岩崎 真朗先生インタビュー(TAMAプランコンサルタント)
岩崎 真朗先生インタビュー(TAMAプランコンサルタント)
こんにちは!TOKYO創業ステーションTAMAの相談員にインタビューを行う本企画、第7弾はプランコンサルタントの岩崎先生をお招きしまして、インタビューしてみました!
岩崎先生は元デパ地下バイヤーなので食品小売業や飲食店を創業される方の創業プラン作成を数多く行ってきました。また、デパートは日本語で「百貨店」なので食品以外にも紳士服や雑貨などの商品の小売店創業者にも人気です。その他の得意領域としては、ご自身が民泊施設を経営されているので民泊関連やホームヘルパー2級の資格を活かした介護サービス関連などがあります。そんな幅広い対応が可能な岩崎先生の相談極意に迫ります!
目次
― 現在のご自身の事業や手掛けられていることを教えてください。
中小企業診断士としては、山梨県の信用保証協会の専門家派遣、地元の東久留米市商工会での経営相談窓口、山梨学院大学の非常勤講師、TOKYO創業ステーションTAMAでの起業相談、プチ顧問といった仕事をしています。
山梨県の信用保証協会ですが、主に小売業やサービス業、食品製造業等の事業主さんに対して、売上拡大に向けた指導、経営計画作成の支援をしてほしいといった依頼を保証協会から受けています。年5回まで企業に派遣されてコンサルティングする仕事です。
「プチ顧問」は、手軽な顧問サービスのような形で、月1回程度、企業を訪問して、収支計画策定や実行支援・助言、営業力強化支援・助言などを行っています。
商工会での経営相談窓口では、事業者さんの財務面、営業力強化といったことからありとあらゆる経営課題の相談を受けています。
山梨学院大学の非常勤講師としては、毎週、経営学部の学生を中心に3科目を教えています。単に教科書を読んで教えるのではなく、学生にいかに気づきを与えられるか、社会人の先輩として伝えられるメッセージがあればいいなぁと思いながら教えています。教えるときは、できるだけ具体的な話をしています。これまでの自分が経験したことを紹介して、学生が頭でイメージしやすいようにと気を遣っています。
加えて、中小企業診断士以外の仕事として、静岡県の伊豆高原で民泊施設を経営しています。
― これまでの経歴を教えてください。
会社員時代
「元デパ地下バイヤー」
経済学部を卒業して、大手百貨店に入社して支店の食品部に配属されました。売場担当を経て、ストア・バイヤーとしてデパ地下のイベント企画、運営を担当しました。和菓子や洋菓子、グロッサリーなど1週間単位で年間52週の売場催事や新潟物産展とか北海道物産展といった物産展の企画・運営を担当しました。52週売場催事は、売場で業者さんに直接販売してもらうので、歳時記に合わせて企画・運営していました。お彼岸の時期であれば和菓子の業者さんを呼んだり、6月であれば季節として蒸し暑くなってくるので、冷やし系の和菓子やアイスを出そうと決めておいて、売上目標を達成できるような業者さんを選定したりしていました。物産展は1週間単位で企画するのですが、北海道物産展が一番の売上があり、1週間で1億円くらい売れました。
「物流部門で物流戦略策定・システム業務統合・現場管理まで」
その後、本社の物流部門に異動となり、物流戦略の策定、実行支援、全社の物流コスト削減等、物流効率化の立案推進に取り組みました。本社勤務の最中に別の百貨店との統合が決まり、システム・業務統合のプロジェクトに参加しました。統合には3年かかりました。その後物流子会社の取締役部長となり、経営戦略の策定や本社に対する物流コスト削減策の立案に取り組みました。その後、取締役部長として現場の監督を担当しました。運送会社の統括管理で、配送上のトラブル、苦情対応にもあたりました。
開業後
「小売業や製造業の営業力強化・販路開拓支援」
デパ地下バイヤーの経験を活かし、店舗を持つ小売業やサービス業の販売促進力強化や商品開発支援、既存商品をデパートなどの大手小売業へ紹介する販路開拓支援などを中心に活動しています。バームクーヘン専門店や豆乳・豆腐の製造業をデパートへ紹介したり、作家物の食器販売事業者さんを大手専門店へ紹介し実績を上げています。最近では山梨県のギフトコンテスト審査員なども務めています。
「民泊施設経営」
伊豆高原にある古い貸別荘をリフォームして民泊経営も始めました。直後にコロナ禍に見舞われましたが、管理会社との連携強化や独自のマーケティング手法でホテルや旅館利用を控え家族で安全に旅行を楽しみたいファミリー層を集客し、一定の実績を上げるなど、民泊施設経営ノウハウを得ました。
「介護業務関連」
2019年に早期退職して起業しました。父の介護をしなければいけないということがきっかけの一つです。当初は、父をはじめとした足の不自由なお年寄りを介護タクシーで伊豆にある自分が運営する民泊施設に連れていく事業を立ち上げようかと思い、普通自動車2種免許や介護職員初任者研修修了(旧ホームヘルパー2級)、国内旅行業務取扱管理者を取りました。実際の介助業務を経験するために、デイサービスで1年間、介助業務付送迎ドライバーとして働き、介護業務の実務経験を積むと共に介護施設運営について学ぶことができました。
― 起業相談での得意分野は?
店舗を出店する小売業、サービス業の起業計画策定支援が得意です。
具体的な手法としては、エリアマーケティング(店舗を中心とした地域のことをしっかりと調べて、地域特性を把握したうえで、利用者の方のマーケティング)による商圏分析をしっかり行うことが特徴です。
自分の店舗で提供する商品やサービスのターゲット顧客がどれくらいいるのか、どこに住んでいるのか、そういったことを調べていかないと結局出店しても実際にはお客さんがいなかったということが起きますよね。まずは、そこをしっかり調べましょうということでサポートしています。
お店でお花とケーキを一緒に売りたい。その場合、家族の誕生日や何かのお祝いといった「ハレの日」で買っていただく可能性が高いと考えられます。そうなると、出店場所は家族連れが集まったりする場所に出店すべきですよね。公園の前に出店することはいいのだけれども、実際にそのエリアにどれだけのファミリー層が住んでいるのだとか、駅からどれくらいの距離にあるのか、どんな競合がどこにどれくらいあるのかといった地域の状況を総合的に分析するということをお手伝いしています。人口動態、地図をしっかりと確認しながら戦略を練るといったことを一緒に、力を入れてやっています。
また、商品・サービスを決めていく際には、デパ地下バイヤー目線で見ています。特に、商品・サービスは目新しいもの、珍しいもの、希少性の有るもの、限定品だったりすると他とは違った独自性を打ち出していくことが差別化要因となり、お客様を集客しやすいです。そのような目線で助言し、ブラッシュアップを支援します。
飲食の例になってしまいますが、北イタリアで15年修行された方が、イタリアンのお店を出したいという事業計画書がありました。イタリアンはどこにでもあるしサイゼリアもイタリアンです。だけど、「北イタリアの地元家庭料理」といった特徴を発信すれば、競合とも差別化でき、集客増につながるわけです。
― これまでに起業された方の相談内容について教えてください。
国立市でケーキとお花を1つのお店で販売したいという方がすでに起業されています。
強みは、ご主人が有名店で長年修行し製菓技術が確かなこと、ガレット・デ・ロワというフランス菓子のコンテストで全国2位になったことがあること、奥様も大手や中堅の花屋さんで長年販売経験やアレンジメント技術の腕を磨き実力があることでした。
特徴はワンストップでお花とケーキが買えるという利便性の高さ、ケーキの品質とお花のおしゃれさ、そのバランスが取れているという点です。
ケーキとお花は女性が好む2大要素でもあるので、プレゼント需要だけではなく、女性客が自家用で家の鑑賞用に花を買って行かれるなど、新しい切り口のコンセプトかなと考えています。2種類の商品を扱ってどうなのか、心配もありましたが、メインは洋菓子で売上を見込むこと、お花が高頻度で売れるわけではないので花の売上は堅実な線で事業計画を策定していきました。
収支計画の中で、一番精度を上げなくてはならないのは、売上高と考えているので、売上高を構成する想定来客数を検討したときに、エリアマーケティングから出てくる地域住民の数だとか、日本全国の消費者がお花を買う頻度は年間何回くらいかなどを調べた上で、さらに、マルシェなどに出店した際にとったアンケート結果などを組み合わせて、売上算定根拠を明確にしていきました。
周りには競合店も多いのですが、ご夫婦が提供する商品・サービスのレベルが素晴らしく、お店の雰囲気もよく、実際に出店した商店街は集客力があり、公園に隣接していて散歩がてらに商店街に寄って買い物をする方も多いので、順調な滑り出しだと聞いています。
国立市「洋菓子と花 ドゥ ピリエ」
国立市「洋菓子と花 ドゥ ピリエ」オーナー/パティシェ 平子歓太様インタビュー
国立市の大学通りから少し入った谷保の商店街に2022年11月28日にオープン。「洋菓子と花 ドゥ ピリエ」様はハレの日を演出するケーキや焼き菓子とともに、洗練されたアレンジメントフラワーをワンストップで購入することができる新しいビジネスモデルを展開しています。昨今の事情で原料高という逆風が吹いていますが、しっかり先を見据えてご商売されていました。オーナーでパティシェの平子歓太様にお話しをお伺いさせていただきました。
― 起業相談の際に心掛けていることは?
できるだけ収支計画と資金繰り計画の重要性をお伝えして、ある程度細かく作って行くことに時間を割くことを心がけています。なぜなら、精度の高い計画を作らないと融資額も大きくならないですし、なにより、起業後に創業者自身が資金繰りなどで苦労することになるからです。また、数字に落とし込むと、費用を含めて足りない部分や多すぎる部分がご自身で見えてきます。それらを足したり引いたりしながら収支計画の精度を上げていきます。そのため、収支計画は月次で作成していただいています。月次収支計画は月別の変動も考慮して作成していきます。すると、毎月の資金繰り計画の精度も上がっていきます。
相談時点で自己資金が少ない場合は起業を焦らず、もう少し準備期間をきちんととって起業するようにお話ししています。なぜなら、自己資金が少ない場合、融資額も小さくなり、結果として運転資金の確保に苦労する結果となってしまうというお話はします。
― 起業相談の前に準備しておいたほうがよいことは?
やはり、自己資金ですね。たまに、「店舗も借りて事業をスタートするので運転資金を確保したいから融資を受けるための事業計画書を作ってほしい」という方がいますが、そういう方は、起業できたとしても、後で苦労するのが目に見えています。
まずは、しっかりと事業計画を練り、収支計画・資金計画をたて、自己資金を確保するというのが成功の秘訣だと思います。
相談員紹介
TOKYO創業ステーションTAMA
プランコンサルタント
岩崎 真朗
(いわさき まさあき)
大手百貨店でデパ地下バイヤーや売場運営担当を歴任後、物流子会社で取締役として人事部長・総務経理部長・物流現場管理部長を務めた。独立後は商工会での経営相談窓口や専門家派遣を多数経験し中小企業経営に精通している。デパ地下バイヤー経験から顧客志向での事業計画策定支援、総務経理部長・物流現場管理部長のコスト管理経験から積上式の資金計画策定支援を得意とする。大学非常勤講師、大手資格受験予備校講師の経験から経営に必要な知識をわかりやすく伝えられる。中小企業診断士、融資コンサルタント、キャッシュフローコーチ、ホームヘルパー2級。
施設情報・関連ページ
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〒190-0014 東京都立川市緑町3-1
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著者:TOKYO創業ステーションTAMA Planning Port 事務局 村岸 伸樹
食品メーカーにて法人営業、監査業務に従事。
2022年4月に公益財団法人東京都中小企業振興公社に入社し、TOKYO創業ステーションTAMA Planning Port 事務局に着任。
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