【イベントレポート】6/24開催「スタートアップが学ぶべきPoCのポイント」

【イベントレポート】6/24開催
「スタートアップが学ぶべきPoCのポイント」

ものづくり
多摩ものづくりスタートアップ起業「スタートアップが学ぶべきPoCのポイント」

都内で事業化を目指すものづくり起業家におくる、試作から量産をする際に直面する壁を乗り越えるためのスペシャルトークショー!
第二弾はPoCをテーマに、「スタートアップが学ぶべきPoCのポイント」と題したイベントを開催しました。登壇したのは、これまで様々な企業のPoCに伴走し、ソフトウェア事業においてはご自身もPoC経験を持つベンチャーキャピタリストの竹山 将志さんです。改めてPoCとはなんなのか? 失敗しないPoCとは? PoCを実行する際に抑えるべきポイントとは?など、事例を交えながらPoCのリアルをお話しいただきました!

目次

PoCとは

竹山様 POC図解 POCとは

PoCとは:

Proof Of Conceptの略で、一般的には「概念検証」や「概念実証」などと訳されるビジネス用語。基本的にサービスや製品の試作品(=プロトタイプ)を開発する前に行われる、新しいアイデアや技術の実現可能性を検証する作業を指す。

PoCの例:

新しいセキュリティを開発した際に、基本的な機能である「悪いものを悪いと定義し、悪いものから攻撃を防ぐ」ことができるかどうか、それを検証するのがPoCである。

PoCで検証できる4つの要素:

  • アイデアが実現できるか
  • 目の前の人に売れるか
  • マーケットに受け入れられ、儲けられるか
  • 儲かり続けられるか

陥りがちなポイント:

  • PoCの意味を「検証する作業」とざっくり捉えている人が多い
  • 広義の意味では間違いではないが、狭義の意味では「アイデアが実現できるかどうかの検証」を意味する

PoCに関連した言葉:

プロトタイピング/PoV(Proof Of Value)/PoB(Proof Of Business)/MVP/実証実験など 大切なこと

  • PoCを行う前には、どの要素を、何のために検証するのかを明確に定義しておく。

POINT
実行する際にはPoCの定義を理解した上で、どの検証を何のためにやるのかを定義した上で、進めていこう。

PoCを実施する理由

ベンチャースペシャリスト 竹山将志様

PoCを実施する理由:

失敗する確率をできる限り最小限にするため。


よくある失敗例:

  • 膨大なコストやリソースをかけてプロダクトを量産したあとに、そのプロダクトは世の中に受け入れられないことが分かってしまう。
  • 検証のステップを踏まずに、いきなり「儲かるかどうか」を検証した際に、本来「できるかどうか」のフェーズで検証するはずだった「この事業はできるのか?」という問いが出てきて、結果あと戻りしてしまう。

大切なこと:

  • 必要な検証をしないまま事業を進めると、その分失敗するリスクが高まる。
  • 自身の事業フェーズに合わせたステップを踏みながら、一つひとつの検証を突破することで、次のフェーズの確度が上がり、手戻りも少なくなる。
  • PoCを順序通りに実行することは、結果的に事業にかけるコストとリソースの最適化につながる。

POINT 
ステップを踏みながら着実にPoCを実行していくことで、失敗するリスクを最小限に抑えられる。

PoCの進め方

事前準備:

  • マーケットを見つけていく
    仮説を立てる/専門家やメンターに壁打ちをする/有識者にヒアリングをする
  • 事業のプレイスタイルや理想の姿については軸として持っておく

PoCのファーストステップ:

  • 実施する目的やゴールを明確にする
  • 検証方法を検討する
  • 検証後の評価基準を決めておく

ゴール設定のポイント:

ゴール設定をする際には、ある程度先の未来を見据える。そこから逆算して足元で実行することを決めよう。検証のステップについては、メンターや周りの人に相談しながら決めていこう。

成功例:

toC向けサービスの場合)

  • まずは「ペーパープロトタイプ※」などをつくってみる
  • 実際に世の中に受け入れられるかどうかインタビューしながら肌感をつかむ
  • もらったフィードバックを確認し、改良を行う
  • ある程度受け入れられることが分かったら、「売れるのかどうか」を検証する(=次の検証に移る)
※ペーパープロトタイプ:ペーパープロトタイピングとは、紙とペンでアプリやWebサイトのシミュレーションを作ることです。

結果の評価ポイント:

大前提、結果を評価する際に「どう評価しようか」と考えるのはNG。PoC実施前から目的とゴールはしっかり定義しておこう。
toB向け

  1. 「どこまでいったら次に何をする」と基準点を明確にしておく
  2. 実行前に契約を交わしておく
toC向け
  1. ポジティブな意見だけではなく、ネガティブな意見も含めて正当に評価する
  2. プロダクトを量産する前に、小さくてもお客さんから受け入れられる状態を作り、それを示しておく 例) クラウドファンディングを活用する

POINT 
事業のプレイスタイルやフェーズによってPoCの進め方は異なる。自分たちの資本力やケイパビリティ、お客様のコンディションなどを踏まえた上で最適な判断をしていこう。

PoCで失敗しないためのポイント

失敗しないためのポイント:

  • 「できる・売れる・儲かる・儲かり続ける」において、自身のフェーズをしっかりと理解した上で、やるべきことをはきちがえない。
  • ゴールやその過程での評価基準は、事前にお客様と握った上で明確にしておく。
  • VCやメンターにヒアリングして材料を集めながら、最適な判断をしていく。

POINT 
どこにフォーカスをして検証をするのか、検証した後のネクストステップは何なのか、実施前にしっかり明確にしておこう。

質疑応答

質疑応答 起業家が陥りがちな失敗とは?

Q:起業家が陥りがちな失敗とは?

A:大企業からPoCの相談をされた際に、二つ返事で受けてしまう会社がある。ただゴールを決めないまま実行すると、うまくいかずに時間だけ浪費してしまう可能性が高い。やるべきことをしっかり自分の中で理解し、相手もやるべきことを理解した上で、「ここまでいったらこう進むよね」というゴールまでの過程までを、両社間でしっかりすり合わせしておくことが大切だ。

まとめ

今回のイベントでは、改めてPoCの定義をすり合わせした上で、“できる限り失敗を少なくする”ためのポイントについて、事例を交えながらお話しいただいた。目的やゴールを明確にしておく、自身のフェーズを理解しておくなど、当日竹山さんが共有してくれたポイントからは、PoC実施前の“準備”が肝心であることが分かった。実施する際には一人で抱え込まず、ぜひ周りの信頼できる人に相談しながら材料を集めた上で、最適な判断をしていこう。また焦らず、目的とゴールを明確にして、必要なことはすべて事前に握った上で、着実にステップを踏んでいこう。

登壇者情報

登壇者登壇者:
竹山 将志 氏
9 Capital 代表パートナー
TOKYO創業ステーション プランコンサルタント


2006年ソフトバンク・テクノロジー(株)入社。エンジニアマネージャーとして大規模システム開発に従事。その後、複数の新規事業立上げ、子会社設立、ベンチャー投資を行う。2017年政府系ファンドのINCJ(旧産業革新機構)にて、IT/IoT/ディープテックを中心にベンチャー投資を経験。2021年にレオスグループに移り、VCを新規で立上げ、パートナーとしてベンチャー投資に従事。テクノロジーベンチャーのコア技術/プロダクト/技術者の目利き、大型プロジェクトのPM経験、新規事業開発やベンチャーとのJV 推進経験に基づくハンズオン支援が強み。

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ものづくり分野での起業を促進するため、自ら製品を開発して事業を立ち上げようとしている起業者の方を対象に、プロダクトの販売に向けた試作開発及び検証に向けた取組を最長2年間に亘って支援します。
なお、令和6年度の募集は終了しております。大変恐縮ではございますが、次回の募集をお待ちください。
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