「多摩ものづくりスタートアップ起業家育成事業説明会&スペシャルトークショーVol.3 事業仮説・検証・技術相談をどうつなぐか〜浜野製作所×VCと考える、ハードウェア起業の進め方〜」と題したスペシャルトークショー!
「多摩ものづくりスタートアップ起業家育成事業説明会&スペシャルトークショーVol.3 事業仮説・検証・技術相談をどうつなぐか〜浜野製作所×VCと考える、ハードウェア起業の進め方〜」と題したスペシャルトークショー!
ハードウェアスタートアップが直面する「事業仮説」「検証」「製造」をどのようにつないでいくべきかについて、製造現場とVCの両視点からお話をうかがいました。
目次
起点の違い
- 課題起点
- 技術シーズ起点
セッションの冒頭では、ハードウェアスタートアップにおける「課題起点」と「技術シーズ起点」の違いが話題になりました。 課題起点の場合、出発点にあるのはユーザーの困りごとです。そのため、何を解決するのかが比較的明確な状態から事業を考えることができます。一方で、その課題を解決できたとしても、それだけで事業として成立するとは限りません。 本藤氏は、課題を解決した先にどの程度の市場があり、顧客がどれだけの価値を感じてくれるのかを見極めることが重要だと話しました。課題解決と事業性は別々に考える必要があり、その両方を確かめながら前に進むことが求められます。
議論を通じて感じられたのは、「良い製品を作ること」ではなく、「本当に顧客が求めている価値を届けられているか」という視点の大切さでした。開発の判断軸を常に顧客に置くことが、事業化への近道であることがうかがえました。
一方で、大学発スタートアップなどに多い技術シーズ起点では、また違った難しさがあります。 本藤氏によると、技術シーズの多くは複数の市場への展開可能性を持っています。その分、「どこで最も価値を発揮できるのか」を見極める作業が欠かせません。 ここで印象的だったのは、「Must Haveなのか、Nice to Haveなのか」という言葉です。技術的には優れていても、顧客にとって「あれば便利」なレベルなのか、「なくては困る」レベルなのかによって、市場での評価は大きく変わります。 限られた時間と資金の中で事業を進めるスタートアップにとって、仮説を立てて市場で試し、違えば次の可能性を探る。そのスピード感こそが重要だという考え方が、議論全体を通じて一貫していました。
事業仮説~検証~施策~
- 事業仮説:製造ディテールを決める顧客視点の判断軸
- 検証:検証で確認すべき観点
- 検証×施策:どのような施策であれば検証として意味があるか
- 技術相談:技術相談とビジネスモデルの確立
事業仮説についての議論では、「誰のための製品なのか」という原点に立ち返る重要性が語られました。 佐藤氏は、ものづくりに向き合っていると「この技術を実現したい」「この機能を搭載したい」という思いが強くなると話します。しかし、そうした開発者目線だけで進めてしまうと、本来解決したかった課題や届けたかった価値を見失ってしまうことも少なくないそうです。
そのため、製品仕様や機能を決める際も、 「その機能によって誰が喜ぶのか」 「本当に実現したかった価値は何だったのか」 を問い続けることが大切だと語られました。
また、浜野製作所では相談者に対して、まずは紙粘土でも簡単な模型でも良いから手を動かして形にしてみることを勧めているそうです。考えを形にすることで、自分自身の考えも整理され、周囲との議論も進めやすくなるという実践的なエピソードが紹介されました。
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検証の進め方については、「何を優先して確かめるべきか」が大きなテーマとなりました。 本藤氏が挙げたのは、「クリティカルな要素から検証する」という考え方です。もし実現できなければ製品そのものが成立しなくなる機能や性能があるなら、まずそこを確認する。その考え方は非常にシンプルですが、スタートアップにとっては重要な判断基準になりそうです。 佐藤氏も、実際の開発現場では予算やスケジュールの制約があるため、すべてを一度に試すことはできないと話しました。だからこそ、 「今回の検証で何を明らかにしたいのか」 を明確にし、優先順位を付ける必要があります。
機能を増やすことよりも、事業の成立に必要な要素を見極めること。その発想が、議論の随所に見られました。
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このテーマで最も印象に残ったのは、「一度で正解にたどり着くことは、ほとんどない」という言葉でした。
佐藤氏は、これまで数多くのスタートアップを見てきた経験から、「一発でうまくいくケースはほとんど見たことがない」と話します。だからこそ重要なのは、大きく失敗しないように小さく試し、早く学ぶことです。
ハードウェアの強みは、実際に形にしたものを人に見せて意見を聞けること。完成品でなくても、模型や試作品があればユーザーの反応を得ることができます。そうした小さな検証の積み重ねが、結果として事業の確度を高めていくのでしょう。
また本藤氏からは、「モノがなくてもできる検証もある」という話もありました。顧客インタビューや市場ヒアリングを通じて、作ろうとしているものに本当に価値があるのかを確かめることは可能です。モノを作る前から検証は始まっているという視点は、多くの参加者にとって新たな気づきになったのではないでしょうか。
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技術相談については、単なる製造や設計の相談にとどまらないという話が印象的でした。 本藤氏は、課題設定が曖昧なまま開発を進めると、「何を解決しているのか分からなくなる」ケースがあると話しました。技術的な完成度を追い求める余り、本来届けたかった価値が見えなくなってしまうというのは、スタートアップにとって大きな落とし穴です。
質疑応答
Q:ビジネスにおける“クリティカルな要素”とは具体的に何か?
A:セッション内で登壇者から「最初にクリティカルな部分を検証するべき」という話があったことを受け、参加者から具体例を求める質問がありました。 これに対し、安全性や認証要件そのものが事業成立の前提条件になるため、最優先で検証すべき項目になるとの説明があり、設計段階で法規制を十分に確認していないと、試作品完成後に大幅な設計変更が必要になることもあるため、 「転びそうなポイントはできるだけ早く確認する」 ことが重要であると語られました。
Q:試作や検証の費用が大きく、十分な検証ができない場合はどうするべきか?
A:ものづくりスタートアップならではの悩みとして、試作・検証コストに関する質問もありました。 これに対し「補助金・助成金を活用する」「日本政策金融公庫などの融資制度を活用する」「VCだけでなく多様な資金調達手段を検討する」ことが紹介されました。 また、「同じ課題に取り組む起業家とのネットワークを持ち、情報収集することも重要」というアドバイスもありました。
Q:プロトタイプを作るための工房や設備がない場合はどうしたら良いか?
A:開発環境に関する質問も寄せられました。
これに対しては、
- 浜野製作所のような試作支援・開発支援企業に相談する
- 町工場ネットワークを活用する
- プロトタイピング施設や支援プログラムを利用する
- まずは3Dデータや簡易モデルで検証を進める
といった方法が紹介されました。
質疑応答全体を通じて印象的だったのは、
「まず作ることではなく、何を検証するために作るのかを明確にすること」
という考え方です。
登壇者からは、ハードウェア開発では時間も費用も限られているからこそ、事業成立に直結する重要な仮説から優先的に検証することが成功への近道であるということがよく分かりました。
登壇者情報
登壇者:
佐藤 麻耶氏
株式会社浜野製作所 経営企画部
広告制作会社を経て中小企業を支援する公益財団へ。プロモーション部門で広報物を作りつつ、中小製造業とハードウェアスタートアップのマッチングイベントなどを企画・運営する。
その傍らで、製造業の技術マッチングのためのDB設計を大学院で研究。もろもろの挫折を経てたどり着いた浜野製作所にて、製菓道具からイノベータの新規事業まで「未だ、無い」モノづくりに関わり、町工場のダイナミズムを日々楽しんでいる。
登壇者:本藤 孝氏
QB Capital合同会社 代表パートナー
アクセンチュアを経て、イスラエル、ヨーロッパのスタートアップ投資を実施し独立。
ベンチャーキャピタルの FGC を創設し、代表パートナーに就任。
国内外への投資に関わり、投資先の取締役を歴任。会社設立以前から相談を受けるなど徹底したハンズオンを実施。
シード段階からの出資も手掛け、投資先数社のファウンダーメンバーとして創業し経営に参画。
九州、大学発、技術系に関連した案件に投資を行うQBキャピタルを創設し、代表パートナーに就任。
20年以上にわたりスタートアップ投資を行っている。
多摩ものづくりスタートアップ
起業家育成事業
ものづくりの新たな挑戦
ものづくりの
新たな挑戦
Transforming Ideas into Innovations
ものづくり起業家が量産化試作の際に直面する課題の解決を後押し
ものづくり分野での起業を促進するため、自ら製品を開発して事業を立ち上げようとしている起業者の方を対象に、プロダクトの販売に向けた試作開発及び検証に向けた取組を最長2年間に亘って支援します。
なお、令和6年度の募集は終了しております。大変恐縮ではございますが、次回の募集をお待ちください。
多摩ものづくりスタートアップ起業家育成事業
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