事業計画書作成には不可欠な視点!~ジョブ理論・ペルソナ設定・カスタマーインタビューとは?~

事業計画書作成には不可欠な視点!
~ジョブ理論・ペルソナ設定・カスタマーインタビューとは?~

お客様

はじめに

事業計画書を作成する上で最も重要な視点は、「顧客イメージが鮮明であるか?」だと思います。顧客を深く理解することが、解像度の高いビジネスモデルを構築するための鍵となります。 多くの起業家は、仮説検証を怠り、漠然としたターゲット像、「20代から50代のビジネスマン」などを設定し、闇雲にプロモーションを展開し、あらゆるネットワークを活用して、力ずくで営業をしようとします。しかし、そうしたザックリとしたターゲット像では誰の心にも響かず、顧客を創造することはできません。 当たり前のことですが、ビジネスの端緒は「顧客」です。顧客を無視して商品やサービスを提供しても、たまたま売れることはあっても、継続的に成長していく可能性は高まらないでしょう。 顧客をどのように分析すべきかが重要な鍵となります。最近のスタートアップ関連の書籍でも、この点にフォーカスしたものが多くあります。まずは、孫子の兵法のように「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」ということわざの通り、顧客を深く理解し、自社の強みを把握することが必要となります。以下にそのための手法について紹介しています。

ジョブ理論とは?

ジョブ理論は、ハーバード・ビジネス・スクール教授のクリントン・M・クリステンセン氏著書である「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」で紹介される理論です。 この理論は、顧客が製品やサービスを利用する理由を理解することによって、製品やサービスの改善につなげる考え方です。
顧客のジョブは、①機能的なジョブ、②社会的なジョブ、③感情的なジョブの3つに分類されます。起業家は、自分が提供する製品やサービスが、どのようなジョブ(仕事)を果たし、どのような問題を解決するのかを明確に理解する必要があります。これにより、製品やサービスの設計やマーケティングにおいて、より効果的なアプローチを見出すことができます。また、ジョブ理論は、市場参入する際にも役立ち、ビジネスモデルの設計にも応用できます。ジョブ理論は、起業家にとって非常に重要な考え方です。
ジョブ理論を活用する際には、以下の手順が役立ちます。

  • ア.顧客のジョブを理解する


    顧客が抱えるジョブを理解するために、顧客インタビューやアンケート調査、顧客の行動観察などを行います。顧客が何のために製品やサービスを利用するのか、どのような問題を解決したいのか、どのようなタスクをこなしたいのかを深く掘り下げます。
  • イ.ジョブを分類する


    顧客が抱えるジョブを、機能的なジョブ、社会的なジョブ、感情的なジョブの3つの要素に分類します。これにより、製品やサービスが果たすべき役割や目的を明確にすることができます。
  • ウ.ジョブを優先順位付けする


    顧客が抱えるジョブを優先順位付けすることで、どのジョブに焦点を当てて製品やサービスを改善するか、新しい製品やサービスを開発するかを決定することができます。
  • エ.製品やサービスをジョブに合わせて設計する


    ジョブ理論を活用することで、製品やサービスをジョブに合わせて設計することができます。具体的には、製品やサービスが果たすべき機能や性能、ユーザーエクスペリエンス(UX:顧客体験)などを決定します。
  • オ.製品やサービスのマーケティングに活用する


    ジョブ理論を活用することで、顧客が望むジョブ(仕事)を果たすことができるような製品やサービスを提供することができます。また、製品やサービスが果たすべきジョブに焦点を当てたマーケティング戦略を展開することができます。

ミルクシェイクの事例

ミルクシェイクの例

従来型のアンケート詞査を実施!
・フレーバー(味)
・粘度
・量
・パッケージなど

アンケート結果を忠実に反映した
商品改良
思ったほど商品が売れなかった!
なぜ? ? ? ? ? ? ? ?

  • クレイトン・M・クリステンセン氏は、ジョブ理論の説明に、ミルクシェイクの事例を使用している。
  • ミルクシェイクが買われた理由は、運転中に済ませたい最適な食事というジョブを解決するためであった。
  • ミルクシェイクが買われた理由の要因は、運転中に手軽に食ぺられる、全部飲み終わるのに時間がかかり、腹持ちがよいという点であった。
  • ミルクシェイク以外の候補は、バナナ、ドーナツ、ベーグルがあったが、バナナはすぐ食べ終わってしまい、ドーナツやベーグルは手やハンドル、車内が汚れるという理由から、ミルクシェイクが選ばれた。
  • ミルクシェイクから学ぶことは、製品の価値は利用シーンや目的によって異なり、また、製品が他の競合製品と比較して優れている場合、その製品の価値は高くなる
  • 利用シーンに価値が表れることは、ミルクシェイクの本当の価値が、店頭で観察したり購入者にインタビューしたことで明らかになったことを示す。
  • 価値は比較優位であることは、バナナ、ドーナツ、ベーグルと比較して、ミルクシェイクが最も適していたことを示す。

ペルソナ設定とは?

起業準備をする際に、ペルソナ設定は非常に重要なプロセスです。ペルソナとは、あなたの商品やサービスを利用する想定顧客を具体的に設定し、その人たちのニーズや欲求を理解することです。ペルソナを設定することで、誰に対して何を提供するかを明確にし、マーケティング戦略を効果的に構築することができます。

例えば、スポーツ用品のECサイトを立ち上げる場合、ターゲットは20代から30代の男性です。スポーツに熱心な人やフィットネスを趣味にしている人を想定します。そして、機能性に優れた商品を提供し、InstagramやYouTubeなどのSNSを活用したマーケティングが有効であると考えられます。一方、40代から50代の女性をターゲットにする場合は、健康維持や美容に関心がある人を想定することができます。ファッション性にも配慮した商品や、雑誌やテレビCMなどの伝統的な広告手法も有効でしょう。

ペルソナ設定は、顧客のニーズを正確に把握し、それに合わせたマーケティング戦略を構築することにつながります。起業家にとっては、ペルソナ設定が必要不可欠なプロセスであり、時間と労力をかけて行うことが重要です。ペルソナを設定する際には、年齢、性別、趣味、ライフスタイル、所得などの属性を考慮し、その人たちがどのような商品を必要としているか、どのようなメッセージが効果的か、どのようなプロモーションをすべきかを決定することが重要です。これらの情報を基に、顧客のニーズに合わせた商品やサービスを提供し、マーケティング戦略を効果的に構築することができます。

ペルソナ設定(例示)

ペルソナ設定(例示)
田山 太郎(28歳、独身)

  • 出身:
    東京都立川市
  • 大学:
    東京アントレシップ大学
    経営学部卒業
  • 職業:
    IT企業システム開発業務
  • 服装:
    私服(ストリート系ファッション) 、仕事服(スーツ)
  • SNS:
    LINE、Instagram、Twitter、YouTube
  • ニュース情報:
    LINENEWS、Yahoo!ニュース
  • 休日の過ごし方:
    キャンプ、旅行(国内外)、バスケット
  • 好きな食べ物:
    寿司、ラーメン、焼き肉
  • 今ハマってる事:
    英会話の勉強
  • 将来の夢:
    海外勤務を希望していて、グローバル人材を目指す

カスタマーインタビューとは?

カスタマーインタビューとは、起業家が顧客のニーズを正確に理解するために行う重要な手段です。起業家はまずターゲット顧客を決定し、顧客の属性やニーズを明確にする必要があります。そして、顧客にアプローチするための方法を選択します。電話、メール、オンラインアンケート、直接面接など、いくつかの方法がありますが、インタビューの質を高めるためには、直接面接が効果的です。 カスタマーインタビューを行う際には、起業家が自分のアイデアや仮説に偏らないようにすることが重要です。自分のアイデアや仮説が間違っている可能性もあるため、客観的に受け止めることが必要です。また、開放的な質問をし、顧客のニーズや課題を正確に理解するようにしましょう。顧客の反応や表情にも注目し、言葉だけでなく、表情やジェスチャーからも顧客の気持ちを読み取ることができます。最後に、顧客に感謝の気持ちを示すことが大切です。 起業家がカスタマーインタビューを実施することで、自社サービスや製品のアイデアを実現可能なものに変えることができます。カスタマーインタビューを実施する際には、起業家がインタビュー対象者を選定し、インタビューの質問項目を準備することが重要です。また、同じターゲット層でも、ニーズや要望が異なる場合があるため、複数のインタビューを実施することが望ましいです。 インタビューはフレキシブルな対応が可能であり、相手の様子を見ながら質問を変えたり、ピンポイントで対象ユーザーを依頼したりすることができるため、より正確な定性的なデータを得ることができます。基本姿勢は「傾聴」であり、相手に気持ちよく話してもらうことが大切です。

カスタマーインタビューを実践しよう!

カスタマーインタビュー

カスタマーマニアを目指そう!

  • 顧客を顧客以上に知ることを「カスタマーマニア」と呼ぶ。
  • 企業は、事実に基づく顧客データを収集することが重要である。
  • 「隠れた事実」を見つけ出すことで、より良い洞察力を得ることができる。
  • ニーズ調査、仮説生成、仮説検証、製品開発の各段階でインタビューを行うことができる。
  • アンケートだけでは知りたい情報を得ることができないこともあるため、顧客インタビューが必要。
  • 基本姿勢は「傾聴」である。相手に気持ちよく話してもらうことが大切である。

まとめ

起業家が成功するためには、顧客のニーズを深く理解し、それに合わせた製品やサービスを提供することが重要です。そのためには、ジョブ理論を活用して顧客が抱えるジョブを理解し、製品やサービスをジョブに合わせて設計することが必要です。また、ペルソナ設定を行うことで、顧客像を具体的にイメージすることができ、より効果的なマーケティング戦略を展開することができます。 そして、カスタマーインタビューを行うことで、顧客が抱える問題やニーズを深く理解することができます。カスタマーインタビューは、起業家が成功するために非常に重要なスキルであり、継続的に行うことが必要です。 これらの手法を組み合わせて、起業家は顧客のニーズを深く理解し、それに合わせた製品やサービスを提供することができます。その結果、競合他社と差別化し、市場での成功を収めることができるでしょう。 TOKYO創業ステーションTAMAでは、無料でテストマーケティングのサポートを行っております。このような公的機関のサポートを活用することで、費用を掛けずに事業の仮説検証に取り組んでいただければ幸いです。

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「製品やサービスが売れなかったらどうしよう」「量産したいけど在庫を抱えるリスクが怖い」「自分のターゲット層は本当にあっているか不安」などとお考えの方は多いのではないでしょうか?テストマーケティングとは、製品、サービスの販売前に顧客インタビューやアンケートを通して仮説検証を行うことで、顧客の反応や意見を元に製品・サービスの改善改良を行うことです。
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マーケティングは顧客を特定し、ターゲット市場を絞り込むための基礎となります。起業家は、自身の製品やサービスがどのような顧客にとって価値を提供するのかを明確にする必要があります。顧客のニーズや要求を把握し、それに応じた戦略を策定することが重要です。

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著者:TOKYO創業ステーションTAMA 運営責任者 山本康博
食品メーカーの法人営業、コンビニ大手のマーチャンダイザー(MD)、営業コンサルタント等を経て東京都中小企業振興公社にて、主に新規事業立ち上げ業務や販路開拓支援(国内及び海外)、タイ・バンコク駐在員(2年間)、創業・スタートアップ支援に従事。中小企業診断士。

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