡部

この先はお客様の要望に寄り添い、服を作る体制を強化したいと考えています。店舗の近くに工房を構えて、数名スタッフを増員することが理想です。その先の一歩は、その時見えてきた課題を含めて、時代背景を考慮しながら目標を定めたいと思います。


熊田

会社としてはスモールビジネスを目指しています。現在、やりたいことを実践できている状況なので、より高いレベルで納得できるものを作ることを追求したいと思います。まずは自分たちのレベルアップを目指します。




創業を目指す方へ~応援メッセージ~

渡部

創業するということだけを目的にするのではなくて、創業したあとの未来が一番大事かなと思います。そこまで視野にいれてがんばってほしいです。未来を見れば、そこで自分にどんなことが求められているのか、自分にはどういったことができるのかを見つめていけば、自ずと目標やいま自分ができることが見えてくると思います。そうして、人それぞれの事業計画を何度も何度も見直してみることをおすすめします。


もし、不安や疑問が湧いてきたら、東京都中小企業振興公社をはじめ、創業の相談に乗ってくれる窓口はたくさんあるので、そこで何でも相談するのがベストです。自分で気づかないことが見えたり、新たな発見やひらめきがあるかもしれません。当社は熊田より私の方が細かい事務作業が得意なので私が担当しました。それぞれの得意分野で分担できることは共同創業の強みでもあります。会社として創業したことで、大手百貨店などの企業と取引しやすくなり、外からの目も自分たちの意識も変わりました。計画もできて具体的に踏み込んでさらに先が見えるようになり、いまはもっと楽しいです。

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