20代で起業、資金調達する場合の注意点

20代で起業、資金調達する場合の注意点

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20代で起業、資金調達する場合の注意点

20代で起業する場合、まず自己資金をしっかり確保することが重要です。しかし、資金が不足する場合は、金融機関からの借入や(公財)東京都中小企業振興公社と東京信用保証協会との提携保証制度「スピリッツ」(以下、「スピリッツ」という)を活用するといった選択肢もあります。本記事では、資金調達までの基本的な流れや、若い起業家が陥りがちな注意点・誤解について、わかりやすく解説します。

20代起業と資金調達の基本

20代で起業を志すとき、資金調達の計画をしっかり立てることが成功への第一歩です。若い世代にとって資金面は大きなハードルになりがちですが、あらかじめ資金の流れを把握し準備を整えれば乗り越えられる可能性がグッと上がります。まず事業に必要な資金額を見積もり、自己資金で不足する分をどのように調達するか検討することになります。20代は貯蓄や実績が少ないケースも多いですが、金融機関の融資制度や起業支援制度を活用することで資金調達は可能です。

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20代起業の資金調達には自己資金の確保が不可欠

創業時に投入できる自己資金の有無は、資金調達の成否を大きく左右します。日本政策金融公庫などでは必要資金の3割〜半分程度の自己資金があることが望ましいとされています。若い起業家にとってまとまった貯蓄を用意するのは簡単ではありませんが、自己資金を持っていることは「お金を管理できる力」の証明となり、金融機関からの信用評価にもつながります。そのため、起業を決意したら仕事やアルバイトの収入を計画的に貯蓄に回し、起業資金の土台を築きましょう。

20代起業で資金調達する主な方法と選択肢

20代起業で資金調達する主な方法と選択肢

資金調達の方法にはいくつかの種類があります。例えば銀行からの融資、投資家からの出資、クラウドファンディング、親族からの借入など様々な資金調達方法が存在します。それぞれにメリット・デメリットがありますが、本記事では特に利用者の多い金融機関からの借入(融資)を中心に解説し、その他の方法についても基本的なポイントを紹介します。

20代起業で資金調達するなら日本政策金融公庫を活用

20代の起業家にとって、利用しやすい融資制度の一つが日本政策金融公庫(政府系金融機関)の創業融資です。政府系のため新規開業を積極的に支援しており、審査のポイントを押さえれば若い世代でも利用しやすいのが特徴です。利率が低く、無担保・無保証人で借りられることが多いなど、起業家にとって「王道」の資金調達方法と言われます。実際に融資を申し込む際には事業計画書の提出や担当者との面談が必要です。経験や自己資金が乏しい20代でも、計画の内容次第で融資は十分に可能です。「実績がないのに融資は通りますか?」という問いに対しては、過去の類似した経験や計画でカバーできる例もあります。まずは日本政策金融公庫の窓口やウェブサイトで条件を確認し、準備を進めてみましょう。

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※日本政策金融公庫の上記融資の内容は、以下のリンクをご確認下さい。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/02_zyoseikigyouka_m.html

20代起業の資金調達を支援する保証制度「スピリッツ」

銀行など民間金融機関から融資を受ける際には、信用保証協会の保証を付けることで借りやすくする方法があります。その一例が、(公財)東京都中小企業振興公社(以下、「公社」という)と東京信用保証協会(以下、「信用保証協会」という)が提供する創業者向け提携保証制度「スピリッツ」です。この制度では、TOKYO創業ステーションの起業支援事業を利用して一定の要件に該当した起業家(プランコンサルティング終了証の発行を受けた方、創業助成事業の書類審査を通過した方)が公社からの推薦を受けることで、信用保証協会の保証を得られます。スピリッツを利用すると原則無担保で最大3,500万円までの融資枠が設定され、自己資金が不足する場合の強力な後押しとなるでしょう。保証人も代表者以外は不要で、融資期間も最長10年と長期にわたります。

ただ、信用保証協会による審査は行われ、また、保証付き融資だからといって返済義務がなくなるわけではありません。借りすぎには十分注意し、返済できる範囲内で賢く活用しましょう。

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創業者向け提携保証制度「スピリッツ」のご紹介
最大3,500万円まで原則無担保で利用可能な「プランコンサルティング」終了書発行者を 対象にした制度のご紹介です。※審査がございます。

20代起業の資金調達:融資以外の選択肢と注意点

融資以外にも、起業家が利用できる資金調達手段はいくつかあります。それぞれ特有の注意点があるため確認しておきましょう。

  • 家族・知人からの借入: 身近な人から資金を借りる方法です。融資のような厳しい審査は不要ですが、金銭トラブルにならないよう契約書を交わすなどの配慮が必要です。借入金を返せない事態になると、人間関係に深刻な影響を及ぼす可能性もあります。
  • 投資(エンジェル投資家・VC): ビジネスに共感した投資家に株式を渡して出資を受ける方法です。借入と異なり返済義務はありませんが、その分経営権の一部を手放すことになり、高い成長や利益を投資家から求められます。ごく一部の有望なスタートアップを除き、20代の創業当初から多額の出資を受けるケースは多くない点も認識しておきましょう。
  • クラウドファンディング: インターネット上で多数の支援者から資金を募る方法です。支援者集めと同時に製品やサービスの宣伝効果も期待できますが、目標額を達成するには魅力的なプロジェクト内容やプレゼン力が求められます。また、リターンの設計や発信の継続など一定のマーケティング力が必要となります。
  • 補助金・助成金: 国や自治体による創業支援の助成制度・補助金も存在します。代表的なものに「創業助成金」「小規模事業者持続化補助金」などがあります。ただし、申請タイミングが年に数回しかなかったり、採択率に限りがあったり、申請書の作成に時間がかかる点には注意が必要です。また、補助金・助成金は、融資とは異なり、後払いとなります。例えば、公社の創業助成金の場合、6カ月ごとに助成対象経費に関して実績報告の確認書類を提出し、公社の検査を経て、助成金の確定・支払となります。資金のつなぎに工夫が必要です。

20代の資金調達で陥りやすい誤解・注意点

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「若いから融資は通らない」と思い込まない

たしかに、20代での起業は社会的な実績が少なく、金融機関の審査を不安に感じる方も多いです。しかし、若さ自体がマイナスになるわけではなく、事業計画の内容・熱意・準備の丁寧さによっては十分に評価されます。特に「日本政策金融公庫」や「スピリッツ」など創業者向け制度は、初めての起業でも挑戦しやすい環境が整っており、年齢だけで諦める必要はありません。

「事業計画書は難しいもの」と思い込まない

事業計画書は、収支計画だけでなく、「なぜこの事業を始めるのか」「どのような想いがあるのか」「どうやって利益を出すか」などを明確に言語化するものです。作り方に不安がある場合は、専門機関(TOKYO創業ステーションTAMA等)の支援を受けながら作成することで、しっかりとした内容に仕上げることができます。

「返済できるかどうか」への意識が甘くなりがち

若いうちは、目の前の事業に集中しがちですが、借入はあくまで「返すこと」が前提です。借りすぎたり、返済シミュレーションを怠ると、せっかくの事業が資金繰りの悪化で頓挫するリスクがあります。特に20代は長期的なキャリア設計も含めて、持続可能な資金計画を立てることが重要です。

20代でも資金調達はできる。だからこそ準備が大切

20代で起業して資金調達をする際は、「自己資金をしっかり用意すること」「公的融資や制度を正しく理解し活用すること」「返済計画を持ち無理のない資金設計を行うこと」が大切です。実績や貯金が少ないからといって、資金調達ができないわけではありません。事業への想いと準備の丁寧さが何より重要です。
金融機関からの借入を検討する際は、「日本政策金融公庫」や、提携保証制度「スピリッツ」など、20代起業家をサポートする仕組みを正しく理解し、必要な支援を受けながら進めていきましょう。

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著者写真 南 宏明著者:南 宏明(みなみ ひろあき)
TAMAプランコンサルタント 


理系大学院修了後、地方銀行で営業店に8年間勤務し、金融商品販売(投資信託・保険商品)、個人向けローン、住宅ローン、法人・個人への事業性融資(創業融資含む)、債権管理等の業務を経験した後に独立。現在は、中小企業へのデジタルマーケティング導入・創業支援・FP事業を中心に活動している。中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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